- 資産運用初心者におすすめの方法が知りたい
- 初心者でも取り組みやすいポートフォリオ構築のポイントを学びたい
- 分散投資の重要性や具体的な方法を理解したい
「老後2,000万円問題」が話題になったことや新NISAが始まったことなどをきっかけに、資産運用に興味を抱く人が増えてきている。
しかし、資産運用の経験がない初心者の方は運用方法を選ぶこと自体が容易ではない。おすすめの資産運用の方法を踏まえ、自分に合った戦略で資産運用を始めることが大切だ。
本記事では、資産運用の必要性やメリット、おすすめの投資戦略、投資先などを紹介していく。
さらには投資ポートフォリオを作成するステップやおすすめのポートフォリオ、資産運用の注意点も解説する。
資産運用はなぜおすすめなのか
近年、資産運用の重要性が話題となることが多いが、そもそもなぜ資産運用を行うべきなのだろうか。
現時点で資産運用を始めていない方は、まず資産運用の必要性やメリットを正しく認識することが大切だ。
ここでは資産運用の必要性やメリット、資産運用を推奨する国の制度を紹介していく。資産運用を行うべき理由を理解した上で、自分に合った運用戦略を構築していこう。
資産運用の必要性
資産運用を行う必要がある理由として主に以下の3点が挙げられる。
- インフレリスクがある
- 年金や退職金が減少傾向にある
- 長寿化が進んでいる
それぞれの理由について解説していく。
インフレリスクがある
資産運用を行うべき理由の1つ目は「インフレリスクがある」という点だ。インフレとは、モノやサービスの価格(物価)が上昇していく状態のことを指す。
インフレによって物価が上昇すると、相対的に現金や預貯金の価値は低下してしまう。
例えば1万円の商品の価格が2万円まで上昇した場合、以前は1万円で買えたのに現在は買えないという状況になる。数字上は同じ1万円であっても実質的な価値が低下してしまっているのだ。
低金利が続く日本では、銀行に預けていても資産はほとんど増えない。そのため、インフレによって物価が上昇していくと相対的に預貯金の価値が低下してしまう。
従来は日本はデフレと言われており、預貯金のみで運用していても資産価値が下落することは少なかった。
しかし近年はインフレに転換しつつあり、今後も継続的に物価が上昇していく可能性がある。長期的にインフレが継続した場合、預貯金のみの運用では資産価値が下落してしまう。
インフレによる資産価値の低下を防ぐためにも、資産運用を行って保有資産を増やしていく取り組みが重要だ。
年金や退職金が減少傾向にある
資産運用を行うべき理由の2つ目は「年金や退職金が減少傾向にある」という点だ。
老後に受け取れる年金・退職金が従来よりも減っているため、資産運用によってカバーしなければならない。
厚生労働省の「厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、平成11年度の厚生年金保険受給者の平均年金月額は老齢年金で177,046円だった。
しかし令和4年度には144,982円となっており、平均で毎月3万円以上減っている計算である。
また、厚生労働省による「就労条件総合調査」「賃金労働時間制度等総合調査」によると、勤続20年以上かつ45歳以上の男性定年退職者(大学卒)の平均退職金額は平成9年時点で2,871万円だった。
しかし令和5年には1,896万円となっており、約30年で1,000万円近く退職金が減っている。
受給金額が減少傾向にあることを踏まえると、年金や退職金だけで老後の資産設計を立てることは難しい。
資産運用を行い、老後の資産を計画的に準備していくことが求められる。
長寿化が進んでいる
資産運用を行うべき理由の3つ目は「長寿化が進んでいる」という点だ。長寿化によって老後に必要な資産が増えてしまうため、運用によって増やしていく必要がある。
厚生労働省の「令和4年簡易生命表」によると、令和4年時点の男性の平均寿命は81.05歳、女性の平均寿命は87.09歳という結果だった。
平成7年時点では男性が76.38歳、女性が82.85歳だったため、男女ともに30年間で5歳ほど平均寿命が伸びている。
長生きは喜ばしいことであるものの、その分だけ必要な資産が増えてしまう。
しかし、前述した通りに年金や退職金は減少しており、老後に必要な資産が不足してしまう状況となっている。
資産運用で保有資産の寿命を延ばし、長寿化に備えていくことが大切だ。
資産運用のメリット
資産運用を行うメリットには主に以下の3つが挙げられる。
- 必要な資金を効率的に準備できる
- 不労所得を得られる
- 経済や金融に関する知識が身に付く
それぞれのメリットを理解した上で、資産運用の魅力を正しく認識しよう。
必要な資金を効率的に準備できる
資産運用の大きなメリットとして、人生で必要な資金を効率的に準備できる点が挙げられる。運用によって資産が増える分、自力で準備する資金が少なくて済むという仕組みだ。
例えば、20年後に迎える老後に向けて2,000万円を用意したい場合、投資をしない場合は単純計算で毎年100万円を積み立てなければならない。
一方、年利5%の積立投資を実践した場合は年間で必要な投資額は約60万円となり、差額の40万円分は投資のリターンでカバーできる。
人生では結婚や子育て、マイホームの購入、老後の生活などのあらゆる場面でまとまった出費が発生する。
数百万円〜数千万円といった資産を預貯金だけで準備することは容易ではないだろう。
資産運用で効率的に資産を増やし、今後のライフイベントで必要となる資金を準備していくことを推奨する。
不労所得を得られる
資産運用の方法を工夫すれば、働かずに収入が入ってくる「不労所得」を生み出せる場合がある。本業以外の収入源を確保できる点も資産運用を行う大きなメリットだ。
通常、本業以外の収入源を得るためには副業をする必要がある。近年は働き方改革などで副業を解禁するケースも増えているが、公務員などは多くの場合で副業が禁止されている。
また、勤務先で副業が認められていても、本業とは別に働くことはかなりの負担となってしまう。
資産運用による収益は原則として副業とみなされないため、公務員でも本業以外の収益源を確保できる。
また、副業に比べると労力をかけずに収益を得られるため、取り組みやすい点も魅力だ。
本業以外の不労所得が準備できていれば、万が一働けなくなったときも一定の収入を得られる。
労力や時間をかけずに定期的な収入を得られる点は、資産運用の大きな魅力と言えるだろう。
経済や金融に関する知識が身に付く
株式や投資信託などの金融商品は、各国の政治・経済や企業の業績、為替相場などのさまざまな要因によって価格が変動している。
自分の保有資産に影響を与えるさまざまなニュースに興味を抱くようになって知識が身に付く点も、資産運用を始めるメリットのひとつだ。
例えば、株式を保有している企業の決算発表を調べるようになったり、日本や米国の経済指標・金融政策を定期的にチェックするようになったりするケースは多い。
近年はインターネットで簡単に情報にアクセスでき、初心者でも知識を身に付けやすい環境となっている。
経済や金融に関する知識は資産運用だけではなく、本業や副業などで活きる可能性もある。さまざまな場面で役に立つ知識を得られる点も、資産運用を始めるメリットと言えるだろう。
資産運用を推進する国の制度
資産運用の必要性が高まっている現状を受け、日本では資産運用を推奨する制度を国が設けている。
資産運用を推進する国の制度として、主に以下の2つが挙げられる。
- NISA(少額投資非課税制度)
- iDeCo(個人型確定拠出年金)
いずれも資産運用を行う上では絶対に知っておきたい制度であるため、それぞれの特徴を解説していく。
NISA(少額投資非課税制度)
NISAとは、少額での投資を推奨するために2014年1月からスタートした「少額投資非課税制度」のことだ。
少額投資で得られる利益を非課税にすることで、資産運用を始めやすい環境を整えている。
通常、株式や投資信託などの金融商品に投資を行う場合、売却によって得られる利益や配当金には20.315%の税金が発生する。
つまり、10万円の利益が発生しても約2万円が税金で引かれてしまうという仕組みだ。
しかしNISA口座で金融商品を購入した場合、得られる利益はすべて非課税となる。10万円の利益が発生した場合、10万円をそのまま受け取れる。
税金が引かれずに済むため、効率良く資産運用を行えることが魅力の制度だ。
2024年には新制度がスタートし、従来よりも非課税で投資できる枠が増えたり、非課税で保有できる期間が無期限となったりと、より資産運用を行いやすい制度となった。
年間最大360万円、生涯で1,800万円の非課税投資枠が与えられ、利益が永久に非課税となる。
一定の投資額までの利益を非課税とすることで資産運用のハードルを下げ、国民が資産運用を始めやすい環境を整えているのだ。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCoとは、老後の年金を自分で準備するための私的年金制度である。2001年から制度がスタートしており、老後の資産を自力で準備してもらうために各種の税制優遇を設けている。
iDeCoは、自分で掛金の拠出や運用を行い、掛金と運用益の合計額をもとに老後に給付を受け取るという仕組みだ。
自分で運用方法を決められる自由度の高さが魅力である一方、運用成果によっては元本割れとなるリスクも伴う。
iDeCoでは以下の3つの税制優遇を設けている。
- 掛金が全額所得控除になる
- 運用益が非課税となる
- 受け取り時にも控除が適用される
iDeCoに拠出する掛金は全額が所得控除の対象となるため、所得税・住民税の負担を軽減できる。
また、運用益は課税されずに再投資されるため、効率的に資産を増やしていける点も魅力だ。そして、老後に運用資産を受け取る際にも控除が適用される。
このように税金の負担を軽減しながら老後に向けた資産運用を行える制度を設けることで、国民の資産運用の実施を促進している。
老後の資産準備をしたい方だけでなく、税金や社会保険料で手取り額が少ないと悩んでいる方にもおすすめの制度だ。
おすすめの投資戦略とは
資産運用の必要性やメリットを知り、実際に資産運用を始めることを検討している方も多いだろう。実際に資産運用を行う際、まずは軸となる投資戦略を立てることが大切だ。
ここでは、投資戦略を立てる際に押さえておきたいポイントを紹介していく。ぜひおすすめの投資戦略を参考にし、自分に合った戦略で資産運用を始めてみよう。
長期・分散・積立が基本
まず、資産運用の基本は「長期・分散・積立」であると理解することが大切だ。
いずれも資産運用におけるリスクを軽減し、効率的にリターンを得ていくために重要な要素である。それぞれの要素に分けて解説していく。
長期投資
長期投資は、数年〜数十年といった長いスパンで運用を行う投資手法のことだ。
短期的な価格変動を利用して利益を得るのではなく、中長期的に価格が上昇することに期待して資金を投じる投資スタイルである。
長期投資を行うメリットは主に以下の2点だ。
- 価格変動が平均化される
- 複利効果を得られる
金融商品の価格は日々プラス・マイナスに変動しており、短期的には大きくマイナスに価格が振れる可能性がある。
しかし運用期間が長くなると価格変動は平均化され、安定したリターンに収束する可能性が高い。収益性が安定しやすくなる点が長期投資の大きなメリットだ。
また、複利効果を得られる点も長期投資の魅力に挙げられる。複利効果とは、投資で得た利益を再投資することで利益が新たな利益を生む仕組みのことだ。
利益が次の利益を生み出すことで資産が雪だるま式に増えていくという特徴がある。
運用期間が長くなるほど複利効果は威力を発揮し、効率良く資産が増えていく。
運用当初は小さな利益であっても、時間をかけて資産を成長させることで資産の増加が加速していく。
長期投資を実践し、リターンの安定性と投資効率を高めて資産を増やしていこう。
分散投資
分散投資は、複数の投資先に資産を分けて運用を行う投資手法のことだ。
特定の投資先に資産を集中させるのではなく、投資対象地域や資産クラス、銘柄を分散させて資金を投じる投資スタイルである。
分散投資を行うメリットは主に以下の2点だ。
- 特定の要因の影響を受けにくくなる
- 投資先のひとつが下落してもほかでカバーできる
ひとつの投資先に資金を集中させたり、似たような投資先ばかりに資金を投じていると、投資対象の価格が暴落したときに一気に資産が減ってしまう。
しかし特徴が異なる複数の投資先に資金を分けておけば、投資先のひとつが暴落しても資産全体が受けるダメージは小さく済む。
特定の要因で資産が大幅に減少するリスクを回避できる点がメリットとして挙げられる。
また、仮に投資先のひとつが下落していても、ほかの投資先の価格が上昇していればカバー可能だ。資産全体でカバーし合えることが分散投資のメリットとして挙げられる。
資産運用を行う際は、国内外の株式・債券・不動産などに資金を振り分けて運用することを推奨する。
積立投資
積立投資は、定期的に一定額を積み立てて運用を行う投資手法のことだ。
一度に資金のすべてを投じるのではなく、毎月・毎週などの形で投資タイミングを分けて資金を投じる投資スタイルである。
積立投資を行うメリットは主に以下の2点だ。
- 時間が分散されてリスクが軽減できる
- 購入タイミングを見極める必要がなくなる
積立投資を行う場合、購入するタイミングが分散されることになる。
価格が高いときも安いときも一定額を買い続けるため、平均の取得単価が抑えて高値掴みのリスクを回避できる点が積立投資のメリットだ。
また、積立投資はあらかじめ積立設定をしておけば、あとは決められたタイミングで自動的に商品の買付が行われる。
自分で購入タイミングを見極めたり、手続きを行ったりする必要がない点も積立投資のメリットである。
手間や時間をかけずにリスクを軽減できるため、積立投資は投資初心者に効果的な手法だ。無理なく続けられる積立額を設定し、長期的にコツコツと積立投資を継続していこう。
自分に合ったポートフォリオを作成
投資戦略を立てる際には、自分に合ったポートフォリオを作成することが重要だ。ポートフォリオとは、どれくらいの配分比率で金融商品に投資を行うのかという組み合わせのことを指す。
前述の通り、資産運用は複数の投資先に資産を分散させることが重要となる。
しかし適当に分散して良いわけではなく、各商品のリスク・リターンを考慮して適切なバランスを見極めることが重要となる。
例えば株式は比較的リスクが大きく、期待できるリターンも大きい投資先だ。
大きなリターンを狙いたい人は株式の比率を高めに設定、リスクを抑えて堅実に運用したい人は株式の比率を低めに設定するといった工夫が必要となる。
また、資産運用によって不労所得を得たいと考えている場合、投資先の商品は配当金や利息が支払われるものを中心に構成すべきである。
高配当株や高利回りの債券、分配金が多いREITなどをポートフォリオに組み込むと良いだろう。
このように、自身のリスク許容度や投資目的に応じて適切な金融商品の比率は異なる。自分に合ったポートフォリオを作成し、最適な比率で分散投資を実践しよう。
ポートフォリオとアセットアロケーションの違い
ポートフォリオと似たような意味を持つ言葉に「アセットアロケーション」がある。アセットアロケーションは、株式や債券、不動産といった「資産クラス」の配分比率を指す。
例えば「株式40%・債券40%・不動産20%」という資産配分がアセットアロケーションである。
一方のポートフォリオは、アセットアロケーションに基づいて決まる「具体的な金融商品」の組み合わせである。
例えば「A社株式20%・B社株式10%・C社株式10%・個人向け国債20%・D社債20%・不動産20%」といった形がポートフォリオだ。
まずはアセットアロケーションで資産配分の大枠を決め、その後に具体的な商品を選んでポートフォリオを構築するという流れになる。
具体的なポートフォリオ作成の流れは後ほど解説するので、ぜひ参考にしてほしい。
NISAやiDeCoなど有利な制度を活用
前述の通り、日本ではNISAやiDeCoといった税制面で優遇を受けながら資産運用を行える制度が設けられている。
資産運用の投資戦略を立てる際には、税制優遇制度を効果的に活用しよう。
NISAの活用法
NISAには、投資信託の積立を行える「つみたて投資枠」と株式や投資信託を自由に買付できる「成長投資枠」という2つの非課税投資枠が設けられている。
つみたて投資枠は年間120万円、成長投資枠は年間240万円(生涯で1,200万円が上限)となっているため、うまく使い分けて運用することが大切だ。
つみたて投資枠では、長期・分散・積立投資に適した投資信託のみが対象となっており、リスクを抑えた資産運用を実践しやすい。
基本的にはつみたて投資枠を利用した運用をベースに投資戦略を立てると良いだろう。
成長投資枠では、上場株式や投資信託、ETF、REITなどの幅広い商品が対象となっている。
つみたて投資枠よりも自由度が高い運用を行うことができ、リスクを取ってリターンを狙いに行くことも可能だ。
低リスクな運用を行えるつみたて投資枠で資産運用の基礎を固めつつ、自由度の高い成長投資枠で積極的にリターンを狙いに行くといった戦略などを構築できる。
また、つみたて投資枠・成長投資枠ともに同じ商品の積立投資を行うこともできる。
2つの非課税投資枠の性質を踏まえ、効果の高い運用を実践しよう。
iDeCoの活用法
前述の通り、iDeCoに拠出した掛金は全額所得控除となる。
税率が所得税10%・住民税10%と仮定した場合、毎月1万円の掛金拠出で年間で24,000円(毎月2,000円)の税負担を軽減できる。
給与所得や事業所得が多い人の場合は税率が高いため、より大きな節税効果を得ることが可能だ。
このように、iDeCoは老後に向けた資産準備とともに手取りを増やせるため、積極的に資金を投じたい制度だ。
ただし、原則として60歳まで資金を引き出せないため、あまり多くの資金を投じてしまうと資金がロックされてしまうというデメリットがある。
「老後にいくら必要となるのか」「手取りがどの程度増えるのか」といった点を十分にシミュレーションし、最適な掛金拠出額のバランスを見極めてiDeCoを活用しよう。
NISA・iDeCoの併用
NISA・iDeCoはどちらか一方しか利用できないわけではなく、併用することも可能だ。それぞれの特性を活かし、効果的に使い分けると良いだろう。
前述の通り、iDeCoは原則として60歳まで引き出せないため、基本的には老後資金の準備を目的に利用することとなる。
一方でNISAは資金を引き出すタイミングに制限がないため、老後を迎える前のライフイベントに向けた資産運用に適した制度だ。
結婚資金や子どもの教育資金、マイホームの購入費用などはNISA、老後資金はiDeCoといった形で明確に役割を分けて投資戦略を立てることをおすすめする。
初心者におすすめの投資先4選
資産運用の戦略を立てる際のポイントを紹介してきたが、実際に運用する際には投資先を選ぶ必要もある。
投資初心者が資産運用を始める際は、どういった投資先を選択すれば良いのだろうか。
ここでは、初心者におすすめの投資先として以下の4つを紹介する。
- 投資信託(ファンド)
- 株式投資
- REIT(不動産投資信託)
- 債券
それぞれの投資先の特徴やおすすめする理由、運用の注意点を紹介していく。
投資信託(ファンド)
投資信託とは、投資ファンドに投資家から集めた資金をまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資を行う金融商品のことだ。
ファンドに資金を投じた投資家は、運用成果を投資額に応じて受け取れる仕組みとなっている。
集めた資金はファンドの方針に基づいて運用が行われる。
日本国内の株式に特化したファンドもあれば、国内外の株式や債券に分散投資を行うファンドもあり、さまざまな商品選択肢が設けられていることが特徴だ。
投資信託は大きく分けると「アクティブファンド」と「インデックスファンド」の2種類がある。
アクティブファンドは運用の専門家が投資判断を行い、投資先銘柄を分析して選定する商品だ。
一方、インデックスファンドは市場指数との連動を目指して運用される商品であり、投資先銘柄は指数の構成銘柄と同一となる。
投資経験が少ない初心者の方は、インデックスファンドをおすすめする。
インデックスファンドはアクティブファンドに比べてリスクが小さく、安定的なリターンを期待できることが特徴だ。
また、プロによる銘柄の調査・分析等が不要となる分、低コストで運用できる点も魅力である。
低コストで市場の平均リターンを得られるインデックスファンドを活用し、資産運用を始めてみよう。
投資信託をおすすめする理由
投資信託による運用をおすすめする理由は主に以下の3点だ。
- 投資の手間がかからない
- 手軽に分散効果を得られる
- 少額投資を行える
1点目は「投資の手間がかからない」という点だ。投資信託はファンドに資金を預けて運用を任せる仕組みとなっているため、自分で運用を行う必要がない。
手間や時間をかけずに資産を増やしていける点が大きな魅力となっている。
通常、投資を行う際には投資対象の調査・分析をしたり、売買するタイミングを見極めたりしなければならない。
投資経験が少ない初心者の方にはハードルが高く、また本業で忙しい人にとっても負担が大きい。投資初心者の方や投資に時間を割く余裕がない方に投資信託はおすすめだ。
2点目は「手軽に分散効果を得られる」という点である。投資信託は投資家から集めた資金をもとに、複数の株式や債券に投資をして収益を目指す仕組みとなっている。
ひとつの投資信託を購入するだけで、間接的に分散投資を行える点が大きな魅力だ。特に、市場指数との連動を目指すインデックスファンドは市場全体に分散できることが特徴である。
自分自身で分散投資を行う場合、複数の投資先を購入・管理するのは手間がかかってしまう。
値動きの特徴が異なる銘柄を選んだり、保有銘柄の比率を調整したりしなければならないためだ。
1つの商品を購入するだけで手軽に分散効果を得られる投資信託を活用し、リスクを分散した運用を実践しよう。
3点目は「少額投資を行える」という点だ。投資信託は証券会社によって最低購入金額が異なるものの、100円から購入できるネット証券も増えてきている。
少額から気軽に投資を始められる点も投資信託の強みだ。
株式投資の場合、利用する証券会社や銘柄によっては数万円〜数十万円の資金が必要となるケースがある。
分散効果を得るために複数の銘柄を購入する場合、初期投資額はより大きくなる。
いきなりまとまった金額を投資することに抵抗がある方でも、安心して始められることが投資信託の利点だ。
投資信託の注意点
投資信託で運用を行う際、以下の3点に注意しておきたい。
- 手数料が高い
- 元本保証ではない
- 短期投資には向かない
1点目は「手数料が高い」という点だ。
投資信託は購入時に発生する「購入時手数料」や保有期間中に引かれ続ける「信託報酬」、解約時に引かれる「信託財産留保額」といったコストが発生する。
株式などの金融商品に比べると手数料が高いため注意が必要だ。
購入時手数料・信託財産留保額については無料としているファンドもあるが、信託報酬は必ず引かれるコストである。
特に、プロに運用を任せるアクティブファンドの場合は信託報酬が高めに設定されている。
コストを抑えた運用をしたい方はインデックスファンドを選び、さらに各商品の信託報酬を比較しておくと良いだろう。
2点目は「元本保証ではない」という点だ。プロに運用を任せる仕組みの商品であるため、元本が保証されていると認識している方も少なくない。
しかしあくまでも投資であるため、価格が下落して元本割れを起こすリスクがあることを理解しておこう。
相場が好調な局面になると投資信託の成績も安定してプラスとなるため、なかには「定期預金のような感覚で投資信託を利用する」という方も増えてくる。
しかし、元本が保証された定期預金とは性質がまったく異なるため注意が必要だ。
3点目は「短期投資には向かない」という点だ。投資信託は複数の投資先に分散投資を行う分、値動きは比較的緩やかなものとなる。
リスクを抑えられる利点がある反面、短期間での大きなリターンは望めないため注意が必要だ。
基本的に投資信託は長期投資を前提として設計されている商品であるため、短期間で利益を得たい人には向かない。
前述の「長期・分散・積立」を実践したい方に適した商品であることを理解した上で、投資信託を活用しよう。
株式投資
株式投資とは、企業が資金調達のために発行する株式を取引することで利益を狙う投資手法のことだ。
株価の変動を利用した売買差益や企業が株主に対して支払う配当金、株主優待などが主なリターンとなる。
通常、株式は証券取引所を通じて売買を行うことになる。
証券会社を経由して証券取引所に売買注文を出し、ほかの市場参加者の売買注文と条件が合致していれば取引が成立する仕組みだ。
同じ株式であっても、リスク・リターンの大きさは企業規模や業界によって異なる。
株式投資を行う際は、自分に合ったリスク・リターンの銘柄を慎重に見極めることが重要となる。
例えば、時価総額が大きく業績が安定している銘柄は株価の値動きが落ち着いており、比較的低リスクな運用を行うことが可能だ。
一方、時価総額がまだ小さい銘柄や業績が景気動向に左右されやすい銘柄の場合、株価が変動しやすくハイリスク・ハイリターンな運用となる。
投資経験が少ない初心者の方は、業績が安定している大型株への投資を中心に行うことを推奨する。
慣れてきて大きなリターンを狙いたい場合は、中小型株への投資を視野に入れていくと良いだろう。
株式投資をおすすめする理由
株式による運用をおすすめする理由は主に以下の3点だ。
- 高いリターンを期待できる
- 定期的な配当金を得られる
- 株主優待を得られる場合がある
1点目は「高いリターンを期待できる」という点だ。銘柄にもよるが、一般的に株式は金融商品のなかでも値動きが大きく、高いリターンを期待できる投資先である。
ある程度リスクを取ってでも高いリターンを狙いたい方に向いている投資先だ。
時価総額が数十億円〜数百億円ほどの規模であれば、今後の成長に伴って株価を大きく伸ばす可能性がある。
数年で株価が数倍〜数十倍まで跳ね上がって、大きなリターンを得られるかもしれない。大きなリターンを得られる可能性がある点が株式投資を推奨する理由のひとつだ。
2点目は「定期的な配当金を得られる」という点である。銘柄によっては株主に対して配当金を支払っているケースがあり、定期的な収入を得られる。
いわゆる不労所得を得られることが特徴の投資先だ。
業績が順調に伸びている企業であれば、次第に配当金を増やす「増配」を続けていく可能性もある。増配が続けば受け取れる配当金が年々増えていき、不労所得を確立していける。
本業以外の収入源を育てていきたい方におすすめの投資先だ。
3点目は「株主優待を得られる場合がある」という点である。日本株の場合、銘柄によっては株主に対して優待を提供しているケースがある。
企業の商品が送られてきたり、企業のサービスをお得に利用できたりといった特典を利用できることが特徴だ。
株主優待を提供している企業のなかには、長期保有によって優待の内容がランクアップするものも多い。
通常は2,000円分のサービスであっても「保有1年以上で4,000円分のサービス」というようにランクアップする場合がある。
長期的に株主優待を受け取りながら資産を運用していけることが特徴だ。
株式投資の注意点
株式投資で運用を行う場合、以下の3点に注意しておきたい。
- 価格変動リスクが大きい
- 配当金や株主優待が廃止されるリスクがある
- 思うようなタイミングで売却できないリスクがある
1点目は「価格変動リスクが大きい」という点だ。前述の通り、株式は金融商品のなかでも値動きが大きいことが特徴として挙げられる。
価格がマイナスに大きく振れた場合、短期間で資産が一気に減少してしまうリスクがあることに注意が必要だ。
特に、成長性が期待されて株価が一気に上昇した銘柄などは、成長の鈍化が見られた途端に投資家から売られて株価が暴落するというケースがある。
短期的に大きなリターンを狙える分、大きな損失を抱える危険性が伴うことも認識しておかなければならない。
価格変動リスクを抑えたい方は、業績が安定した大型株を中心に投資を行うと良いだろう。
2点目は「配当金や株主優待が廃止されるリスクがある」という点だ。
業績が悪化して思うように収益が得られていない場合、株主優待や配当金の維持が難しくなる可能性は十分にある。
配当金・株主優待が廃止となったり、減らされたりするリスクがある点を頭に入れておこう。
特に、株主優待については「海外投資家が恩恵を受けられない」という理由から廃止する企業も増えてきている。
配当金や株主優待の受け取りを目的としている投資家が多い銘柄の場合、廃止を発表したことで株価が大きく下落するリスクもある。
配当金・株主優待が必ずしも継続されるとは限らないことを踏まえて投資をしよう。
3点目は「思うようなタイミングで売却できないリスクがある」という点だ。
売買が極端に少ない銘柄などを取引する場合、注文がなかなか成立せずに売りたいときに売れない可能性がある。いわゆる「流動性リスク」があることに注意しておこう。
成長性に期待をして小型株に投資をする場合、発行済み株式数が極端に少ないことで取引が思うように成立しない可能性がある。
また、上場廃止などで出来高が極端に減少してしまい、希望から大きく外れた金額で約定となる可能性もある。
流動性が低い銘柄は希望するタイミングや価格で売却できない可能性があることを理解しておこう。
REIT(不動産投資信託)
REITとは、投資家から集めた資金を投資ファンドにまとめて不動産運用を行う仕組みの金融商品だ。
物件から得られる賃料収入や不動産の売買益を投資家に還元する仕組みとなっており、間接的に不動産オーナーになれる商品である。
REITは証券取引所に上場しており、株式と同様の仕組みで売買を行えることが特徴だ。比較的流動性が高く、好きなタイミング・価格で換金しやすいことが魅力として挙げられる。
また、多様な物件・地域に分散投資が行われているため、比較的低リスクな運用を実践できる点もメリットだ。
REITは「単一用途特化型」と「複合型・総合型」に大別される。
単一用途特化型は特定の用途の不動産に特化した投資を行う商品であり、オフィスビル特化型や住居特化型、ホテル特化型などのタイプが設けられている。
一方、複合型は2つの用途の不動産、総合型は3つ以上の用途の不動産を組み合わせて投資を行う商品だ。
単一用途特化型のなかでもオフィスビル特化型や商業施設特化型、ホテル特化型などは景気変動による影響を受けやすい。
相対的に大きなリターンを得られる可能性もあれば、景気によって収益性が大きくマイナスになる可能性もある。
住居特化型や物流施設特化型は安定した収益を見込める商品だ。また、複合型や総合型は投資先が分散されている分、リスクを抑えた運用を行える。
投資初心者は住居特化型や物流施設特化型、複合型・総合型で運用し、慣れてきて大きなリターンを狙いたい場合はオフィスビル特化型やホテル特化型で運用を行うと良いだろう。
REITをおすすめする理由
REITによる運用をおすすめする理由は主に以下の3点だ。
- 少額からポートフォリオに不動産を組み込める
- 分配金利回りが高い
- 物件を管理する手間がかからない
1点目は「少額からポートフォリオに不動産を組み込める」という点だ。本来、不動産の購入には数百万円〜数千万円の資金が必要となるが、REITであれば数万円程度で購入できる。
少額の自己資金で不動産に投資を行えることがREITの魅力だ。
不動産市場は株式や債券などの金融市場とは異なる値動きの特徴があり、ポートフォリオに不動産を組み込むことでリスク低減効果を得られる。
少額でポートフォリオの分散効果を高めたいと考えている方には、REITの活用がおすすめだ。
2点目は「分配金利回りが高い」という点である。REITを保有している期間中に得られる分配金が相対的に高く、定期的な不労所得を確保できることがREITの強みだ。
本業以外の収入源を確保したい人に向いている金融商品である。
日本のREIT(J-REIT)の場合、不動産投資法人は利益の90%超を分配することで、法人税が実質的に非課税となる。
そのため、不動産投資法人は基本的に不動産収入のほとんどを分配金に回し、分配金利回りが高くなるという仕組みだ。高利回りで定期収入を得られる点がREITをおすすめする理由のひとつである。
3点目は「物件を管理する手間がかからない」という点だ。実際に現物の不動産物件を購入するわけではないため、管理や維持に手間をかけずに運用できる。
手軽に不動産投資を始められる点もREITを推奨する理由のひとつだ。
本来、不動産投資には管理会社に委託して入居者との賃貸契約を結んだり、トラブルの際に連絡を受けて対応を指示したりといった手間がかかる。
さらには火災保険料や固定資産税、修繕費などの物件管理コストも発生する。こうした手間やコストをかけずに不動産投資を始められる点はREITの大きな魅力と言えるだろう。
REITの注意点
REITで運用を行う場合、以下の3点に注意しておきたい。
- 災害リスクが伴う
- 投資法人が倒産するリスクがある
- 配当控除が受けられない
1点目は「災害リスクが伴う」という点だ。
地震や台風などの自然災害によってREITの投資対象となっている不動産物件が損害を被ると、収益性が低下したり、損失が発生したりするリスクがある。
株式や債券などの金融商品と比較しても、REITは災害の影響を受けやすいため注意が必要だ。
特に、日本は自然災害が多い国と言われており、国内の不動産物件を対象としたREITは災害リスクが比較的高いと言える。
なるべく投資対象地域が分散された商品を選ぶなど、災害時のリスクが集中しないような工夫が必要と言えるだろう。
2点目は「投資法人が倒産するリスクがある」という点だ。REITの運用を行う投資法人が万が一倒産した場合、対象のREITは上場廃止となってしまう。
上場廃止となると流動性が低下してしまい、銘柄の価格が大きく下落するリスクがあるため注意が必要だ。
また、投資法人が清算される場合は債権者に弁済した後の残った財産から投資金額を回収することになる。
残った財産の状況によっては投資金額を回収できない場合がある点にも注意しておきたい。
3点目は「配当控除が受けられない」という点だ。REITで受け取った分配金は、株式の配当金や投資信託の分配金と同様に「配当所得」として扱われる。
しかし、REITの分配金は配当控除の対象外であるため注意しておこう。
株式や投資信託の配当金・分配金は配当控除の対象となっており、総合課税を選択して確定申告をした場合に一定の税額控除を受けられる。
こうした税制面でのメリットがREITには設けられていない点に注意が必要だ。
債券
債券とは、国や地方公共団体、企業が資金調達のために発行する有価証券のことだ。
投資家は債券を購入することで発行体に対して資金を貸し付けるという構図になり、あらかじめ定められた満期(償還日)には額面金額が払い戻される。
満期を迎えるまでの間は定期的に利子が支払われるという仕組みの投資手法だ。
また、債券は市場でも取引が行われており、満期を待たずに売却して換金することもできる。
債券価格は、発行体の信用度や満期までの残存期間、金利などの要素によって変動しており、購入時よりも価格が高いときに売却してリターンを狙う方法もある。
債券の発行体の信用度については、民間の格付機関が「格付け」によって評価している。
企業の財務状況などから債務の支払い能力を調査し、信用力を「AA」「BBB」といったアルファベットで評価する仕組みだ。
格付けが高いほど安全性が高く、利回りは低くなりやすい一方、格付けが低い債券は債務不履行に陥るリスクが高い分だけ利回りが高くなる傾向にある。
安定した収益を目指したい人は格付けが高い債券、リスクを承知で高利回りを狙いたい人は格付けが低い債券を選ぶと良いだろう。
なお、投資初心者の方には「個人向け国債」がおすすめだ。個人向け国債とは、日本国が発行する国債のなかでも個人が購入できるように商品化されたものである。
国が発行しているため安全性が高く、原則として元本割れをしないことが特徴だ。
慣れるまでは個人向け国債で運用を行い、少しずつ企業が発行する「社債」などに手を出してみると良いだろう。
債券をおすすめする理由
債券による運用をおすすめする理由は主に以下の3点だ。
- 安全性が高い
- 収益の見通しを立てやすい
- 株式と異なる値動きをすることが多い
1点目は「安全性が高い」という点だ。債券は満期まで保有していれば額面金額が償還されるため、比較的安全な運用を行いやすい金融商品である。
リスクが大きい株式に比べ、安定的なリターンを狙いたい方に向いている投資先だ。
低リスクな金融商品には預貯金も挙げられるが、現在の日本は低金利が続いており、預貯金で資産を増やすことは非常に難しい。
しかし、債券は預貯金に比べると高い利率が設定されるため、高い安全性で預貯金以上の収益性を期待できる。堅実に運用できる点が債券の大きな魅力だ。
2点目は「収益の見通しを立てやすい」という点である。債券は満期まで保有していれば額面金額が償還され、保有期間中は定期的に利子を受け取れる。あらかじめ収益が分かっているため、資金計画を立てやすいことが魅力の投資先だ。
例えば、株式の場合は業績によって株価が大きく変動したり、配当金が増減したりするため、投資した時点で収益の見通しを立てることはできない。
事前に収益をある程度把握できる点は債券の大きな強みと言えるだろう。
3点目は「株式と異なる値動きをすることが多い」という点だ。
債券・株式は異なる値動きをするケースが多く、組み合わせることでどちらか一方の損失をもう一方でカバーできる場合がある。
株式投資のリスクヘッジとして活用できる点が債券の大きな魅力だ。
資産運用の投資先に株式を選ぶ人は多く、ポートフォリオの大半を株式が占めるという方も少なくない。
しかし相対的にリスクが大きい株式の比率が高いと、株式市場の下落局面で一気に資産が減少してしまう。
債券をポートフォリオに組み込むことで、株式市場の下落時のクッションとなってくれる。
ポートフォリオの安定性を高める役割を担えるのが債券の強みだ。
債券の注意点
債券で運用を行う場合、以下の3点に注意しておきたい。
- 大きなリターンを得ることは難しい
- 信用リスクが伴う
- 金利変動によって価格が変動する
1点目は「大きなリターンを得ることは難しい」という点だ。債券は比較的値動きが落ち着いているため、株式に比べると大きなリターンを得ることは難しい。
短期間で資産を増やしていきたい方には向かない投資先であるため注意が必要だ。
なかには「ジャンク債」と呼ばれる価格変動が大きい債券も存在する。ジャンク債とは、格付機関によって信用度が一定の水準を下回ると評価された債券である。
信用力が低い分だけ利回りが高く、価格変動も大きいことから大きなリターンを狙うことも可能だ。ただしリスクも大きくなるため、慎重に投資を行う必要があるだろう。
2点目は「信用リスクが伴う」という点だ。債券の発行体が債務不履行に陥った場合、利息が支払われなかったり、満期を迎えても額面金額を受け取れなかったりする可能性がある。
いわゆる「信用リスク」があることを理解した上で投資を行おう。
債券は安全性が高い投資先であるとはいえ、リスクが伴うことは認識しておかなければならない。
企業が発行する「社債」だけでなく、国や地方公共団体が発行する「公債」であっても債務不履行のリスクがあるため注意が必要だ。
格付けなどをチェックし、信用リスクが低い債券を見極めて投資しよう。
3点目は「金利変動によって価格が変動する」という点だ。市場の金利の変動によって債券価格は大きく左右される。
債券に投資を行う際には、市場の金利動向にも注目しておくことが大切だ。
市場金利が高くなると、金利が低いときに発行された債券の魅力は相対的に低下するため、価格は下がる。
反対に市場金利が下がった場合、金利が高いときに発行された債券の魅力が高まるため、債券価格は上昇する。
有利に債券投資を進めるためにも、金利動向を定期的にチェックしておこう。
自分に合った投資ポートフォリオを作るステップ
先ほど自分に合ったポートフォリオの作成が重要であると解説したが、実際にポートフォリオを作成する場合はどのような手順を踏めば良いのだろうか。
自分に合った投資ポートフォリオを作成するステップは以下の通りだ。
- 投資目標の設定
- リスク許容度を確認
- 資産配分(アセットアロケーション)の決定
- 投資商品の選択
- ポートフォリオの構築
- 定期的な見直しとリバランス
それぞれのステップについて解説していくので、ぜひ参考にして自分に合ったポートフォリオを構築しよう。
投資目標の設定
まず、自分自身の投資目標を明確にするところから始めよう。
どういった目的で資産運用を行うのかが明確になると、いつまでにいくら必要なのかがはっきり見えてきて、目標となる利回りや資産配分も決定できる。
投資ポートフォリオを作成する最初の段階で、具体的な目標を明確化しておくことが大切だ。
投資目標の例として以下のようなものが挙げられる。
- 子どもの大学進学までに500万円を準備したい
- 老後を迎える20年後までに2,000万円を貯めたい
- 5年後にマイホームを買うために300万円の頭金を用意したい
- 早期退職をするために50歳までに3,000万円を貯めたい
- 受け取った2,000万円の退職金を運用しながら取り崩したい
上記のような投資目標を立てるためには、今後のライフプランが明確になっている必要がある。
自分がどういった人生を送っていきたいのかをイメージし、今後必要となる金額を試算しておこう。
「いつまでにいくら必要なのか」という点が明確になると、そこから逆算して初期投資額や毎月の積立投資額、目標利回りなども導き出せる。
例えば20年後までに2,000万円を準備したい場合、年利5%の運用であれば毎年約60万円、年利3%の運用であれば毎年約75万円の積立で準備可能だ。
こうしたシミュレーションはインターネット上のツールを使えば簡単に計算できる。具体的な投資目標とともに、投資額や目標利回りも明確にしておこう。
リスク許容度を確認
具体的な投資目標が明確になったら、次にリスク許容度を確認していく。
リスク許容度とは、投資の収益がマイナスに振れたときにどの程度の損失まで許容できるかという度合いのことだ。
投資戦略の基盤となる重要な要素であるため、ポートフォリオを作成する前の段階でリスク許容度を確認しておこう。
リスク許容度が高い場合、ある程度リスクが高いポートフォリオを構築して問題ない。
多少の損失を抱えても耐えられるのであれば、リスクを覚悟で積極的にリターンを狙いに行くと良いだろう。
一方、リスク許容度が低い場合は低リスクなポートフォリオの構築が必要となる。
複数の投資先に分散したり、値動きが落ち着いている投資先を多めに組み込んだりといった工夫をして堅実なリターンを狙いに行くと良い。
リスク許容度については以下の要素をもとに総合的に判断することが大切だ。
年齢 | 若い人の方が資産が必要となる時期までの期間が長く、損失をカバーできる時間的余裕があるため、リスク許容度が高い傾向にある。 |
---|---|
資産状況 | 資産規模が大きい人の方が投資で多少損失が生じても影響が小さく済むため、リスク許容度が高い傾向にある。 |
投資経験 | 投資経験を積んでいる人は多少の損失に慣れており、リスク許容度が高い傾向にある。 |
性格 | 上記の要素でリスク許容度が高い人であっても、資産が減少することに抵抗・不安を感じる人はリスク許容度が低い。 |
自分自身のリスク許容度を把握し、どの程度のリスク・リターンのバランスで運用すべきかを検討していこう。
資産配分(アセットアロケーション)の決定
投資目標とリスク許容度が明確になったら、次はアセットアロケーションを決めていく。アセットアロケーションは前述した通り、大まかな資産クラスの配分のことだ。
アセットアロケーションを決める際は、先ほど明確にした投資目標とリスク許容度に基づいて資産の配分を検討しよう。
リスク許容度が高くて積極的にリターンを狙いたい人はリスクが大きい資産を中心に組み込み、リスク許容度が低くて堅実に運用したい人はリスクが小さい資産を中心に組み込むと良い。
以下の表は、代表的な資産クラスとそれぞれの特性をまとめたものだ。
株式 | 比較的リスクが大きく、高い収益性を期待できる。債券の値動きとの相関性が低い。 |
---|---|
債券 | 比較的リスクが小さく、安定した運用を行える。株式の値動きとの相関性が低い。 |
不動産(REIT) | 中程度のリスクがあり、比較的安定した収益を期待できる。金融市場の値動きとの相関性が低い。 |
金 | 安全資産と言われており、金融市場が有事の際に価格が上昇しやすい。 |
リスクを取って積極的にリターンを得たい人は株式や不動産を多め、堅実に運用したい人や債券や金の比率を高めると良い。
また、多くの資産クラスを保有する方が分散効果が高まり、資産全体のリスクを抑え込めることも頭に入れておこう。
そして、株式・債券については国内よりも外国の方がリスクが大きくなりやすい。
外国株式・外国債券の収益は為替変動による損益も影響するため、国内株式・国内債券よりも収益の振れ幅が大きくなるためだ。
よりリスクを取りたい人は外国の株式・債券を取り入れると良いだろう。
投資商品の選択
投資目標・リスク許容度にマッチしたアセットアロケーションを決めたら、次は具体的な投資商品の選択に進む。
株式や債券、不動産、金などの資産クラスのなかでどういった商品に投資を行うかを決定しよう。
個別の株式・債券や現物の不動産・金を購入しても良いが、運用しやすいのは投資信託である。
株式や債券、金に投資するファンドに投資をしたり、REITで間接的に不動産投資をしたりといった形がおすすめだ。各資産クラスに対応した投資信託を選択しよう。
以下の表は、各資産クラスに対応した投資信託の一例をまとめたものだ。
国内株式 | たわらノーロード日経225 ひふみプラス eMAXIS Slim国内株式(TOPIX) |
---|---|
外国株式 | eMAXIS Slim米国株式(S&P500) アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信 eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー) |
国内債券 | ニッセイ国内債券インデックスファンド ノーロード明治安田社債アクティブ 東京海上セレクション・物価連動国債 |
外国債券 | eMAXIS Slim先進国債券インデックス フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド iFree新興国債券インデックス |
不動産 | ダイワJ-REITオープン eMAXIS Slim国内リートインデックス フィデリティ・USリート・ファンド |
金 | 三菱UFJ純金ファンド ゴールド・ファンド iシェアーズ ゴールドインデックス・ファンド |
上記のほかにも各資産クラスに対応した投資信託は数多く提供されているため、好みのファンドを選んでみると良いだろう。
ポートフォリオの構築
アセットアロケーションが決まり、具体的な投資商品まで明確になったら遂にポートフォリオを作成する。
アセットアロケーションの資産配分比率に合わせ、ポートフォリオを構築して各商品を買い付けていく。
ここまでのステップで決めてきたものをもとにポートフォリオを作るだけなので、簡単に作成できるだろう。
ポートフォリオが出来上がったら、再度運用目標やリスク許容度と照らし合わせておくと良い。
「本当に目標利回りに到達できそうか」「リスク許容度を超えるポートフォリオになっていないか」という点をしっかりと確認することが大切だ。
購入する商品が投資信託であれば、交付目論見書や運用報告書などで直近数年分のパフォーマンス・利回りをチェックできる。
各商品の直近の利回りをもとにポートフォリオ全体の期待利回りを算出し、目標利回りを達成できそうか確認しておこう。
ポートフォリオ全体の期待利回りが目標を達成できそうであれば、実際に各商品を買い付けていく。
先ほど決めたアセットアロケーションの配分比率に合わせて各商品を購入すると、自分に合ったポートフォリオでの運用がスタートする。
定期的な見直しとリバランス
ポートフォリオを作成して運用が始まってからもやるべきことはある。定期的にポートフォリオの見直しを行い、必要に応じてリバランス(資産の再配分)を行う必要があるのだ。
金融商品は日々価格が変動しており、保有商品もそれぞれ異なる値動きとなる。大きく値上がりする商品もあれば、思うように利益が出ない商品もあるだろう。
運用当初は「株式40%・債券30%・不動産30%」といったバランスで運用していたはずが、気が付くと「株式60%・債券20%・不動産20%」という比率に崩れてしまう場合がある。
資産配分が崩れると、当初想定していたリスク・リターンのバランスも崩れてしまい、投資計画に狂いが生じてしまう。
そのため、リバランスを行って資産配分をもとに戻さなければならない。
また、ポートフォリオが崩れていなくても、自分自身のリスク許容度が変化したことでリバランスが必要となるケースもある。
年齢を重ねたり、子どもが誕生して家族構成が変わったりなどの理由でリスク許容度が変化した場合、ポートフォリオのリスク水準も調整しなければならない。
理想のポートフォリオよりも比率が大きい商品を一部売却し、比率が小さい商品を追加購入することでリバランスできる。
定期的にポートフォリオの状況をチェックし、適切なリスク水準にコントロールしていくことが大切だ。
【目的別】おすすめの分散投資ポートフォリオ
次に、おすすめの分散投資ポートフォリオを投資目的別に紹介していく。
安全型・バランス型・積極型のポートフォリオをそれぞれ紹介するので、自分の投資目的に近いものを参考にしてポートフォリオを構築していこう。
なお、ここでは投資信託を活用して運用するポートフォリオを紹介していく。
安全型のポートフォリオ
安全性を重視して資産運用を行いたい方は、以下のような資産配分での運用がおすすめだ。
- 国内債券:50%
- 外国債券:20%
- 国内株式:20%
- 外国株式:10%
安全型のポートフォリオを希望する場合、値動きの安定性が高い債券を中心としたポートフォリオがおすすめである。
資産の約半分を国内債券のインデックスファンドで構成し、残りの半分を先進国債券や国内株式、外国株式のインデックスファンドをそれぞれ買い付けていく。
債券は全体的に安定した値動きとなるケースが多いため、ポートフォリオの動きはかなり落ち着いたものとなる。
万が一債券市場が下落局面に突入しても、一部保有している株式によってリスクヘッジができる。
安全性が高い債券を中心に資産を構成しつつ、リスクヘッジとして株式も保有する低リスクなポートフォリオだ。
また、安全性を重視したい方には投資先が広く分散されたインデックスファンドの活用を推奨する。
「ニッセイ国内債券インデックスファンド」や「eMAXIS Slim先進国債券インデックス」などの商品を活用し、低コストで堅実にリターンを狙っていこう。
さらに安全性を高めたいのであれば、ポートフォリオに不動産や金などを組み込むと良いだろう。
「eMAXIS Slim国内リートインデックス」や「iシェアーズ ゴールドインデックス・ファンド」などを10%ほど組み込んでポートフォリオを多様化させると、より安全性が高いポートフォリオが完成する。
バランス型のポートフォリオ
資産バランスを重視して資産運用を行いたい方は、以下のような資産配分での運用がおすすめだ。
- 国内債券:25%
- 外国債券:25%
- 国内株式:25%
- 外国株式:25%
バランス型のポートフォリオを希望する場合、国内債券・先進国債券・国内株式・全世界株式を25%ずつ保有するポートフォリオがおすすめである。
それぞれ広く分散されたインデックスファンドを買い付け、低コストでバランス良く運用を行うという資産配分だ。
値動きの相関性が低い株式・債券をバランス良く組み合わせているため、大きく資産を損なうリスクは低い。
また、投資対象地域も国内外でバランスが取れており、特定の地域の影響を受けにくい。リスクへの対策を講じつつ、しっかりと収益も期待できることが特徴だ。
そして「国内債券25%・外国債券25%・国内株式25%・外国株式25%」という資産配分は、日本の公的年金を運用・管理しているGPIFの基本ポートフォリオと同じである。
GPIFでは、年金財政上必要な利回りを満たしながら最もリスクが小さいポートフォリオを選定した結果、上記の資産配分に決定された。
ある程度の利回りを確保しつつ、リスクも抑えられるバランスの良いポートフォリオであることが分かるだろう。
積極型のポートフォリオ
ある程度のリスクを許容して積極的にリターンを狙いたい方は、以下のような資産配分での運用がおすすめだ。
- 外国債券:30%
- 国内株式:30%
- 外国株式:40%
積極型のポートフォリオを希望する場合、比較的リスクが大きい国内外の株式や外国債券を中心とした運用ポートフォリオがおすすめだ。
値動きが比較的落ち着いている国内債券を除外し、できる限り高いリターンを狙えるポートフォリオを構築している。
より大きなリターンを狙いたい方はアクティブファンドを活用しても良いだろう。
プロのファンドマネージャーが銘柄を選定する分だけコストは高くなるが、期待できるリターンも大きくなる。
リスクを覚悟でリターンを狙いたい方は、アクティブファンドを活用したポートフォリオの構築を検討してみてほしい。
アクティブファンドであれば「USハイ・イールド・ファンド」「ひふみプラス」「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信」などの選択肢がある。
ファンドの運用方針やリスク水準、手数料を確認した上でポートフォリオに組み込んでみると良いだろう。
もちろんコストを抑えて運用したいのであれば「たわらノーロード日経225」や「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」といったインデックスファンドを選んでも問題ない。
投資経験が少ない初心者の方はインデックスファンド中心、慣れてきた投資経験者の方はアクティブファンド中心でポートフォリオを作成しても良いだろう。
初心者は気をつけたい!資産運用の注意点
投資初心者の方がこれから資産運用を始める場合、以下の3つの点に注意が必要だ。
- 余剰資金の範囲内で行う
- 過剰なリスクを避ける
- 相場に左右され過ぎない
大きな失敗を避けてしっかりと資産を増やしていくためにも、上記の3点を頭に入れておこう。
余剰資金の範囲内で行う
まず、大前提として資産運用に回す資金は余剰資金の範囲内に抑えることが大切だ。自分自身の家計や資産状況の見直しを行い、余剰資金額を把握した上で資産運用を始めよう。
投資で順調に資産が増えていくと「もっと増やしたい」という思いから、余剰資金を超えて生活費に手を出してしまうケースがある。
しかし、リスクが伴う投資に生活費や緊急用の資金を回すのは絶対に避けなければならない。
株式や投資信託などの金融商品は、預貯金とは違って元本が保証されていない。運用がうまくいっているときは問題ないが、相場が下落しているときには損失を抱える可能性がある。
生活費を投資に回して損失を抱えてしまった場合、生活が成り立たなくなる恐れがある。
また、株式や投資信託は換金するまでに少し時間がかかる点もデメリットだ。売却の注文をしてから数日後に入金されるため、緊急用の資金の運用には向いていない。
生活費や緊急用の医療費などは投資に回さない方が良いだろう。
資産運用を行う際には、自身の「生活防衛資金」を残した上で余剰資金を活用すると良い。
生活防衛資金とは、万が一働けなくなったときや大きな出費が発生した場合に備え、あらかじめ準備しておく当面の生活費のことだ。
生活防衛資金は家族構成や働き方、収入状況によっても異なるが、目安としては生活費の半年分〜1年分を確保すべきと言われている。
毎月の生活費が20万円であれば、最低でも120万円を預貯金等で確保しておくと良い。
生活防衛資金を別で確保した上で、残った余剰資金を投資に回して将来への備えを充実させよう。
過剰なリスクを避ける
投資初心者の方は、資産運用を始める際に過剰なリスクを避けて運用することが大切だ。
高いリターンを追求し過ぎて過度にリスクテイクをしてしまうケースがあるため、身の丈に合ったリスク水準で資産運用を実践しよう。
資産運用における「リスク」とは、価格の振れ幅の大きさのことを指す。
「リスクが大きい」というのは「価格の振れ幅が大きい」という意味であり、プラスにもマイナスにも大きく価格が振れる可能性があるということだ。
大きなリターンを狙うためには価格が大きく動く必要があるため、必然的にリスクが大きい投資先を選ぶことになる。
しかしリスクが大きくなれば、その分だけ大きくマイナスに振れる可能性もあり、資産が一気に減ってしまう危険性も伴う。
リターンを狙い過ぎて過剰にリスクを取ってしまうと、大きな損失を被る可能性があることを認識しておこう。
リスクを軽減しながらある程度のリターンを追求する方法としては、前述した「長期・分散・積立」による投資戦略がおすすめだ。
同じ資産クラスに投資を行う場合でも、銘柄を分散して長期的に積立投資を行うことでリスクがかなり軽減される。
また、長期投資を行うことで利益が新たな利益を生み出す「複利効果」も得られる。時間を味方につけて資産が雪だるま式に増えていく仕組みだ。
過剰にリスクを取って短期間で資産を増やそうとするのではなく、じっくりと時間をかけて投資効率を高めていき、資産を成長させていく戦略を構築しよう。
相場に左右され過ぎない
株式や債券などの金融商品に投資を行う場合、相場の環境に左右され過ぎないことが大切だ。自分なりの根拠や軸を明確に定め、冷静に運用を続けていくことが重要なポイントである。
例えば、株式市場全体に大きな不安が広がって株価が暴落する局面というのは定期的に訪れる。
投資家が株を一気に手放すことで株価が下落し、さらに株価の下落に不安を感じた投資家が株を売却するという悪循環で暴落していく。
しかし、過去の株式市場の暴落事例をチェックしてみると、ほとんどの場合は株価が回復して暴落前の水準を超えていく。
ブラックマンデーやリーマンショック、コロナショックなどのさまざまな暴落が株式市場で起こっているが、数ヶ月から数年という単位で株価はもとの水準を超えている。
短期的な収益を狙った投資スタイルであれば、暴落局面ですぐに撤退するという判断は賢明と言えるだろう。
しかし長期的な資産形成を目的に投資をしている場合、一時的な暴落で手放すべきではない。下落している局面でも投資を続け、回復を待つことが大切だ。
相場が下落している局面ではインターネットやSNSでもネガティブな意見を目にする機会が増え、不安を感じることが多いだろう。
しかし相場に左右されて投資をやめてしまうと、その後回復したときに大きな後悔が残ってしまう。
暴落しているときはなるべくネガティブな意見をシャットアウトし、自分自身の投資方針をあらためて見つめ直すと良い。
「むしろ暴落で安く買える」というモチベーションを持って資産運用を続けていこう。
資産運用はプロへの相談がおすすめ!
資産運用を始めるのであれば、投資助言を行うプロに相談することをおすすめする。自分に合った信頼できるパートナーを探し、ベストな投資戦略を提案してもらおう。
ここでは、資産運用を専門家に相談するメリットや相談先の選択肢について解説していく。
資産運用を専門家に相談するメリット
資産運用を専門家に相談するメリットとして主に以下の3点が挙げられる。
- 専門的なアドバイスを得られる
- 自分に合った投資戦略を提案してもらえる
- 不安なことをすぐに相談できる
それぞれのメリットについて解説していく。
専門的なアドバイスを得られる
投資助言を行うプロに相談することで、豊富な知識と経験をもとにした専門的なアドバイスを得られる。
資産運用について専門的な観点から助言を受けられる点は、専門家に相談する大きな魅力と言える。
特にこれから資産運用を始める初心者の方は、右も左も分からないという状態で不安を感じていることだろう。
幅広い専門知識とあらゆる経験を身に付けたアドバイザーが丁寧にサポートしてもらえるというのは非常に心強い。
専門的な投資助言を得たい方はプロに相談することをおすすめする。
自分に合った投資戦略を提案してもらえる
自分に合った投資戦略を提案してもらえる点も、投資助言を行うプロに相談するメリットのひとつだ。
現在の資産状況や家族構成、収入、希望するライフプランに基づき、最適化された投資戦略を提案してもらえる。
近年、インターネットやSNSなどでも簡単に投資情報にアクセスできるようになった。
しかしそれらの情報はあくまでも「一般向けの情報」であり、あなたの状況に適した情報であるとは限らない。
投資助言を行うプロは、あなたの資産状況やライフプランなどを丁寧にヒアリングした上で、ぴったりの投資戦略を提案する。
一般化された投資情報ではなく、自分自身に最適化された投資情報を得られる点がプロに相談するメリットだ。
不安なことをすぐに相談できる
不安なことをすぐに相談できる相手が見つかるという点も、投資助言を行うプロに相談する利点だ。
特に、投資経験が少ない初心者の方にとって魅力的なポイントであると言えるだろう。
資産運用をしていると、相場が大きく動いて混乱状態に陥ったり、下落局面が続いて資産がどんどん目減りしていったりすることも多い。
ある程度投資に慣れている人であれば冷静に対応できるが、投資初心者の方は不安に感じることも多いだろう。
投資助言のプロに相談していれば、何かあったときにもすぐに相談できる。身近に頼れるパートナーがいるおかげで、相場が不安定な局面でも安心して乗り越えられる。
不安なことをすぐに相談できるパートナーを探しておこう。
相談先の選択肢
プロへの相談がおすすめであると解説したが、どういったアドバイザーに相談すれば良いのだろうか。
資産運用の相談先として以下のような選択肢が挙げられる。
- 証券会社
- FP(ファイナンシャルプランナー)
- IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)
それぞれの相談先について解説していく。
証券会社
証券会社に所属するアドバイザーに相談するというのが選択肢のひとつだ。
株式や投資信託などの金融商品を取り扱う証券会社は、顧客から相談を受けて最適な商品を提案し、販売するという役割を担っている。
近年は証券業界のなかで「ネット証券」が勢力を伸ばしているが、一般的に資産運用の相談を検討している場合は店舗を持つ「総合証券」の利用がおすすめだ。
店舗に在籍するアドバイザーが対面や電話などで相談対応し、適切な助言を提供してくれる。野村證券や大和証券などの総合証券で資産運用の相談をしてみると良いだろう。
ただし証券会社は自社で取り扱う商品を顧客に販売し、収益を得るというビジネスモデルになっている。
そのため、提案される商品が必ずしも自分に合っているものとは限らず、証券会社側が儲かる商品を提案してくる可能性もある。
提案された商品が本当に自分に合っているのかを見極めるためにも、商品のリスク水準や手数料などをチェックしておこう。
FP(ファイナンシャルプランナー)
FP(ファイナンシャルプランナー)に資産運用の相談を行うという手もある。FPは、家計や保険、不動産、住宅ローン、税金、年金、資産運用などの幅広いお金の知識を有している専門家だ。
FPはお金の専門家として幅広い知識を有しているため、資産運用以外の相談も行えることが特徴として挙げられる。
家計・保険の見直しや住宅ローンの資金計画、老後に向けた年金の準備など、資金計画全般を相談したい方におすすめの相談先だ。
実際にFP事務所に出向いて相談する方法もあれば、セミナー経由でFPと出会って個人面談を行うという方法もある。
オンラインでの相談に対応しているFPも多く、気軽に相談を行えることが魅力だ。
ただし、FPは原則として具体的な金融商品の提案や仲介などを行うことはできない。
一般的な資産運用の悩みは相談できるが、具体的に商品提案まで踏み込んだ助言を得たい方には向いていない相談先だ。
資産運用を含めたお金の悩みを総合的に相談したい方は、FPへの相談を検討してみよう。
IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)
IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)も相談先の選択肢のひとつだ。IFAとは、特定の金融機関には所属せずに独立した立場から資産運用の助言を行う専門家である。
資産運用の相談を行うのであれば、IFAへの相談がもっともおすすめだ。
IFAは証券会社と業務提携を行っているため、顧客に対して具体的な金融商品を提案できる。
しかし経営上の立場は金融機関から独立しているため、特定の商品を推奨するような方針が設けられたり、販売ノルマが与えられたりすることはない。
中立な立場を維持しながら、顧客に対して金融商品の提案を行えることがIFAの強みだ。
また、IFAは原則として転勤や異動などの会社都合で担当者が変わってしまうこともなく、同じ担当者が長期にわたって資産運用をサポートしてくれる。
自分自身の資産運用を長期目線で支えてくれるだけでなく、次世代への資産承継の問題などにも対応可能だ。
中立な立場から長期にわたって資産運用をサポートし続けてくれるIFAへの相談を検討してみてはいかがだろうか。
おすすめの資産運用の戦略を活用しよう
インフレリスクや年金・退職金の減少、長寿化などによって資産運用の必要性は高まっている。
長期・分散・積立による運用をベースとしつつ、NISA・iDeCoを利用しながら自分に合ったポートフォリオを構築して投資戦略を立てよう。
本記事では、自分に合ったポートフォリオを作成する方法や目的別のおすすめ投資ポートフォリオを紹介した。
ぜひ本記事の内容を参考にして最適なポートフォリオを構築し、効果的な資産運用を実践しよう。
また、資産運用の注意点として「余剰資金の範囲内で行う」「過剰なリスクを避ける」「相場に左右され過ぎない」というポイントを紹介した。
さまざまな注意点を気にしながら資産運用を行うことが難しければ、投資助言を行うプロへの相談がおすすめだ。
資産運用をプロに相談することで、専門的なアドバイスを得られたり、自分に最適化された投資戦略を提案してもらえたりといったメリットがある。
証券会社やFPなどの相談先も存在するが、なかでも中立な立場で投資助言を提供してくれるIFAがおすすめだ。
IFA検索サービスなどを活用して信頼できる相談先を探してみてはいかがだろうか。