- 富裕層向けの資産運用方法がわからない
- 資産運用の内訳について具体的に知りたい
- 富裕層におすすめの運用方法や戦略を知りたい
富裕層にとって、資産運用は単なるお金の増やし方ではなく、資産保全や世代を超えた財産の維持が重要なポイントとなる。
しかし、資産の大きさや多様性により、どのように運用すべきか迷うことも少なくない。
本記事では、富裕層に向けた最適な資産運用方法を詳しく解説し、資産の内訳・リスク管理・具体的な運用戦略について紹介する。
この記事を読めば富裕層のお金の増やし方がわかり、自分の資産運用に応用できるようになるので、ぜひ最後まで読み進めてほしい。
富裕層はどんな運用をしている?
1億円以上の金融資産を保有している富裕層はどのような資産運用をしているのか、気になっている方は多いだろう。
富裕層の場合は特有の投資先が一部あるものの、実は一般投資家とさほど変わらない資産運用を行っている。
本章では、富裕層の投資事情について次の2つの観点で解説する。
- 富裕層の投資先
- アセットアロケーションが重要
これらの内容について知ることで富裕層の資産運用について詳細がわかり、一般投資家との共通点や相違点を理解可能だ。
それぞれの観点について、以下で順番に見ていこう。
富裕層の投資先
富裕層へのおすすめの投資先は、次の5つだ。
富裕層の投資先 | リスク | リターン | 目的 |
---|---|---|---|
債券投資 | 低 | 低 | 不労所得と定期的な収入 |
株式投資 | 高 | 高 | 資産の成長・売却益・配当金による利益 |
投資信託 | 中 | 中 | 資産の成長・売却益・配当金による利益 |
不動産投資 | 中 | 中 | インフレ対策・高額資産の保全と成長 |
事業投資 | 高 | 高 | 資産の成長・売却益・出資先の事業への影響力 |
債券投資は、国や企業が発行する国債や社債を購入することで期間に応じた利息を得られる方法をいう。
金利や投資期間は債券により異なり、償還日には額面通りの金額が返還される。
債券投資は低リスク低リターンなものの、購入金額が大きい場合は安定的な利息収入により不労所得を実現させることが可能なため富裕層のようなお金持ちに人気が高い。
また、意外に思うかもしれないが、富裕層も一般投資家と同様に株式や投資信託を保有している。
なぜなら、株式や投資信託の保有により資産を成長させ、売却益や配当金による利益を得ることができるからだ。
不動産については、インフレ対策や高額資産の保全と成長の観点で投資している富裕層もいる。
このように、富裕層の投資先も一般投資家と基本的に変わらないことを押さえておこう。
ただし、富裕層に特有の投資先として、事業投資がある。
富裕層が行う事業投資とは、未上場株の購入や企業の買収など事業に投資して利益や影響力を得る方法をいう。
一般的に未上場株式の流動性は低く、購入費用は1,000万円単位となることもあるため、事業投資は高リスク・高リターンとなるのが特徴だ。
以上から、資産の内訳や配分比率は異なるものの、富裕層も一般投資家とさほど変わらない資産運用を行っていることがわかる。
アセットアロケーションが重要
富裕層の資産運用では、アセットアロケーションが特に重要となる。
アセットアロケーションが重要な理由は、次のとおりだ。
- 複数の資産クラスに分散投資することでリスクを軽減できる
- 不動産や事業投資を含め幅広い選択肢から配分を選べる
- 異なる課税方式の投資商品を組み合わせることで税金の負担を最適化可能
- ライフプランに応じて利回りや長期成長など何を重視するか検討できる
アセットアロケーションが確定したら、投資ポートフォリオを作成する流れとなる。
ただし、富裕層の場合は資産運用する金額が大きく、自分でポートフォリオを作成して実際に運用するのが困難な場合が多い。
そのような時にこそ、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)などの専門家への相談がおすすめだ。
実際、富裕層の多くはプロの資産運用アドバイスを活用している。
アセットアロケーションや専門家への相談の重要性は一般投資家にも当てはまるため、富裕層との共通点としてぜひ押さえておこう。
富裕層の資産内訳・ポートフォリオとその戦略
1億円以上の資産を保有している富裕層、いわゆるお金持ちは資産をどのように配分しているのか知りたいという方は多いだろう。
本章では、富裕層のポートフォリオとそのような配分にしている戦略について解説する。
ただし、ここで紹介する富裕層のポートフォリオはあくまで一般論であるため、留意してほしい。
富裕層のポートフォリオも、一般投資家と同様に次の3タイプに分類可能だ。
- 安定型
- リスク許容度「低」
- バランス型
- リスク許容度「中」
- 積極型
- リスク許容度「高」
これらの3タイプについて知ることで、富裕層がどのような戦略でそのポートフォリオを作成しているのかが理解できるため、ぜひ参考にしてほしい。
3タイプに分類した富裕層のポートフォリオと戦略について、以下で順番に見ていこう。
安定型
安定型のポートフォリオはリスク許容度が低めのため、元本保全と安定的なインカムゲインの確保を重視した構成となる。
安定型のポートフォリオを組むことで、相場の変動に対して資産の大きな変動を避けることができる。
富裕層が作成する安定型のポートフォリオの具体例は、次のとおりだ。
ポートフォリオ | 資産の配分 |
---|---|
債券 | 80% |
株式 | 10% |
オルタナティブ・不動産 | 10% |
リスク許容度を低くとっているため、低リスク低リターンの債券に資産の80%を配分しているのが特徴といえる。
オルタナティブとは株式や債券といった伝統的資産と呼ばれるもの以外の新しい投資先のことだ。
例えば、オルタナティブには以下のような投資先がある。
- 事業投資
- 仮想通貨(暗号資産)
- ヘッジファンド
- 金などの貴金属
安定型のポートフォリオを組んでいる富裕層は、資産が減るリスクを最小限に押さえた上でインカムゲインにより安定した収益を得る戦略をとっていることがわかる。
バランス型
バランス型のポートフォリオはリスク許容度が中程度で、相場の変化に対して柔軟な対応ができる構成となっている。
バランス型のポートフォリオを組むことで、リスクとリターンのバランスをとりながら中長期の資産運用が可能だ。
富裕層が作成するバランス型のポートフォリオとしては、以下の内容が挙げられる。
ポートフォリオ | 資産の配分 |
---|---|
債券 | 50% |
株式 | 25% |
不動産 | 25% |
低リスク低リターンの債券に資産の50%を配分してリスクを抑制し、残りの50%を株式と不動産に配分することで大きなリターンも狙っているのが特徴だ。
バランス型のポートフォリオを組んでいる富裕層は、リスクとリターンのバランスを図りながら攻めと守りを同時に行う戦略をとっているといえる。
積極型
積極型のポートフォリオはリスク許容度が高めのため、高いリターンを重視した構成になっている。
ただし、過度なリスクは避ける工夫をすることで、長期的な資産形成が可能だ。
富裕層が作成する積極型のポートフォリオは、次のような内容が挙げられる。
ポートフォリオ | 資産の配分 |
---|---|
債券 | 50% |
株式 | 20% |
不動産 | 20% |
オルタナティブ | 10% |
リスク許容度が高いにも関わらず、資産の50%を債券に配分していることに注目してほしい。
債券を多めに保有することで過度なリスクを避けることができ、残りの資産は株式やオルタナティブなどの高リスク高リターン商品を中心に配分している。
積極型のポートフォリオを組んでいる富裕層は、暴落時などの市場機会も活用して高いリターンを狙った戦略をとっていると認識しておこう。
富裕層のように資産運用をするときのポイント
富裕層のように資産運用するには、具体的にどのような行動をとったらいいのだろうか。
本章では、富裕層を見習って資産運用する際のポイント5選について解説する。
資産運用について、富裕層と一般投資家の共通点は意外と多い。
これらのポイントを押さえることで、資産運用で失敗や損をする確率を減らすことが可能だ。
それぞれのポイントについて、以下で順番に見ていこう。
適切なポートフォリオ作成が重要
富裕層と同様に効率的な資産運用をしたいなら、適切なポートフォリオ作成が重要になる。
なぜなら、ポートフォリオを作成することでリスク許容度に応じた資産配分ができ、投資目的を整理してマインド面も整うからだ。
ポートフォリオは、一般投資家の場合も富裕層と同様に次の3つに分類できる。
- 安定型
- バランス型
- 積極型
ただし、同じ安定型でも富裕層と一般投資家では資金の規模が違うため、ポートフォリオの中身も変わることに注意してほしい。
例えば、富裕層の安定型ポートフォリオでは債券に資産の80%程度を配分するのが一般的だが、一般投資家の場合は現金・預金や投資信託に配分した方が良い。
ポートフォリオ作成で困っている場合は、IFAなどの専門家に相談することをおすすめする。
適切なリスク管理が必要
富裕層のように資産運用したいなら、適切なリスク管理が必要だと認識しよう。
その理由は、リスク管理を適切に行うことで売買時に冷静な判断ができるようになり、大きな損失の防止により市場から退場しないで長期的に資産運用を続けられるためだ。
富裕層の場合は運用資金が数億円と多額のため、リスク管理を徹底的に行っている。
例えば、利益を追求するあまり1つの投資先に1点集中して投資を行うのは控えるべきだ。
資産の大半を1つの金融商品につぎ込んだ後に相場が暴落した場合、大切な資産が数日で半分以下になってメンタル的にも資金的にも回復不能となってしまう可能性もある。
資金が多い少ないに関わらず、適切なリスク管理をした上で資産運用するのがおすすめだ。
相場に振り回されない工夫をするべき
富裕層のように資産運用したい場合、相場に振り回されない工夫をしてほしい。
なぜなら、相場に振り回されると日々の株価チャートが気になって他のことに手がつかなくなり、相場の下落時には慌てて狼狽売りしてしまう場合もあるからだ。
例えば、長期目線で資産運用をしているのに、株価の一時的な下落の度に株式を売却すると損でしかない。
相場に振り回されないための具体的な工夫は、以下のとおりだ。
- 資産運用は余剰資金で行う
- 投資商品の売買ルールを設定して遵守する
- 相場下落時に買い増しできる資金を残しておく
これらの工夫をすることでメンタルが安定し、相場に振り回されて損してしまう確率を減らせるため、ぜひ実践しよう。
ポートフォリオは定期的に見直す
富裕層のように資産運用したい場合、ポートフォリオは定期的に見直すことをおすすめする。
その理由は、結婚・転職などのライフステージや時代の変化に合わせてリスク許容度と自分に合った投資商品も変わるからだ。
例えば、転職により年収が500万円から700万円に上がった場合、リスク許容度をより高く設定したポートフォリオに見直す検討ができる。
ポートフォリオの見直しは富裕層も定期的に行っているため、一般投資家の方も同様に実行しよう。
NISAなど有利な制度は積極的に活用
富裕層を見習って資産運用するなら、NISA(ニーサ)などの個人投資家にとって有利な制度は積極的に活用しよう。
NISAを活用することで投資で得た運用益が非課税となり、将来手元に残る資産を確実に増やすことが可能だ。
2024年1月に改正された新NISAの特徴は、以下のとおりだ。
新NISA | ||
---|---|---|
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
対象者 | 18歳以上 | |
年間拠出限度額 | 120万円 | 240万円 |
非課税保有限度額1,800万円(成長投資枠1,200万円) | ||
投資可能商品 | 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託 | 上場株式・投資信託など |
購入方法 | 積立 | 積立・一括 |
受け取り | いつでも受け取りできる | |
特徴 | 運用益が非課税 つみたて投資枠と成長投資枠を併用できる |
新NISAにはつみたて投資枠と成長投資枠の2つがあり、非課税保有限度額が1人あたり1,800万円に設定されている。
富裕層は税金に関する知識が豊富で、このような税金優遇制度は見逃さずに活用している方が多い。
資産運用をしながら税金優遇を受けたいなら、NISAのような優良制度はぜひ利用しよう。
富裕層に限らず資産運用はプロへの相談がおすすめ
富裕層に限らず、資産運用する際のポートフォリオの作成方法や投資先の選び方がわからずに悪戦苦闘している方は多いだろう。
富裕層と一般投資家のどちらの場合も、資産運用で困ったらプロに相談するのがおすすめだ。
資産運用の主な相談先には、次の3つがある。
資産運用の相談先 | 内容 |
---|---|
証券会社 | 資産運用の一般的な相談先 |
FP | 資産運用の相談先としては有効 |
IFA | 金融機関から独立した「中立の立場」の金融アドバイザー |
富裕層は証券会社で大口顧客とみなされるため、資産運用の担当者がつくことが多い。
ただし、証券会社の担当者はノルマがあって多忙というのもあり、一般投資家が相談しても相手にされない可能性が高いだろう。
FPに資産運用の相談をすることは可能だが、個別の金融商品や銘柄に関する具体的なアドバイスを行うことは、法律によって制限されているため注意してほしい。
IFAは販売商品などのノルマがなく、相談者に対して無理のない提案を含め手厚いサポートをしてくれるため、一般投資家におすすめだ。
富裕層の資産運用は一般投資家とさほど変わらない!
本記事では、富裕層の資産運用やポートフォリオについて解説した。
富裕層は事業投資を行っているなど特有の特徴が一部あるものの、基本的には一般投資家と同じだ。
資産運用をする場合、適切なポートフォリオを作成してNISA制度などの税金優遇制度を有効活用することをおすすめする。
ただし、資産運用で困ったことがあれば、迷うことなく専門家に相談すべきだ。
相談先が複数あってどこに相談すればいいかわからない場合は、IFA検索サービスなどの利用を検討してみてほしい。