- 資産運用の相談をどこにすべきか迷っている
- 無料や有料相談があって、何が違うかわからない
「老後2,000万円問題」が話題になったことや、新NISA制度が始まったことをきっかけに資産運用に興味を抱いている方が増えてきている。
自分で資産運用を始めることに不安を感じ、プロへの相談を検討しているという方も多いだろう。
資産運用の相談先の選択肢は証券会社の担当者、IFA、FPなど複数あるが、いったいどこで相談を行うべきなのだろうか。
本記事では、プロに資産運用の相談をすべき理由や相談先の特徴、相談を行う方法について解説していく。
相談先選びのポイントや事前準備についても紹介するので、ぜひ本記事を参考にベストな資産運用のパートナーを探し出そう。
みんなは資産運用についてプロに相談している?
弊社アンケート調査で行った「現在、資産運用の相談をどこにしていますか?(複数選択可)」という質問に対して「特にいない」と回答した人は17.9%だった。
裏を返すと、回答者の80%以上が資産運用を誰かに相談していると捉えられる。
具体的な相談先として以下のような回答結果が得られた。
相談先 | 回答割合 |
---|---|
銀行 | 27.2% |
証券会社 | 14.9% |
FP | 13.3% |
IFA | 1.0% |
信託銀行 | 1.0% |
家族や友人 | 43.6% |
YouTubeやXなどのSNS | 17.9% |
その他 | 0.5% |
家族や友人などの身近な人に相談している人の割合がもっとも高かった一方、銀行や証券会社、FPなどのプロに相談している方も多い。
資産運用の相談先にプロを選ぶ人は比較的多いと言えるだろう。
資産運用はプロへの相談がおすすめな理由
資産運用の相談をプロに行うべき理由は主に以下の3点だ。
- 専門知識をもとに助言してもらえる
- ライフプランに合わせた提案を受けられる
- 困ったときの相談相手に出会える
推奨される理由を確認して納得した上でプロへの相談を申し込もう。
専門知識をもとに助言してもらえる
もっとも大きなメリットと言えるのが「高度な専門知識を有するプロから助言を得られる」という点だ。
豊富な知識・経験を持つプロフェッショナルから助言を得られる機会はなかなかないため、大きなメリットと言えるだろう。
資産運用における投資先には株式や投資信託、債券、不動産などがあるが、それらの価格はあらゆる要素が影響し合って変動している。
政治的・経済的な要因や個別企業の業績、為替相場の変動など、さまざまな要因を紐解いて最適な運用戦略を構築しなければならない。
知識がない状態で適当にはじめても上手くいかないのが資産運用である。
しかし、日頃仕事で忙しい人が資産運用の知識を学習し、自身の運用戦略に落とし込むことは容易ではない。
専門的な知識を豊富に有するプロに相談することで、知識を習得する必要はなくなる。
手間や時間をかけずにプロの知識をもとにした投資戦略を構築できる点は非常に大きな魅力と言えるだろう。
ライフプランに合わせた提案を受けられる
資産運用を行う目的のひとつに「ライフプランを実現するための資金準備」が挙げられる。
しかし、ライフプランに必要な資金を算出したり、必要額の準備に最適な運用戦略を立てたりすることは容易ではない。
近年、SNS等でも投資・資産運用の発信を行う人が増え、有益な情報を得やすくなったことは事実だ。
しかしそれらの情報はあくまでも「一般的な考え方」であり、あなたのライフプランに合わせたものではない。
家族構成や収入・資産の状況、希望するライフプランは十人十色であるため、SNS等で発信されている情報が必ずしもあなたに適しているとは限らないのだ。
資産運用のプロに相談を行えば、あなたが希望するライフプランに合わせた運用戦略を提案してくれる。
「子どもの大学進学の費用を準備したい」「老後の生活費のために2,000万円を貯めたい」など、人生設計に沿った資産運用の道筋を提示してくれるだろう。
自分のライフプランに最適化された運用戦略を立てられる点もプロに相談すべき理由のひとつだ。
困ったときの相談相手に出会える
資産運用を行う際、思うようにリターンが得られずに悩んだり、相場が大きく動いて不安に感じたりといった場面は必ず訪れる。
そうしたときに相談できるパートナーがいてくれるというのも、プロに相談するメリットのひとつだ。
資産運用によって自分の大切なお金が日々増減することに耐え続けるのは苦しく、途中で離脱してしまう人も少なくない。
特に相場が急落している局面などでは、適切な対処法が分からずにパニックになって商品を売却してしまうケースが多い。
しかし、いつでも相談できるパートナーがいれば、困ったときには適切な助言を提供してくれる。相場が急落したり、保有資産の価値が暴落したりする局面でも冷静に対処できる。
資産運用で困ったことをなんでも相談できる相手と出会えるという点でも、プロに相談する価値があると言えるだろう。
資産運用相談先4選!メリットとデメリットを解説
次に、以下の4つの資産運用相談先を紹介していく。
- 証券会社
- 銀行
- FP
- IFA
それぞれの特徴やメリット・デメリット、費用の相場などを紹介していくので、ぜひ参考にして最適な相談先を探し出そう。
証券会社
証券会社は、株式などの有価証券の売買を仲介する企業だ。
個人投資家に向けて株式や投資信託、債券などの金融商品を提案したり、売買を取り次いだりすることが主な役割となっている。
証券会社では、支店に在籍するアドバイザーが顧客からの相談を受け、ライフプランに適した提案を行う。
担当のアドバイザーと密に連絡を取り合い、必要に応じて商品の売買などを行うという流れになる。
近年、証券業界はインターネットを通じて金融商品の売買を行う「ネット証券」が台頭している。
ネット証券でも一部で資産運用の相談を受け付けている場合もあるが、担当者が個別について相談対応してくれるのは野村證券や大和証券などの「総合証券」だ。
資産運用の相談先に証券会社を選ぶ場合は、対面で担当者が助言を提供してくれる総合証券を選択しよう。
メリット
証券会社に相談するメリットとして主に以下の4点が挙げられる。
- 専任のアドバイザーが担当してくれる
- 相談から商品の売買までワンストップで対応してもらえる
- アドバイザーが商品に対して精通している
- 幅広い商品・サービスを提案してもらえる
1点目は「専任のアドバイザーが担当してくれる」という点だ。
基本的に証券会社では1人の顧客に1人のアドバイザーが付いてくれるため、信頼関係を構築しやすいことがメリットである。
自分のことをよく知るアドバイザーに定期的に相談できる点は大きな魅力と言えるだろう。
2点目は「相談から商品の売買までワンストップで対応してもらえる」という点だ。証券会社では自社で商品を取り扱っているため、株式や債券、投資信託の売買まで対応できる。
資産運用の相談で解決策を提示してもらい、最適な商品をその場で売買できる点も大きなメリットである。
3点目は「アドバイザーが商品に対して精通している」という点だ。証券会社に在籍するアドバイザーは、自社で取り扱っている商品に対しての知識を幅広く有している。
商品の理解を深めるための研修が社内で行われていたり、社員同士で知識の共有が行われていたりと、商品知識が身に付きやすい環境となっているのだ。
商品に対して幅広い知識を有しているアドバイザーに相談できる点は大きなメリットである。
4点目は「幅広い商品・サービスを提案してもらえる」という点だ。
証券会社は株式や債券、投資信託といった一般的な金融商品に加えて、保険や相続対策用の商品などを用意している。
資産運用に関する商品だけでなく、人生設計を立てる上でのあらゆる課題をサポートできる商品が提供されているのだ。
専任のアドバイザーに運用相談から商品の提案まで助言してもらうことができ、幅広い商品選択肢を検討できることが証券会社の魅力である。
デメリット
さまざまなメリットがある一方、証券会社で相談する際には以下のようなデメリットに注意しなければならない。
- 他社商品との比較が難しい
- 最適な助言を得られるとは限らない
- アドバイザーが転勤するケースが多い
- 相談のハードルが高い
1点目は「他社商品との比較が難しい」という点だ。証券会社で相談した場合、提案されるのは当然のことながら自社商品のみである。
他社の方が良い商品・サービスを提供している場合でも、比較検討することは難しい。
相談先の証券会社の商品・サービスしか検討できなくなってしまう点はデメリットと言えるだろう。
2点目は「最適な助言を得られるとは限らない」という点だ。
証券会社は自社商品の販売によって収益を得ている企業であるため、ときには自社で売り出したい商品を提案するケースもある。
必ずしも顧客にとってベストな商品ではなくても、会社から与えられたノルマを消化するためにやむを得ず顧客に提案するというパターンは少なくないのだ。
証券会社のアドバイザーからの提案が必ずしも自分に合っているとは限らない点はデメリットと言える。
3点目は「アドバイザーが転勤するケースが多い」という点だ。証券会社のアドバイザーは、地域職でない限りは原則として数年程度で転勤してしまう。
転勤する際には新しい担当者に引き継ぎが行われるものの、定期的に担当者が変わってしまってはライフプランに合わせた長期目線での相談は難しいだろう。
4点目は「相談のハードルが高い」という点だ。証券会社は普段利用することが少ない金融機関であるため、実際に店舗に行くハードルが高いという人も少なくない。
また、具体的な相談は口座開設を行わないと対応してくれないケースが多い。「とりあえず相談してみたい」という方にとって、いきなり口座開設をすることに抵抗を感じる方も多いだろう。
証券会社で相談を行うデメリットも頭に入れておくことが大切だ。
相談費用の相場
証券会社では、相談自体に対して費用を徴収することはない。
口座開設をしていれば、原則として無料で資産運用の相談を行うことが可能だ。相談自体に費用が発生しない点はメリットと言えるだろう。
証券会社で費用が発生するのは金融商品の取引に応じた手数料である。
株式・投資信託の「売買手数料」や投資信託の保有期間中に引かれる「信託報酬」など、取引を行った際に手数料が発生する仕組みだ。
売買手数料は売買代金の1%程度、信託報酬は商品によって異なるが信託財産に対して年率1%程度が相場となる。
証券口座の開設や維持・管理にも費用はかからないため、取引をしない限りは費用はかからない。
銀行
銀行では預金や住宅ローンなどの商品だけでなく、投資信託や保険などの商品も提供されている。
銀行に在籍する担当者にライフプランや資産運用に関する相談を行い、適切な商品を提案してもらうという流れだ。
一口に「銀行」といっても、全国に広く展開する「都市銀行」や地域に根ざして業務を行っている「地方銀行」などがある。
いずれの銀行であっても投資信託や保険などの商品は基本的に取り扱っているため、自分が普段利用している銀行で相談を行うと良いだろう。
ただし、証券会社と同様に銀行業界も「ネット銀行」が台頭してきている。
ネット銀行の場合、投資信託などの商品の取引は行えるものの、担当者が付いてアドバイスを提供してくれることは少ない。
担当者に相談したいのであれば、店舗に出向いて専用の相談窓口を利用することを推奨する。
メリット
銀行で相談を行うメリットとして主に以下の4点が挙げられる。
- 普段利用する銀行で相談できる
- 相談から商品の売買まで行える
- 幅広い商品・サービスを提案してもらえる
- 比較的低リスクな商品が多い
1つ目は「普段利用する銀行で相談できる」という点だ。銀行はほとんどの人が利用する金融機関であるため、相談に行くハードルは証券会社に比べて低い。
預金口座を持っていたり、住宅ローンを契約していたりなど、普段利用している銀行で気軽に相談を行えることがメリットだ。
2つ目は「相談から商品の売買まで行える」という点だ。
証券会社と共通する利点だが、資産運用についての相談をした後にそのまま商品提案まで受けることができ、実際の取引も銀行で完結できる。
相談から取引までをワンストップで行える点は銀行の大きな強みと言えるだろう。
3つ目は「幅広い商品・サービスを提案してもらえる」という点だ。
こちらも証券会社と共通している部分だが、銀行では投資信託に加えて保険や個人向け国債、定期預金、外貨預金などの幅広い商品・サービスを取り扱っている。
さまざまな選択肢のなかから自分に合った商品を選べる点は銀行の大きな魅力だ。
4つ目は「比較的低リスクな商品が多い」という点だ。
銀行では比較的リスクが大きい株式の取り扱いはなく、投資信託・保険・個人向け国債・預金といった相対的に低リスクな商品が多い。
「リスクを取った運用で損をするのが怖い」という方でも安心して取引を行えることが銀行の特徴だ。
相談するハードルの低さや商品の選択肢の多さ、取り扱い商品のリスクの低さなどが銀行を利用するメリットと言えるだろう。
デメリット
多くのメリットがある銀行だが、一方で以下のようなデメリットも存在している。
- 他社商品との比較が難しい
- 最適な助言を得られるとは限らない
- 数年で転勤する可能性がある
- 商品の取り扱いが少ない
1つ目は「他社商品との比較が難しい」という点だ。銀行で相談する場合も証券会社と同様、自社商品の提案しか受けることはできない。
限られた選択肢から商品を選びたい人は問題ないが、他社の商品と比較しながら自分に合った選択肢を選びたい人にとってはデメリットであると言えるだろう。
2つ目は「最適な助言を得られるとは限らない」という点だ。
こちらも証券会社と同様に、自社商品を売り出したい銀行側と自身の資産成長のために最適な商品を選びたい顧客側でギャップが生じてしまう。
銀行から提案された商品が必ずしも自分に合っているとは限らないという点はデメリットとして頭に入れておこう。
3つ目は「数年で転勤する可能性がある」という点だ。都市銀行・地方銀行はともに数年で転勤・異動となるケースが多く、担当者が変わってしまう可能性が高い。
定期的に担当者が変わってしまうストレスを感じたり、長期的な相談を行えないことに不信感を抱いたりする可能性がある点にも注意しておく必要がある。
4つ目は「商品の取り扱いが少ない」という点だ。銀行では株式の取り扱いはなく、投資信託の取り扱い本数も証券会社に比べると圧倒的に少ない。
株式投資を検討している方や投資信託を幅広い選択肢から選びたい方にとっては大きなデメリットとなるだろう。
銀行では他社商品との比較が難しい点や担当者が変わってしまう点に加え、証券会社よりも投資先の選択肢が少ない点がデメリットとなっている。
相談費用の相場
銀行も証券会社と同様に、相談自体に手数料がかかるケースは基本的にない。
相談で手数料を徴収するのではなく、無料で相談を受け付けて商品の提案を行い、取引が行われたときに手数料を徴収するという仕組みで収益を得ているのだ。
発生する手数料は、商品の売買時にかかる「売買手数料」や投資信託の保有期間中にかかる「信託報酬」である。
売買手数料は売買代金の1%程度、信託報酬は信託財産に対して年率1%程度が相場となっている。
銀行口座についても口座の開設や維持・管理に手数料は基本的にかからないため、取引をしない限りはコストをかけずに相談を行える。
FP
FP(ファイナンシャル・プランナー)は、資産運用をはじめとしたお金に関する知識を幅広く有していることが特徴の専門家だ。
相談者のライフプランや家計の状況、家族構成などを踏まえて現状の分析を行い、資産の管理・運用に関するアドバイスを行うことが主な役割となっている。
FPは、家計の管理や老後に向けた生活設計、教育資金・住宅資金の準備、資産運用、保険、相続・贈与、税金などの幅広いジャンルに専門知識を有することが特徴だ。
資産運用の助言はもちろん、顧客のニーズに合わせてあらゆる角度から助言を提供できる。
FPには、金融機関や保険会社に所属する「企業系FP」と独立してFP業務を行っている「独立系FP」の2種類が存在する。
それぞれ異なる特徴やメリット・デメリットが存在するが、本記事では基本的に独立系FPに相談するケースを解説していく。
メリット
FPに相談を行うメリットとして以下の4点が挙げられる。
- お金に関して総合的な助言を受けられる
- 特定の商品を推奨される心配がない
- 店舗に行かなくても相談できる
- 転勤する可能性が低い
1つ目は「お金に関して総合的な助言を受けられる」という点だ。
前述の通り、FPは資産運用だけでなく、教育資金・住宅資金や保険、相続・贈与などについて幅広く専門知識を有していることが強みだ。
総合的な観点からあなたの資産運用や今後のライフプランをサポートしてくれる点が大きなメリットである。
2つ目は「特定の商品を推奨される心配がない」という点だ。
FPは具体的な金融商品の提案を行うことは原則としてできないため、銀行や証券会社のように特定の商品ばかりを推奨されるという心配がない。
「商品提案を断るのはストレスに感じる」という方でも、安心して相談を行える点がFPのメリットだ。
3つ目は「店舗に行かなくても相談できる」という点だ。FPは店舗での相談以外に、自宅やカフェでの対面相談やオンラインを活用した面談などに対応している。
「小さい子どもがいて長時間の外出は難しい」「店舗まで出向くのは大変」というケースでも気軽に相談を行える点がFPの強みだ。
4つ目は「転勤する可能性が低い」という点だ。証券会社や銀行と違い、FPのほとんどは原則として転勤や異動などで担当者が変わってしまうことが少ない。
同じ担当者が中長期にわたって対応してくれて、ライフスタイルが変わったときなどにいつでも相談できる。長期にわたる信頼関係を構築しやすい点はFPを利用する大きな利点だ。
資産運用以外の観点も含めた総合的な助言を受けられ、長期的に相談を継続できる点がFPの強みと言えるだろう。
デメリット
FPに相談するデメリットとして以下のような点が挙げられる。
- 具体的な商品の提案を受けられないケースが多い
- 相談料が発生するケースがある
- 資産運用が不得意なアドバイザーが存在する
- FP資格を有していない場合もある
1つ目は「具体的な商品の提案を受けられないケースが多い」という点だ。前述の通り、FPは原則として具体的な金融商品の提案を行うことができない。
資産運用に関しての一般的な説明にとどまり、踏み込んだアドバイスを得られない点はデメリットだ。なかには商品の販売資格を持つFPも存在するが、全体の割合で考えると少ない。
2つ目は「相談料が発生するケースがある」という点だ。
証券会社や銀行は相談自体に費用が発生しない一方、FPの場合は相談料を徴収してコンサルティングを行うケースも少なくない。
気軽に無料相談をしたい人にとってはデメリットと言えるだろう。なかには無料相談を提供しているケースもあるが、企業に所属して商品の販売を目的としていることが多い。
3つ目は「資産運用が不得意なアドバイザーが存在する」という点だ。FPといっても対応する領域が幅広いため、すべてのアドバイザーが資産運用を得意としているわけではない。
「保険の提案に強みはあるけれど資産運用は得意ではない」といったケースがある点に注意が必要だ。事前に得意分野をチェックしておくと良いだろう。
4つ目は「FP資格を有していない場合もある」という点だ。FPには「FP1級・2級・3級」「AFP・CFP」といった資格が設けられているが、資格取得による独占業務は存在しない。
そのため、資格を有していない人でも「FP」を名乗って業務を行うことが可能となっている。無資格者がFPを名乗って業務を行っている可能性がある点に注意が必要だ。
踏み込んだアドバイスを得ることが難しく、資産運用について満足できる助言を得られない可能性がある点がFPに相談するデメリットである。
相談費用の相場
FPに相談する際の料金については、各業者で異なる料金体系が設けられている。
「1時間あたり〇〇円」というケースもあれば、月額・年額単位で契約する顧問制で料金体系を設定しているケースもある。
希望する相談頻度や予算と照らし合わせつつ、最適なFPを選択しよう。
日本FP協会認定のCFP・AFPが設定している1時間あたりの相談料の調査では、以下のような結果となっている。
1時間あたりの相談料 | 割合 |
---|---|
5,000円未満 | 14.2% |
5,000〜10,000円 | 47.3% |
10,000〜20,000円 | 33.5% |
20,000円以上 | 5% |
上記とは別に提案書の作成費用などの諸費用がかかるケースがある。相談費用の相場をもとに最適な相談先を検討しよう。
IFA
IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)は、銀行や証券会社などの既存の金融機関から独立した立場で顧客の資産運用をサポートする専門家だ。
顧客から相談を受け、ライフプランに基づく運用計画の策定や具体的な金融商品の提案、金融機関との仲介を行うことが主な役割となっている。
米国でIFAは医師や弁護士などと並んで社会的地位が高い職業であると言われている一方、日本ではまだまだ定着しているとは言えない。
しかし、近年はIFAのサービスが日本でも広がり始めており、徐々にIFA事業者も増えつつある状況だ。
メリットの部分で詳しく解説するが、IFAは銀行や証券会社での相談におけるデメリットを解消できる存在として注目を集めている。
資産運用に関する相談先をお探しの方は、IFAも選択肢として検討してみると良いだろう。
メリット
IFAに相談するメリットは主に以下の4点だ。
- 相談から商品の売買までワンストップで行える
- 中立な目線からの助言を得られる
- 長期的な関係性を構築しやすい
- あらゆる運用手法を検討できる
1つ目は「相談から商品の売買までワンストップで行える」という点だ。IFAは銀行や証券会社と提携しており、提携先の金融機関と顧客を仲介する役割を担っている。
顧客から受けた注文を金融機関に取り次ぎ、売買まで行える仕組みとなっているのだ。相談から商品の売買までを完結できる点がIFAに相談するメリットである。
2つ目は「中立な目線からの助言を得られる」という点だ。IFAは金融機関と提携は行っているものの、経営の独立性を保って顧客に助言を行っている。
外部の立場であるからこそ中立な目線を持って顧客に商品提案を行えるのだ。
特定の商品ばかりを推奨されたり、手数料が高い商品を無理に勧誘されたりといった心配がない点も魅力である。
3つ目は「長期的な関係性を構築しやすい」という点だ。IFAには原則として転勤・異動といった制度がなく、同じ担当者が長期にわたってアドバイスを提供してくれる。
自分のことをよく知る担当者がライフプランに寄り添ってサポートしてくれるため、安心して資産運用を任せられる点が魅力である。
4つ目は「あらゆる運用手法を検討できる」という点だ。
IFAは株式や投資信託、債券といった一般的な金融商品はもちろん、不動産投資や仕組み債、ヘッジファンドなどの投資手法にも対応している。
また、複数の金融機関と提携しているケースも多く、さまざまな商品から投資先を選択可能だ。ニーズや資産状況に合わせて投資戦略を構築できる点がメリットである。
中立な立場から長期にわたって最適な投資手法を提案してもらえることがIFAに相談する利点だ。
デメリット
さまざまな魅力があるIFAだが、相談する際には以下のようなデメリットに注意しておきたい。
- 手数料が発生する
- 会社規模が小さい
- IFA法人を探すこと自体が難しい
- 得意分野がアドバイザーによって異なる
1つ目は「手数料が発生する」という点だ。IFAでは相談自体に手数料がかかったり、売買時に手数料が徴収されたりなどでコストが発生してしまう。
料金体系は会社によって異なるものの、個人でネット証券を使って取引するケースに比べると手数料の負担を重く感じる場合がある点に注意が必要だ。
2つ目は「会社規模が小さい」という点だ。
メガバンクと呼ばれる大手の都市銀行や巨大な金融グループを構築する証券会社などに比べると、IFA法人は会社としての規模が小さい。
相談先として会社規模が小さいことに不安を感じる人もいるだろう。ただし、運用資産はIFA法人ではなく提携先の金融機関が預かることになるため安心である。
3つ目は「IFA法人を探すこと自体が難しい」という点だ。近年日本でも広がりを見せるIFAだが、既存の金融機関に比べると会社自体を探すことが容易ではない。
特に地方の場合はまだまだIFAの数が少なく、相談先を探すことに苦労する可能性がある。しかし、IFA検索サービスなどを活用することでデメリットは解消可能である。
4つ目は「得意分野がアドバイザーによって異なる」という点だ。
IFAにもそれぞれ専門領域があり、株式や投資信託を得意とする場合もあれば、仕組み債や不動産投資に強みを持つ場合もある。
資産形成を始めたばかりの顧客をターゲットにしているケースもあれば、富裕層向けにビジネスを展開しているケースもある。
得意分野やターゲットの顧客層がアドバイザーによって異なる点に注意しなければならない。
信頼できる相談先を探すことが難しいという点がIFAのデメリットだ。
相談費用の相場
IFAは主に以下の3つの料金体系となっている。
- コミッション型
- フィー型
- コンサルティング料金型
コミッション型は、取引のたびに手数料が発生する料金体系であり、顧客が金融機関に支払った手数料の一部がIFAに還元される仕組みである。
別途IFAに手数料を支払う必要はなく、相談自体は無料となっている。売買代金の0.5〜1%が手数料の相場だ。
フィー型は、顧客の資産残高に応じて手数料が変動する料金体系だ。こちらも別途IFAに手数料を支払う必要はなく、相談自体の手数料は無料となっている。
顧客の資産が増えることがIFAの報酬の増加につながるため、IFAと顧客の間で利益相反が起こりにくいことが特徴だ。
コンサルティング料金型は、相談自体に手数料が発生する料金体系である。「1時間〇〇円」「年間△△円」などで料金が発生し、取引を行っても費用はかからない。
FPと同様に1時間あたり5,000円〜10,000円程度の料金設定をしているケースが多い。
料金体系によって費用のかかり方が異なるため、事前に確認しておくことが大切だ。
自分に合った資産運用の相談先を選ぶポイント
自分に合う運用相談先を探すポイントとして以下の4点を基準にチェックしていこう。
- 幅広く専門的な知識を有しているか
- 顧客に寄り添った提案ができるか
- 長期的なサポートを受けられるか
- 初心者でも気軽に相談できるか
それぞれのポイントを解説していくので、ぜひ頭に入れた上で最適な相談先を見極めよう。
幅広く専門的な知識を有しているか
まず、資産運用や投資に関して専門的な知識を幅広く有しているのかという点をチェックしておこう。
人生を大きく左右する資産運用を任せる以上、専門知識や経験に乏しいアドバイザーへの相談はなるべく避けたいところだ。
証券会社や銀行などの金融機関の場合、所属するアドバイザーは社内研修の受講や資格取得を積極的に行っているため、専門的な知識を有しているケースが多い。
もちろん担当者によって知識のばらつきはあるかもしれないが、比較的安心して相談しやすいと言えるだろう。
FPの場合、前述の通りFP資格を持っていなくても業務を行えるため、アドバイザーの知識・スキルを見極める必要がある。
FP資格の有無や実績などをチェックし、知識や経験が十分にあることを確認しておきたい。
IFAについては多くのアドバイザーが証券会社や銀行の出身者であるため、専門知識を有している可能性は高い。
また、金融機関に比べると企業としての規模が小さいため、しっかりと知識やスキルを有していないと、IFAとして長く業務を行っていくことは難しい。
「IFAとしての実績年数3年以上」など、一定以上の年数をIFAとして活動しているアドバイザーであれば専門知識を幅広く有している可能性が高いと言えるだろう。
こうした観点から相談先の知識・スキルを比較し、より最適な提案をしてくれる相談先を見極めよう。
顧客に寄り添った提案ができるか
自分に寄り添って提案してくれるのかという点も相談先選びのポイントのひとつだ。
リスクを覚悟して資産運用を始める以上、自分に合った商品を提案してくれる相談先を選ぶことが重要となる。
証券会社や銀行の場合、自社で取り扱う商品を提案する以上、どうしても会社の利益を優先しなければならない場面がある。
特に大手の金融グループの場合は系列企業が金融商品を組成・運用しているケースが多いため、系列の商品を中心に提案が行われてしまう。
自分に合った商品の提案というよりも、金融機関側の都合に合った商品を提案されてしまうリスクがあるため注意が必要だ。
独立系のFPの場合、特定の金融機関の商品ばかりを紹介されるという心配はない。
しかし具体的な商品まで提案を行えるケースも少なく、踏み込んだ助言を得ることが難しい。寄り添った提案を受けられない可能性がある点に注意しておこう。
IFAの場合、提携先の金融機関の商品を紹介するが、金融機関から販売方針やノルマなどを指示されることはない。
中立な目線でぴったりの商品を提案できるため、顧客に寄り添った提案を行えることが特徴だ。複数の金融機関と提携しているIFAであればなお良いだろう。
顧客目線に立ち、寄り添った提案をしてくれるかどうかという観点で相談先を比較しよう。
長期的なサポートを受けられるか
資産運用は基本的に人生設計とともに計画していくため、一朝一夕に成果が出るものではない。
長期的な運用となることを前提とし、長くサポートを継続してくれるかどうかという点でも相談先を比較しよう。
前述の通り、証券会社や銀行では数年おきに転勤や異動で担当者が変わってしまう。
新たな担当者と関係性を構築し直し、運用方針を再度擦り合わせるというのはストレスがかかるだろう。
FPやIFAの場合は原則として転勤・異動で担当者が変更されることがなく、同じ担当者が長期的にサポートを継続してくれる。
自分のライフプランや運用方針をよく理解した担当者が的確に助言を提供してくれるため、安心して相談できるだろう。
担当者変更の有無をもとに「長期的なサポートを受けられるか」という点を比較し、最適な相談先を見極めよう。
初心者でも気軽に相談できるか
これまで資産運用をしたことがない投資初心者の方は、分からないことが多くあって不安に感じていることだろう。
相談先を選ぶ際、初心者でも気軽に相談できるかどうかを判断基準のひとつに入れておくと良い。
証券会社の場合、取引経験がない人が店舗に出向いて相談をするのはややハードルが高い。
また、具体的な助言を得るためには口座開設が必要となるため、気軽な相談は難しいと言えるだろう。
銀行の場合は預金口座を持っていて普段利用している銀行であれば利用しやすい。
ただし取り扱い商品数が少ないため、限られた選択肢からしか投資先を選ぶことができない点に注意が必要だ。
FPの場合は幅広くお金の相談を受け付けており、相談のハードルが低いことが特徴である。
「資産運用について基本的なことを知りたい」「投資は何から始めて良いか分からない」という悩みを持つ方でも気軽に相談できるだろう。
IFAの場合は対面だけでなくオンラインでの相談にも対応しているため、比較的相談しやすい。
また、金融機関との仲介役として中立な立場から寄り添った助言を提供してくれるため、安心して相談できることが特徴だ。
それぞれの相談先の「相談のしやすさ」を比較し、初心者でも気軽に相談できる相談先を見つけ出そう。
資産運用の相談は金融資産いくらからできる?事前準備は必要?
資産運用の相談を行う際、どの程度の金融資産があれば良いのだろうか。また、事前に準備しておく必要はあるのだろうか。
ここでは、運用相談と金融資産額の関係性や資産属性別のおすすめの相談先、事前に準備しておくべきことを解説する。
金融資産に関係なく相談可能
結論から言うと、資産運用の相談は金融資産額に関係なく相談できる。「金融資産が〇〇万円しかないけれど相談できるのだろうか」と心配している方は安心してほしい。
ただし、相談先によっては「金融資産△△万円以上の方が対象」などと、資産額でターゲットの顧客層を絞っているケースがあるため注意が必要だ。
属性別のおすすめの相談先
金融資産がいくらであっても運用相談は可能だが、資産額に応じて適切な相談先を選ぶことが大切だ。
ここでは、野村総合研究所による純保有金融資産の階層に分けておすすめの相談先を紹介する。
資産階層別のおすすめの相談先は以下の表の通りだ。
資産階層 | おすすめの相談先 |
---|---|
マス層(金融資産3,000万円未満) | 銀行 FP |
アッパーマス層(金融資産3,000万円以上5,000万円未満) | 銀行 証券会社 IFA |
準富裕層(金融資産5,000万円以上1億円未満) | 証券会社 IFA |
富裕層(金融資産1億円以上5億円未満) | 証券会社 IFA |
超富裕層(金融資産5億円以上) | 証券会社 IFA |
マス層は資産形成の段階であるため、銀行やFPなどの相談のハードルが低い相談先を選ぶと良い。
資産3,000万円を超えてアッパーマス層に到達した場合、より多様な投資先を検討できる証券会社やIFAがおすすめだ。
金融資産が5,000万円以上の準富裕層や富裕層、超富裕層であれば、富裕層向けの商品を多く用意している証券会社やIFAが相談先として向いている。
特に、IFAの場合は相続・贈与といった資産承継や不動産投資などのコンサルティングも行えるため、まとまった資産を保有する富裕層の方におすすめだ。
属性別のおすすめの相談先を参考にしつつ、自分に合った相談先を見極めよう。
事前に準備しておくべきこと
資産運用の相談前に準備しておくべきこととして以下の3点が挙げられる。
- ライフプランを明確にしておく
- 資産状況を整理しておく
- 投資について勉強しておく
まず、自分自身のライフプランを明確にしておくことが大切だ。
資産運用はライフプランの実現のために行うため、明確にライフプランが決まっていると、より具体的な運用計画を立てられる。
「マイホームを購入するかどうか」「子どもの進学はどういう予定でいるか」「老後にはどういった生活を送りたいか」など、ざっくりでも良いのでライフプランをイメージしてから相談に臨むと良い。
また、自分自身の資産状況を整理しておくことも重要だ。
現状の年収や今後の収入の見通し、家計の収支、資産の保有状況、保険の加入状況などをできる限り洗い出して整理しておくことを推奨する。
情報が多いほど具体的なアドバイスを得られるためだ。
そして、投資について事前に勉強しておくこともおすすめする。
まったく知識がない状態で相談しても問題はないが、最低限の知識を身に付けておくと相談時に無駄な時間を省略できる。
また「勉強した上で分からなかったこと」が明確になるため、ポイントを絞って相談できることも大きな利点だ。
上記の3点を事前に準備しておき、より効果が高い資産運用相談にしよう。
資産運用の相談はどこから申し込む?
ここまで資産運用の相談先の特徴や資産属性別におすすめの相談先を紹介してきたが、実際に運用相談はどこから申し込むことになるのだろうか。
ここでは、資産運用の相談を申し込む方法について解説していく。
店舗窓口
まず、店舗に出向いて窓口で相談を申し込む方法が挙げられる。
金融機関やFP事務所、IFA法人などの店舗に実際に行き、相談したい旨を伝えるという方法で申し込みを行おう。
店舗窓口であれば、窓口の担当者が丁寧にサポートしてくれるため、手続きを進めやすいことが特徴だ。
しかし、近くに店舗がない場合や営業時間中に店舗に行けない場合など、相談が難しいケースもあるため注意しておこう。
ホームページ
公式ホームページから相談の申し込みを行うことも可能だ。事前に相談の日程を決めておくことで、スムーズに相談を行えることが特徴である。
オンラインでの相談に対応している場合、ホームページから申し込むことで店舗に行かなくても運用相談を行える。
近くに店舗がない方や店舗の営業時間中に店舗に行くことが難しい方でも相談しやすいだろう。
セミナーへの参加
資産運用セミナーに参加し、個別の運用相談に進むという方法もある。
金融機関やFP事務所、IFA法人が主催となって行われている資産運用セミナーに参加し、相談の申し込みを行うと良いだろう。
資産運用セミナーは無料で開催されるケースが多いため、参加するハードルも比較的低い。
また、セミナー講師の解説を聞いた上で申し込みを行えるため、知識やスキルを事前に把握しやすいこともメリットだ。
興味のあるセミナーに参加し、信頼できる相談先を探した上で相談の申し込みを行おう。
資産運用ナビの活用がおすすめ
資産運用の相談を申し込みたい方は「資産運用ナビ」の活用がおすすめだ。
「資産運用ナビ」とは、希望条件を入力するだけであなたにぴったりの運用の専門家を自動診断するサービスである。
自動診断されたなかで気になる専門家がいれば、そのまま面談の申し込みが可能だ。面談はWeb・対面から選択でき、好きな場所で気軽に相談できることが特徴となっている。
また、相談費用は無料で何回でも相談可能となっている。
「初めての資産運用で不安に感じている」「納得が行くまでじっくり相談したい」という方でも利用しやすいことが特徴だ。
資産運用の相談先をお探しの方は、ぜひこの機会に「資産運用ナビ」を活用して最適なアドバイザーを探してみてはいかがだろうか。
資産運用のプロに相談してみよう
資産運用のプロに相談することで「専門知識をもとに助言してもらえる」「ライフプランに合わせた提案を受けられる」といったメリットがある。
資産運用に興味がある方は、プロのアドバイザーに相談してみることをおすすめする。
運用相談先には「証券会社」「銀行」「FP」「IFA」などがあるが、それぞれにメリット・デメリットが存在する。
本記事で紹介した相談先選びのポイントを参考にし、最適な相談先を見極めて相談しよう。
また、実際に資産運用の相談の申し込みを行う際には「店舗窓口に出向く」「ホームページから申し込む」「セミナーに参加する」といった方法がある。
自分に合った方法で資産運用の申し込みを行い、最適なパートナーを見つけ出すことが大切だ。
「資産運用ナビ」では、あなたにぴったりの専門家を無料で紹介するサービスを提供している。
ぜひこの機会に「資産運用ナビ」を活用し、信頼できる専門家を探してみてはいかがだろうか。