- 退職金をどう運用すべきか迷っている。
- 退職金運用に適切な運用方法やポートフォリオを知りたい。
- 退職金運用に適した相談先やアドバイスを求めている。
退職金を受け取った後、どのように運用すべきか、そもそも運用する必要があるのか、など迷っている人も多いのではないだろうか。
退職金は老後の生活資金の原資となるため、減らさないように適切にリスクコントロールをしながら資産運用をしていくことが重要だ。
今回の記事では、退職金運用に適切な運用方法やおすすめの投資先、退職金運用に失敗しないためのコツを紹介する。
退職金の運用方法について迷っている方は、ぜひ参考にしてみてほしい。
銀行なら退職金運用のための特別プランがある
一般的な退職金の預け先は銀行だろう。
銀行では退職金運用プランを提供しており、それを利用するのも一つの手だ。
ここでは、銀行で退職金運用を行うメリットやおすすめの銀行、注意点を紹介する。
銀行で退職金運用をするときのメリット
銀行で退職金運用を行う場合、定期預金という安全な資産で運用できるのがメリットだ。
証券会社ではリスク商品のみを取り扱っているため、元本の安全性を重視したいという方は銀行で運用するのが良いだろう。
銀行によっては退職者向けの専用プランや特別キャンペーンを提供しているため、退職後すぐは一旦定期預金に預けて、じっくりとその後の運用方法を考えるといった使い方もできる。
退職金運用におすすめの銀行
退職金運用におすすめの銀行をいくつか紹介する。
銀行名 | 定期預金金利 | 条件 |
---|---|---|
三井住友信託銀行 | スーパー定期3ヶ月 年1.20%〜年7.20% | 対象商品とスーパー定期の同時申し込み |
りそな銀行 | 円定期預金3ヶ月もの年3.0%〜年7.0% | 投資信託、ファンドラップ+円定期の預入500万円以上 |
きらぼし銀行 | 6ヶ月もの円定期預金 年0.50% | 300万円以上3,000万円以内の預入 |
東京スター銀行 | 3ヶ月 年0.250% | 500万円以上の預入 |
他の運用商品と組み合わせつつ、高い金利の定期預金に預けたいという方は三井住友信託銀行やりそな銀行などがおすすめだ。
預入金額や購入商品に応じて年7%前後の高い金利を得られる。
純粋に定期預金だけで運用したい場合は、きらぼし銀行や東京スター銀行の退職金専用定期預金をチェックしてみよう。
銀行で退職金運用をするときの注意点
上記で紹介した三井住友信託銀行やりそな銀行のように、定期預金で高い金利を狙える商品は、多くの場合投資信託やファンドラップなどの金融商品を一緒に購入することが条件となる。
「定期預金にだけ預けたかったのによくわからずにファンドラップを申し込んでしまった」と後悔することのないように、事前に条件などをしっかりとチェックするようにしよう。
また、退職金定期預金で高い利率が適用されるのは、3ヶ月〜6ヶ月程度の短い期間のみとなることが多い。
「年7%」といったように高い金利が提示されていても、3ヶ月分の利息はそれほど大きくない場合もあるため、あらかじめシミュレーションしてみるのも重要だ。
退職金は貯蓄だけでなく投資すべき!資産運用の重要性とは
退職金を受け取った後は、すべてを貯金に回すのではなく、一定額は運用することも検討してみよう。
理由としては、退職後の人生は想像以上に長いことや、退職金と年金だけでは老後の生活費に十分ではないことなどが挙げられる。
医療の発達により、寿命は年々長くなっている。100歳を超えるまで生きる人も珍しくなく、長く生きた場合はその分生活費や医療費も膨らむ。
いわゆる「長生きリスク」に備えるためには、しっかりと資産を増やしておくことが重要だ。
また、少子高齢化によって退職金や年金の減少も危ぶまれている。
自分が想定していたよりも受給額が少なくなってしまう可能性も見越して、老後生活に必要なお金は自分で確保することを意識しておこう。
退職金運用に最適な運用戦略とは
退職金運用に最適な運用戦略について考えていこう。
ポイントは以下の3点だ。
- 運用目的から運用計画を逆算する
- 「長期・積立・分散」を基本とした運用戦略を立てる
- 定期的な収入を確保する
運用目的から運用計画を逆算する
まずは、運用目的や将来の目標から、具体的な運用計画を逆算することが大事だ。
「年金だけでは生活費に足りないからプラスの収入を得たい」「当面の生活費には困らないが万が一の備えをしておきたい」「妻や子供に残すための資産を蓄えたい」など、人によって運用目的は異なる。
運用目的によって、どれくらいリスクを取れるか、どの程度リターンを求めるかも変わってくるため、まずは運用目的や今後の夢・目標を明らかにするところから始めてみよう。
「長期・積立・分散」を基本とした運用戦略を立てる
退職金運用では「長期・積立・分散」投資を意識して運用戦略を立てよう。
複数の資産に分散しながらコツコツと積み立てていきつつ、10年以上の長期スパンで運用を継続することで、リスクを減らしながら安定的に資産運用ができる。
老後の生活資金でもある退職金を安定的に運用するためにも、リスクを適切にコントロールすることを意識しよう。
定期的な収入を確保する
年金にプラスして定期的な収入を得たい場合は、インカムゲインが得られるような投資対象に投資するのも大事だ。
債券や分配金を支払うタイプの投資信託、不動産などに投資をすれば、半年〜1年ごとに利息や分配金を得られる。
何種類かの資産を組み合わせて投資すれば、毎月利息収入が入るように組み立てることも可能だ。
退職金運用におすすめの投資先
退職金運用におすすめの投資先を紹介していく。
債券
債券は、国や企業、地方自治体などが資金調達のために発行する借用証書のようなものだ。
あらかじめ満期が定められていて、保有期間中は定められた利率が半年ごとなど定期的に支払われる。
満期が到来すると、基本的に元本が満額戻ってくるという定期預金に似た仕組みの金融商品だ。
比較的安全性が高く、わかりやすい商品性で、預金よりも高い金利が期待できるというメリットがある。
ただし、債券の保有期間中に発行体が破綻した場合は、元本が毀損したり利息の支払いが遅れたりするなどのリスクも存在する。
定期的に利息を得られるため、安定的なインカムゲインを確保したいという方にもおすすめだ。
定期預金・退職金定期
定期預金は、銀行などの金融機関に期間を決めてお金を預ける商品で、元本が保証されて安全に運用できるというメリットがある。
普通預金よりも高い金利が得られることが多いが、債券や株式、投資信託などと比べるとリターンは小さい。
退職金専用の定期預金プランを提供している銀行も多いため、定期預金を検討する際はいくつかの銀行の退職金プランを比較して検討するのがおすすめだ。
株式型投資信託・ETF
株式型投資信託やETFは、投資家から集めた資金をまとめてプロのファンドマネージャーが運用するという仕組みの商品だ。
少額からでも複数の資産に分散投資が可能で、金融に対する専門的な知識がなくても始めやすいため、投資初心者にもおすすめの運用方法だ。
長期投資に適していて、インフレ対策にも有効と言えるため、運用期間を定めずに長期的に運用する資金の置き場としても適しているだろう。
幅広い国や地域の資産に分散しつつ、世界経済の成長に投資するという観点では、全世界株式型の投資信託が特におすすめだ。
株式
株式は、価格変動が比較的大きいため、ハイリスク・ハイリターンな投資先だと言えるだろう。
大きな値上がり益や配当、株主優待などを狙える一方、相場の状況によっては大きな損失を負うリスクもある。
株式投資で成功するためには幅広い専門知識が必要で、慎重な銘柄選びが重要となる。
退職金で株式投資を検討する際は、余剰資金の中から少額で挑戦するのが良いだろう。
不動産・REIT
不動産投資とは、アパートやマンションなどを購入して、そこから得られる賃料収入や値上がり益を期待する投資方法だ。
また、不動産の管理や運用そのものをプロに任せるREIT(不動産投資信託)を活用すれば、少額から不動産投資を行うことも可能だ。
インフレ対策に有効な資産で、3%前後の利回りが期待できる。
定期的にインカムゲインを狙いたいという投資家にもおすすめの投資方法だ。
貯蓄型保険(終身保険)
貯蓄型保険は、保険と貯蓄の両方の要素を兼ね備えた保険商品を指す。
具体的には、終身保険や養老保険、積立保険などが当てはまる。
退職金運用として検討するのであれば、特に終身保険がおすすめだ。
万が一の時の保障を確保しつつ、長期的に運用を続けることで保険料支払額以上の解約返戻金を受け取れる可能性もある。
退職金運用には新NISAも効果的
退職金運用を始める際は、新NISAの活用も検討してみよう。
ここでは、新NISA制度の概要や、メリット・注意点などを簡単に解説する。
新NISA制度の概要
新NISAは、投資から得られる利益が非課税で受け取れる制度だ。
成長投資枠とつみたて投資枠の2種類があり、合計で年間360万円、生涯で1,800万円まで投資可能だ。
非課税期間が無期限化されたことによって、より長期投資にも適した制度へとなった。
新NISAを活用するメリット
新NISAを利用すると、本来投資の利益に対して20.315%かかる税金が非課税となる。
約2割の税金を抑えられるため、大きな節税効果があると言えるだろう。
生涯で1,800万円まで投資できるため、退職金などのまとまった資産の運用手段としても適している。
新NISAを利用するときの注意点
NISA口座は一人1口座となっているため、複数の金融機関でNISA口座を開設することはできない。
また、積立投資枠と成長投資枠それぞれに投資上限金額や投資対象銘柄が定められているため、無条件に投資ができるわけではない。
債券や実物不動産投資などはNISAの対象外となる点にも注意しよう。
退職金運用に失敗しないための注意点
退職金運用に失敗しないためには、いくつか注意したいポイントもある。
特に以下の3点はあらかじめ注意しておこう。
- 余剰資金の範囲内で投資を行う
- リスク許容度に合った投資を意識する
- ポートフォリオを定期的に見直す
余剰資金の範囲内で投資を行う
退職金としてまとまったお金が入ったとしても、その全てを運用に回すのではなく、余剰資金の範囲内で適切に運用額を検討しよう。
当面の生活費や緊急時に備えるための資金、数年以内に使う予定のあるお金については、運用するのではなく預金などですぐに使える形にしておくのが望ましい。
突然の支出が発生したことで運用資産をやむを得ず取り崩し、損失が発生してしまった、といった事態にならないように、余裕を持って運用を始めるのをおすすめする。
リスク許容度に合った投資を意識する
退職後は、若い世代と違って大きな損失をカバーするための時間が少ない。
そのため、個別株投資や新興国への投資など、リスクの高い投資は控えるのが良いだろう。
高いリターンを狙うと必然的にリスクも大きくなるため、自分の許容できる範囲でリスクコントロールを行うのが重要だ。
ポートフォリオを定期的に見直す
運用を始めた後も、定期的にポートフォリオを見直すことが重要だ。
金融商品の価格は日々変動するため、半年〜1年ごとなど定期的に元の資産配分に戻す「リバランス」を実施するようにしよう。
また、年齢を重ねるうちに投資に対する考え方やリスク許容度も変化する。
その時の投資ニーズに対して最適なポートフォリオで運用できているかも、定期的にチェックするのがおすすめだ。
プロに相談して退職金運用を成功させよう
退職金運用を始める際は、プロに相談するのがおすすめだ。
プロを活用すべき理由や、おすすめの相談先を紹介する。
資産運用を専門家に相談するメリット
退職金運用では、リスクを適切にコントロールしつつ、インフレに負けないように資産を守っていくことが重要だ。
とはいえ、初めて運用に挑戦する人の場合、自分のリスク許容度や適切な投資対象の判断が難しいと感じる方も多いだろう。
資産運用のプロに相談することで、自分の投資ニーズに合わせた適切なサポートをしてもらえる。
適切なアドバイザーを選べば、運用を始めるタイミングのみならず、長期にわたってポートフォリオの見直しや運用状況のチェックなども任せられるというメリットがある。
退職金運用の相談先にはIFAがおすすめ
退職金運用について相談できる窓口には、銀行や証券会社、FP、IFAなどがある。
特定の会社に所属している営業担当者の場合、どうしても会社の営業方針や販売ノルマに提案内容が左右されやすいという点がデメリットだ。
また、外務員資格を有していないFPの場合、個別商品についての具体的なアドバイスや提案ができない点がネックとなる。
そこで、おすすめなのがIFA(独立系資産運用アドバイザー)だ。
IFAは特定の会社に所属せずに、独立して顧客に資産運用についてのアドバイスを行う専門家で、中立的なアドバイスをしてくれるという点がメリットとなる。
転勤や異動も原則として発生しないため、長期にわたって資産運用をサポートしてくれるのも魅力的だ。
これから退職金運用について検討したいという方は、IFAへの相談を選択肢に入れてみてほしい。
退職金運用は専門家に相談して最適な方法を選ぼう
退職金や年金の減少が危ぶまれる昨今、退職金運用の重要性はどんどん増している。
退職金運用では、運用目的を明確にした上で運用計画を立てつつ、長期・積立・分散を意識した投資を行うことが重要だ。
本記事では、退職金運用におすすめの運用戦略や投資先の候補、注意点などを解説した。
退職金運用の最適解は人によって異なるため、どのような方法で運用するべきかわからない方は、専門家に相談するのがおすすめだ。
IFA(資産運用アドバイザー)に相談すれば、豊富な知識や経験に基づく質の高いアドバイスを得られる。
中立的な立場から助言をしてくれるため、初心者でも安心して資産運用を任せられるだろう。