- 投資信託とETFのどちらが儲かるかを知りたい
- それぞれのリターンやリスクについて具体的に理解したい
- 投資信託とETFのメリット・デメリットを比較して自分に合った選択を見つけたい
投資信託とETFはいずれも複数の株式や債券に分散できる金融商品だが、どちらを選ぶべきなのだろうか。
両者の特徴を比較し、自分に合う方を選択することが大切だ。
本記事では、ETFと投資信託の基本的な特徴の違いやメリット・デメリットの比較、各商品がおすすめな人の特徴を解説していく。
銘柄選びのポイントや資産運用の相談先についても紹介するので、ぜひ本記事を参考に最適な商品で資産運用を始めよう。
ETF(上場投資信託)とは?
ETFとは、金融商品取引所に上場している投資信託のことだ。
一般的な投資信託と基本の仕組みは共通しているが、証券会社を通じて取引所で売買を行える点がETFの最大の特徴として挙げられる。
ETFは証券取引所が開いている時間中であれば、常に価格が変動する。
価格を指定せずに発注する「成行注文」と希望の取引価格を指定する「指値注文」の2つの注文方法で取引を行える点も特徴のひとつだ。
ETFの多くは、日経平均株価やS&P500などの市場指数との連動を目指して運用される「インデックス型」の商品だ。
連動対象の市場指数は株式だけでなく、債券やREIT、コモディティなど多岐に渡る。
また、市場指数に連動せずに運用される「アクティブ型」の商品も存在する。市場指数を上回る投資成果を目指し、積極的にリターンを追求するタイプの商品が多い。
ETFと投資信託の違いは?基本的な特徴を比較
ETFと似ている商品に「投資信託」がある。投資信託とは、投資家から集めた資金をもとに株式や債券などで運用を行い、その投資成果を投資家に分配する仕組みの金融商品だ。
似たような性質を持つETFと投資信託だが、以下のような違いがある。
ETF | 投資信託 | |
---|---|---|
上場・非上場 | 上場 | 非上場 |
銘柄数 | 341本(東京証券取引所の上場銘柄数、2024年11月時点) | 5,880本(2024年9月末時点) |
取引可能時間 | 取引所の取引時間中 | 当日の申し込みは原則15:00まで |
取引価格 | リアルタイムで決まる市場価格 | 1日に1回決まる基準価額 |
取引方法 | 証券会社を通じて取引所で売買 | 証券会社や銀行、郵便局などの販売会社で売買 |
コスト | 信託報酬が投資信託に比べて低め | 信託報酬がETFに比べて高め |
取引所の取引時間中はリアルタイムで売買できるETFに対し、投資信託は1日1回算出される基準価額をもとに売買を行う。
当日の申し込みは原則15:00までとなっており、申し込み時点では基準価額が分からない「ブラインド方式」が採用されている。
また、銘柄数にも大きく違いがあり、ETFは東京証券取引所に上場しているもので341本、投資信託は公募投信で5,880本となっている。
商品の選択肢の数に違いがある点も理解しておこう。
そして、コストについても一般的な傾向としてはETFの方が安い。
近年は投資信託も手数料を大幅に引き下げており、そこまで大きな差はないものの、全体の傾向としてETFの方が手数料が安いことを頭に入れておこう。
ETFと投資信託のメリット・デメリットを比較
両者の違いを把握したところで、次にメリットとデメリットを紹介していく。比較して自分に合う方を選択しよう。
ETFのメリット・デメリット
ETFの利点は主に以下の2点だ。
- リアルタイムで売買できる
- 低コストで運用できる
ETFは金融商品取引所に上場しており、株式と同様にリアルタイムで価格変動を見ながら売買を行えることが特徴だ。
値動きを見て価格が安いタイミングを見極めて買ったり、値上がりしたタイミングで売却注文を出したりと、自由度の高い運用を行える点が強みである。
また、投資信託に比べてETFの方が信託報酬が安い傾向にある。
信託報酬は商品を保有している間はずっと引かれ続けるコストであるため、運用期間が長引くほどコストの差は開いていく。
長期にわたって低コストで運用を行える点がETFの強みだ。
一方、ETFには以下のようなデメリットがある。
- 投資先の選択肢が少ない
- 毎月一定額の投資が難しい
先ほど紹介した通り、国内ETFは2024年11月時点の商品数が341本であり、約6,000本の公募投信に比べて商品が少ない。
投資先の選択肢が少ない点はデメリットと言えるだろう。
また、ETFは「1単元=〇〇円」という形で取引を行う仕組みだ。
「毎月△万円」という形で投資をしたい場合、△万円が1単元のちょうど整数倍になっていれば良いが、毎月ぴったり△万円になる可能性は極めて低い。
毎月一定額の積立投資にはETFは向かないと言えるだろう。
投資信託のメリット・デメリット
投資信託の利点は主に以下の2点だ。
- 豊富な商品ラインナップから選べる
- 積立投資に向いている
先ほど紹介した通り、投資信託は6,000本近い商品ラインナップがあり、豊富な選択肢から投資先を選べることが特徴だ。
ETFと比べて非常に多くの商品が提供されており、自分に合った商品を探しやすい。
また、投資信託はファンドの口数を指定して購入する方法のほか、金額指定による購入も可能だ。
「毎月△万円」などと金額を指定できるため、一定額分だけ買い続ける積立投資に向いていることが強みとして挙げられる。
一方、投資信託には以下のようなデメリットがある。
- 商品を選ぶ手間がかかる
- 取引の自由度が低い
約6,000本の豊富な商品ラインナップが用意されている点は、裏を返すと投資先を選ぶことが難しいというデメリットとも言える。
特に、投資経験が少ない初心者の方はどの商品を選ぶべきか迷ってしまうことがあるだろう。
また、投資信託は1日1回決められる基準価額で取引が行われ、売買の際には当日の基準価額が分からない「ブラインド方式」が採用されている。
投資タイミングを見極めることはほぼ不可能となっており、自由度の高い運用は行えない点がデメリットだ。
ETFと投資信託はどちらがおすすめ?
ETFと投資信託の特徴を比較してきたが、実際どちらに投資すべきなのだろうか。それぞれの特徴を踏まえ、投資目的に応じて使い分けることが重要だ。
ここでは、各商品がおすすめな人の特徴について解説していく。
ETFがおすすめな人
ETFは以下のような人におすすめの商品だ。
- 自由に運用したい人
- 極力コストを抑えたい人
前述の通り、ETFは株式のようにリアルタイムで売買でき、注文方法も成行注文・指値注文から選べる。
値動きを見ながら指値注文で売買でき、自由な運用を行えることが特徴だ。
売買タイミングを見極めたり、取引する価格に希望があったりする場合は、ETFによる運用を推奨する。
また、ETFは投資信託に比べて信託報酬が低い傾向にあり、コストを抑えた運用を行えることが強みである。
とにかく少しでもコストを抑えて運用したい方は、ETFの活用がおすすめだ。
投資信託がおすすめな人
投資信託は以下のような人におすすめの商品だ。
- 積立投資を行いたい人
- 売買タイミングを考えたくない人
投資信託は指定の金額分の口数を購入できるため、積立投資に向いている金融商品だ。
毎月一定額を積み立てて堅実に運用していきたいという人は、投資信託を活用すると良いだろう。
ほとんどの金融機関で投信積立のサービスを提供しているため、自動で毎月買い付けることも可能だ。
また、投資信託は1日1回決まる基準価額で取引が行われる。
相場に張り付いて値動きをチェックしたり、売買するタイミングを見極めたりすることが面倒な人には投資信託が向いている。
ETFと投資信託の銘柄はどう選ぶ?
次に、ETFや投資信託の銘柄を選ぶ際に押さえておきたいポイントを解説していく。
投資戦略を立てる基本の戦略や商品の選び方、銘柄を選ぶ際にチェックすべきポイントを紹介するので、ぜひ参考にして自分に合った商品を選ぼう。
「長期・積立・分散」が基本
まず、商品を選ぶ際の考え方のベースとして「長期・積立・分散」を頭に入れておこう。
いずれも投資のリスクを軽減するために必要なポイントであるため、商品を選ぶ際の軸として押さえておくと良い。
長期投資を行うことで短期的な価格変動のリスクが軽減される。
利益が新たな利益を生む「複利効果」も運用期間が長くなるほど威力を増すため、商品を選ぶ際には長期投資に向いているものを中心に探そう。
積立投資は、一定額分の金融商品を定期的に買い付ける投資手法だ。購入タイミングを分散して平均取得単価を抑え込み、高値で購入するリスクを回避する。
積立投資に適した商品を探すと良いだろう。
分散投資とは、投資対象の地域や資産クラス、銘柄を分散させる投資手法だ。
投資先の分散によって特定の投資先の下落による影響が最小限に抑えられ、安定的なリターンを期待できる。
低リスクな運用を実践するためにも、投資先が広く分散されているかどうかをチェックしておこう。
商品の選び方
ETF・投資信託を選ぶ際、以下の手順で商品を探そう。
- 運用目的とリスク許容度を明確にする
- 商品のカテゴリーを選ぶ
- 個別商品を比較して選択する
まず、運用目的とリスク許容度をはっきりさせておこう。「いつまでにどのくらいの資産が必要なのか」「どの程度のリスクまで許容できるのか」という点の明確化が重要だ。
次に、運用目的やリスク許容度に合った商品カテゴリーを選択する。
リスクを取って大きなリターンを狙いたい人は外国株式ファンドやテーマ型ファンド、安定性を重視したい人は国内債券ファンドやバランス型ファンドなど、運用目的・リスク許容度にマッチした商品カテゴリーを選択しよう。
そして、選んだ商品カテゴリーのなかから個別のファンドを比較し、最適な商品を選択する。
似たような商品でも異なる点があるため、特徴をしっかりと比較して投資先を選定しよう。
商品を選ぶ際に見るべきポイント
商品を選ぶ際、以下のポイントをチェックしておこう。
- 運用方針
- 手数料
- 純資産総額
まず、商品がどのような運用方針を掲げているかをチェックしておこう。
特にアクティブ型の商品を選ぶ場合、銘柄を選ぶ基準やファンドマネージャーの投資哲学を確認し、共感できるかどうかを基準に判断しよう。
また、手数料も必ずチェックすべき要素のひとつだ。信託報酬は保有期間中に引かれ続けるコストになるため、わずかなコストの差でも長期的には大きな差となる。
長期運用におけるコストを削減するためにも、同じ商品カテゴリーのなかで信託報酬が安い商品を選択しよう。
そして、ファンドの純資産総額も確認すべき項目だ。純資産総額が少ないと運用が継続できず、廃止となってしまう恐れがある。
長期的に安定した運用を続けるためにも、最低でも純資産総額が50万円以上の商品を選ぼう。
ETFか投資信託で悩んだら、プロに相談しよう
ETFと投資信託のどちらに投資すべきか悩んでいる方は、投資助言を行う専門家に相談すると良いだろう。
ここでは、資産運用を専門家に相談するメリットや相談先の選択肢を解説する。
資産運用を専門家に相談するメリット
資産運用を専門家に相談する利点として「最適化された投資戦略を提案してもらえる」という点が挙げられる。
一般向けにおすすめの情報ではなく、あなたの状況に合わせてカスタマイズされた投資戦略の提案を受けられることが魅力だ。
投資助言を行う専門家は、あなたの資産状況や運用目的、リスク許容度を踏まえて投資先の選定や資産配分の構築を行う。
ETF・投資信託のどちらが向いているかという悩みもあなたに合わせて助言してくれる。
自分の状況に合った投資戦略を構築し、効率的に資産運用を始めるためにも、投資助言を行う専門家に相談してみてはいかがだろうか。
相談先の選択肢
資産運用の相談先の選択肢には以下のようなものがある。
相談先 | 特徴 |
---|---|
証券会社 | 株式や投資信託などの金融商品を取り扱っている。 商品の提案・売買のサポートまで対応してくれることが特徴。 営業電話が頻繁にかかってきたり、手数料が高い商品を提案されたりする可能性がある。 |
FP(ファイナンシャルプランナー) | 資産運用や保険、ライフプラン、住宅ローン、不動産、税金、相続・贈与などの幅広い知識を有している。 具体的な投資商品の助言は得られないが、資産運用以外にもさまざまな観点から助言を得られる。 |
IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー) | 特定の金融機関から独立した立場で顧客の資産運用をサポートする専門家。 投資相談を受けて戦略を立て、提携している金融機関の商品を提案・仲介を行う。 中立な立場から投資助言を提供してくれることが強み。 |
特徴を比較し、自分に合った相談先を見つけ出そう。
投資信託とETFの特徴を比較してどっちに投資するか検討しよう
ETFは金融商品取引所に上場する投資信託のことで、通常の投資信託と取引可能時間や取引価格、銘柄数、コストなどが異なる。
本記事では特徴を比較して紹介したので、ぜひ参考にして自分に合う商品を選んでほしい。
ETFは「自由に運用したい人」「極力コストを抑えたい人」に向いており、投資信託は「積立投資を行いたい人」「売買タイミングを考えたくない人」におすすめだ。
投資目的に応じて使い分けよう。
また、銘柄を選ぶ際には「長期・積立・分散」の考え方をベースに据えつつ、運用方針や手数料、純資産総額を比較して投資先を決めると良い。
投資先の選定等で悩んでいる方は、投資助言を行うプロへの相談を検討することを推奨する。
ぜひこの機会に信頼できる相談先を探してみてはいかがだろうか。