- ファイナンシャルプランナーに相談する際にどのようなリスクがあるか知りたい
- 相談が意味がないと感じる理由を明確にし、適切な相談方法を見つけたい
- 信頼できるファイナンシャルプランナーを見極めたい
資産や将来設計の相談相手として、ファイナンシャルプランナー(FP)を選ぶ人が増えている。
「相談で安心できた」「親身に対応してもらえた」といったポジティブな声がある一方、「費用に見合わない」「保険を勧められて残念だった」「具体性に欠けた」といった不満の声も少なくない。
本記事では、FPへの相談に賛否が分かれる理由を解説し、信頼できるFPを選ぶポイントや、満足度の高い相談にするためのコツを整理して紹介する。
資産形成を目指すうえで、専門家の力を上手に活用するための参考にしていただきたい。
ファイナンシャルプランナー(FP)相談は危険?FP相談でできること
FPへの相談は本当に必要なのか、そもそもFPとはどんな専門家なのか。まずは基本的な情報を整理し、FP相談でできることとできないことを明確にしておこう。
FPとは?資格の種類と役割
ファイナンシャルプランナーとは、個人の資産や家計に関する相談を受け、ライフプランに基づいた総合的な資金計画を提案する専門家だ。
具体的には、収支の分析から貯蓄計画、保険の見直し、住宅ローン、相続対策など、お金に関する幅広い分野でアドバイスを提供する。
FPとして仕事をするための、法律的な要件はない。すなわち、資格がなくてもFPとしてお金を受け取ることは可能である。
しかし一般的には、以下のような関連資格を保有して活動している専門家が多い。
- ファイナンシャル・プランニング技能士
- 実務能力を評価する国家検定
- 1級から3級まであり、級によって求められる知識の深さが異なる
- AFP(アフィリエイテッド ファイナンシャル プランナー)
- 日本FP協会認定の資格
- 基本的な相談業務に必要な知識を保有
- 実務経験は不問
- CFP(サーティファイド ファイナンシャル プランナー)
- 国際的に通用する上級資格
- AFPより高度な知識と実務経験が必要
- 継続教育が義務付けられている
FP相談で「できること」「できないこと」
FP相談では、以下のようなことが相談できる。
- 家計の見直しや支出管理
- 収入に対する支出のバランスを最適化し、無理なく資産を増やすための方法を提案する
- 資金計画の策定
- 子どもの教育資金や老後の生活資金など、将来のイベントに向けた貯蓄計画立案のサポートを行う
- 保険の見直しや必要保障額の算定
- 現在の保険契約内容が自身の生活状況に適しているかを見直し、最適な保険の提案や必要な保障額を算出する
- 相続や税金に関する説明
- 相続や税金に関する基礎的かつ一般的な説明
一方、FPにはできないこともある。
- 具体的な金融商品の推奨や販売
- 投資信託や株式の売買取引
- 税務申告業務、不動産売買の仲介、法律相談
FPは一般的に特定の金融商品の販売を行わないため、具体的な投資信託や株式の選定といった運用提案はできない。
投資商品の選定や取引の実行が必要な場合はIFAなどの投資アドバイザーのサポートが必要である。
FP相談の費用体系を理解する
FP相談には無料相談と有料相談があり、それぞれに相談範囲などが異なる場合もある。
無料相談の場合
初回の無料相談を実施しているFPも多く、保険会社や金融機関に所属するFPによる相談もある。
ただし、無料相談では基本的な家計診断程度か方向性を確認する程度の内容にとどまることが多い。
また、FPが所属する企業や保険代理店が運営する無料相談では、保険商品や投資信託の販売が前提になっていることがあり、中立性に欠けるケースもある。
有料相談の場合
FPが独立している場合や、特定の商品販売を行わない場合、相談料を時間単位や内容に応じて請求する「有料相談」となる。
一般的には1時間あたり5,000円〜1万円程度で、総合的なライフプランニングや税金対策など、幅広く具体的なアドバイスが得られる。
無料相談に比べ中立的な立場でのアドバイスが期待できるため、資産形成や長期的なプランニングを真剣に考える人には有料相談がおすすめだ。
ファイナンシャルプランナー(FP)への相談が「危険」と言われる理由
FP相談への不満や不安の声の背景には、いくつかの典型的なパターンがある。ここでは事例を交えながら、FP相談が『危険』と言われる理由を解説する。
1. 商品販売を前提としたアドバイスがあるため
FPの中には、特定の保険会社や金融機関に属している場合がある。
この場合、無料相談を顧客開拓の手段として利用し、所属企業の保険商品や投資信託の販売が主な業務となっているケースも少なくない。
FPの収入が保険販売の手数料や商品販売による利益に依存していると、偏ったアドバイスとなるリスクがある。
顧客にとって最適なプランより、自社の商品を優先して勧める可能性が高くなるからだ。
以下にFP相談の一例を紹介する。
40代の会社員Aさんは、無料相談を活用してFPに老後資金の運用方法を相談したところ、特定の保険商品を強く勧められた。
FPは「この保険は安全運用に適している」と強調し、Aさんも信頼して契約した。
しかし、後から比較した結果、他社の同等商品よりも手数料が割高で、Aさんの資産形成には適していないことが判明したのだ。
AさんはFPの提案が中立的ではなかったと感じ、FP相談に対する不信感を抱くようになった。
このように、手数料や利益優先の提案が行われるリスクには注意が必要である。
2. 相談者のニーズと提供サービスのミスマッチがある
相談者の期待と実際に提供されるサービスの間にギャップが生じ、結果として相談者が失望を感じるケースがある。
FPとの相談において、「具体的な解決策や実践的な提案がない」というのは、代表的なケースだ。
FPは、顧客のライフプラン全体を見据えてアドバイスはできるが、個別の商品提案や仲介は行えない。
とくに、資産運用に関する具体的なアドバイスを求める相談者にとっては、物足りなさを感じるケースも少なくない。
以下の例を参考にしてほしい。
退職を1年後に控えるBさんは、退職金の運用方法に迷い、将来の生活設計も含めてFPに相談した。
FPからは「リスクを減らすため、低リスクの運用を」とのアドバイスがあったものの、具体的な商品や利回りの説明はなく、またFPが推奨する保険商品の販売話に時間が取られた。
なんとなく「株式や投資信託の提案があるのでは?」と期待していたBさんは、相談料1万円が無駄だったように感じ、がっかりしてしまった。
3. FPのスキルや経験にばらつきがある
FP資格を保有しているからといって、必ずしも高いスキルや経験が保証されるわけではない。
FP個人により、情報更新が不十分であることや、特定分野の経験に偏りがあることもある。これにより、顧客が求める相談内容に対し適切なアドバイスが得られないリスクも存在する。
Dさん(40代)は、定年後も続けられる収益性のある資産運用を希望してFPに相談した。
FPからは、リスク管理についての説明はあったが、具体的な投資提案や、近年注目される投資信託の種類などについての情報は少なく、FPが最新の市場動向に詳しくないことが伺えた。
Dさんは最新の情報が得られると期待していたため、「このFPの知識が自分の目的に合っているか不安だ」と感じ、より資産運用に強い専門家への相談を検討することにした。
4. 相談料と得られる価値が釣り合わないことがある
FP相談には費用の負担が必要になるが、得られる価値がそれに見合わないと感じるケースもある。
相談料は一般的に1時間あたり5,000円〜15,000円程度だ。しかし、複数回の相談でも求める結果が得られない場合、支出が家計の負担になるだけで終わってしまうこともある。
52歳の自営業Gさんは、実家の相続対策について「相続専門FP」に相談し、相談料として7万円を支払った。
しかしFPからは、「相続税の基礎控除は●●円」「生前贈与は年間●●円まで非課税」といった、ネットで確認できる程度の情報しか得られない。
期待していた「家族構成や資産状況に即した具体的な対策案」は示されず、さらに「税理士に相談することをおすすめします」と告げられてしまった。
結局は別に税理士への相談が必要になり、Gさんは「高額な相談料は、ただの勉強代になってしまった」と振り返っている。
FP相談が怪しいと感じたときの対処法
FP相談で違和感を覚えたとき、すぐに相談を打ち切るのではなく、まず適切な対処を試みることが重要だ。
ここでは、問題のある提案を受けた際の具体的な対応方法を解説する。
FP相談の危険信号チェック
FP相談について不安を感じたら、FPの対応が信頼に足るかを以下のポイントで確認しよう。
特定の商品を強く勧められる
FPが特定の商品を強引に勧める場合には、注意が必要だ。以下の項目が該当するか確認し、無理な勧誘から自分の利益を守ろう。
- 同じ商品を何度も勧められる
- リスクの内容や、手数料の内訳が説明されない
- 他の選択肢が提示されない
- 「今だけ」「特別」といった言葉で急かされる
提案やサービスに信頼性が欠ける場合
提案内容に具体性がない、あるいはサービス提供の質に問題があるなら、信頼できるFPとは言えない。
以下のチェック項目を確認し、十分な対応が得られない場合には、他のFPへの相談も検討すべきである。
- 提案に具体的な数値や根拠が欠けている
- 相談者の状況に基づくアドバイスがない
- 約束した資料や情報が提供されない
- 質問に対してあいまいな回答や一般的な説明が続く
- 連絡がスムーズに取れず、対応が遅い
- 相談料や手数料の詳細が不透明である
専門性への不安
FPが必要な専門知識を欠いている場合、誤ったアドバイスを受けるリスクがある。
- 相談内容に関する基本的な質問に対して答えがあいまい
- 最近の税制改正や金融商品の変更を知らない
- 提案や説明の中に矛盾が見られる
- 他の専門家(税理士、弁護士、IFAなど)への紹介を避ける
重大な警告サイン
以下の項目に該当する場合は、とくに注意が必要だ。これらのサインが見られる場合は、相談の中断を含めた毅然とした対応を検討すべきだ。
- 事実と異なる説明や、期待を過度に煽る表現をする
- 相談内容と無関係な商品を勧められる
- 質問を避けたり、論点をすり替える
違和感を覚えたときの対処方法
チェックリストで問題を確認できたら、以下の対応で状況の改善を試みよう。まずは、対話による解決を目指すことが重要である。
特定の商品について強引な勧誘を受けた場合
まず、その場での判断は避け、冷静に考える時間を確保する。「一度家族に相談したい」「他の提案と比べたい」と伝え、その場での決定を控えるようにする。
そのうえで、以下の点を確認し、具体的な説明を求めよう。
- なぜその商品が最適とされるのか(具体的な理由)
- 他の商品や選択肢と比較してどこが優れているのか
- デメリットやリスクはあるか
- 手数料や契約条件の詳細
信頼できるFPなら、商品のリスクについて詳しく説明し、他の選択肢との比較も厭わないはずだ。
提案やサービスに信頼性が欠ける場合
提案が一般論に終始し、具体的なアドバイスが得られない場合は、以下の対応で具体的な提案を引き出してみよう。
- 具体的な数値やプランを明確に要求する
- 「長期的な運用の見通しとして、私の場合の具体的なリターン予測はどの程度か」など、期待する数値やプランを尋ねる。
- 成果物のイメージを具体的に伝える
- 「具体的な収支計画」や「資金計画の詳細」「必要資金額の算出根拠」などを要望し、FPから得たい成果を明確に示す。
- 相談内容の方向性転換を依頼する
- 提案が抽象的な場合、「具体的なリスクとリターンを含めた対策に焦点を合わせたい」と相談の方向を伝える。
相談中断時の具体的な手順
改善リクエストをしても改善が見られない場合や、不安が取り除けない場合は、相談相手の変更を検討する必要があるだろう。
以下の手順を踏むことで、FPとの相談を円滑に中断できる。
- 対応内容や回答についての記録を残す
- 相談の透明性を確保するため、FPの対応や回答を記録しておこう。これにより、後日確認や報告が必要になった場合でも、対応内容を検証できる。
- 問題点を整理し、書面でまとめる
- 具体的な懸念事項(説明の不明瞭さや強引な勧誘など)は、整理して書き出しておく。
- 改善要望を明確に伝える
- 書面にまとめた内容をFPに伝え、改善の余地があるかを最終確認する。これにより「改善を求めたが応じてもらえなかった」という客観的な対応記録を残すことができる。このとき、「改善されない場合は、中断もありうる」と意思を伝えておくと良い。
- 相談の中止を通告し、必要あれば相談する
- 改善が見られない場合は、相談の中止を通告する。必要に応じて、消費生活センター等の相談窓口(消費者ホットライン 188)に連絡して問題解決を図ると良い。
意味ないFP相談を避けるための注意点とポイント
FP相談が期待外れにならないよう、事前に確認しておくべき点や相談中に意識すべきポイントについて解説する。
事前準備をしっかりする
FP相談を実りあるものにするために、事前の準備が欠かせない。以下のポイントを踏まえて、準備を整えていただきたい。
- 相談の目的を明確にする
- 「老後資金の準備」「教育費の確保」「資産運用方針の見直し」など、FPに求める相談内容を具体的に設定する。明確な目的を伝えることで、FPも相談者のニーズに即したアドバイスがしやすくなる。
- 期待する成果を具体的にイメージする
- 「投資のシミュレーションが欲しい」「月々の収支計画を作りたい」など、期待する成果や資料を明確にしておく。事前に伝えることで、FPとのミスマッチを防ぎやすくなる。
- 必要な情報を整理し持参する
- 資産状況、収支バランス、保有している金融商品の情報など、FPが状況を正確に把握するために役立つ資料を準備する。情報がそろっていることで、より具体的なアドバイスが得やすくなる。
- FPの専門分野や実績を事前に確認する
- FPには相続、保険、資産運用など得意分野があるため、自分の相談内容に合わせた専門分野や実績を確認する。適切なFPを選ぶことで、相談がより効果的になる。
- 相談の費用対効果を見積もっておく
- FPにかかる相談料が内容に見合っているかを、事前に確認する。複数候補者の料金体系やサービス内容を比較し、費用対効果が高いFPを選ぶと良い。
初回相談では、FPのコミュニケーション能力や説明の具体性、提案の質について注意深く確認しよう。
不安な要素を感じた場合は、前セクションFP相談が怪しいと感じたときの対処法を参考に、今後の対応を検討していただきたい。
契約時に注意すべき項目
FPと契約を結ぶ際は、以下の項目を必ず確認し、書面で残しておこう。後々のトラブルを防ぐためにも、契約内容は明確にしておく必要がある。
- サービスの基本事項
- 相談の目的と期待する成果
- 具体的な相談可能範囲
- 想定される相談回数
- 1回あたりの所要時間
- 提供される成果物
- 資金計画書の内容
- 提案書の具体的内容
- データや資料の提供範囲
- 料金に関する事項
- 初回相談料の金額
- 継続相談の料金体系
- 追加料金の発生条件
- 支払い方法と支払時期
- 契約条件
- 契約期間
- 中途解約の条件
- 返金規定の詳細
- 個人情報の取り扱い・秘密保持
- アフターフォロー
- フォローアップの期間
- 成果物について見直し・修正の可能性
- 追加相談の料金
- 連絡手段と頻度
「FP兼IFA」という選択肢もある
FP相談では、具体的な金融商品の提案ができないというデメリットがある。
ライフプランの視点を持ちつつ商品提案や取引サポートも受けたい場合、FPとIFAの両方の資格を持つ「FP兼IFA」は有力な選択肢となる。
FP兼IFAを利用するメリットには、以下のようなメリットがある。
- ライフプランに基づく資産形成のシミュレーション
- 金融商品の具体的な説明・商品選定と取引仲介
- 長期的視点での資産モニタリングおよびリバランス
- 他の専門家と協力した包括的なサポート
FP兼IFAは、総合的なライフプランニングと具体的な投資実行支援を両立できる。安心して資産形成を任せられるパートナーとして有力な選択肢なので、ぜひ検討して欲しい。
ファイナンシャルプランナー選びは慎重に!FP兼IFAなら安心して任せられる
FPは、ライフプランに基づく総合的な資金計画を提案する専門家だ。
多くのFPは高い専門性と倫理観を持って業務に当たっているものの、資格要件が法的に定められていないため、知識や経験にばらつきがあるのも事実だ。
そのため、より専門的なアドバイスを求める場合は、FP資格を持つIFAを探すのも有効だ。
ライフプランニングの視点を持ちながら、具体的な金融商品の提案や取引のサポートまで一貫して行うことができるからだ。
このような専門家を探す際に便利なのが、IFAのマッチングサービス「資産運用ナビ」だ。
「資産運用ナビ」なら、保有資格や専門分野、経験年数などの情報をもとに、AIが最適なIFAを診断する。FP資格保有者も簡単に探せる。
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