ネット広告でよく見かける「借金減額診断」。
「あなたの借金がゼロになるかも?」「匿名で無料診断」
こうした言葉を目にすると、気にはなるはずだ。
一方で、「怪しいのではないか」「裏があるのではないか」と警戒するのも無理はない。
結論からいえば、借金減額診断はあくまで「きっかけ」にすぎない。
診断ツール自体が魔法のように借金を消してくれるわけではないのだ。
その先にある弁護士や司法書士への相談へつなぐための入り口である。
実際に借金を減らすには、法律に基づいた手続きが必要になる。
ただ、仕組みさえ正しく理解すれば、現状の辛い返済生活から抜け出すための有効な手段になるのも事実だ。
ここでは、診断結果の意味から、その後の具体的な手続き、リスクや費用の実態までを包み隠さず解説する。
正しい知識を持って、生活再建への第一歩を踏み出してほしい。
- 借金減額診断の「○○万円減る」という結果が本当か知りたい
- 診断ツールを使った後にしつこい電話が来ないか不安だ
- 実際に借金を減らすための「債務整理」の手順やリスクが知りたい
- 自分に合った解決策が任意整理なのか自己破産なのか判断できない
- 家族や会社にバレずに借金問題を解決できるか知りたい
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借金減額の意味と債務整理との関係
借金減額とは何かと誤解されやすい表現
「借金減額」という言葉は、実は法律用語ではない。
広告などでわかりやすく伝えるために作られた言葉だ。
法律の世界では「債務整理」という言葉が使われる。
具体的には「任意整理」「個人再生」「自己破産」といった手法のことだ。
実務上、「減額」といわれるものの正体は主に以下のいずれかである。
- 将来の利息をカットする(元本だけを返す形にする)
- 元本の一部を免除してもらう(法律の力で借金総額を圧縮する)
- 支払い義務そのものをなくす(借金をゼロにする)
- 払いすぎたお金を取り戻す(過払い金で借金を相殺する)
広告では「借金がゼロになる」「国が認めた救済措置ですぐに解決」といった強い言葉が踊ることがある。
しかし、何の条件もなく借金が消えることはない。
法的な手続きを踏み、一定のデメリットを受け入れることで、はじめて負担が軽くなるのだ。
「減額」という言葉だけが一人歩きしているが、「何がどう減るのか」を冷静に見極める必要がある。
国が認めた借金救済制度と民間サービスの違い
「国が認めた借金救済制度」というフレーズを聞いたことがあるだろうか。
これは決して怪しい裏技ではない。
国が法律(破産法や民事再生法など)で定めた正当な手続きのことを指している。
- 任意整理
-
弁護士などが交渉し、将来利息などをカットする。
- 個人再生
-
裁判所の手続きで借金を大幅に減らす。
- 自己破産
-
裁判所の手続きで借金を免除してもらう。
- 過払い金返還請求
-
払いすぎた利息を法律に基づいて取り戻す。
一方で、ネット上の「借金減額診断」や「おまとめローン紹介サイト」は、あくまで民間のサービスだ。
これらは法的手続きそのものではない。
そこへ案内するための「相談受付窓口」や「広告」という位置づけになる。
ここで重要な線引きがある。
他人の借金交渉や法的手続きを代理で行えるのは、弁護士や認定司法書士だけだ。
診断サイトの運営者が誰なのかを見る必要がある。
単なる広告業者なのか、法律事務所なのかによって、その後の対応は大きく異なるからだ。
借金減額診断で示される結果の位置づけ
スマホで数問答えるだけで表示される「100万円減額の可能性があります!」という結果。
これはあくまで簡易的なシミュレーションであり、確定事項ではない。
診断ツールは、入力された「借入額」や「期間」などの情報をもとに、過去のデータを照らし合わせているだけだ。
実際にいくら減るかは、以下の要素によって決まる。
- 利息制限法に基づく計算(本当に過払い金があるか)
- 債権者との交渉(相手が利息カットに応じるか)
- 裁判所の判断(再生計画や免責が認められるか)
「減額の可能性がある」というのは、「もし適切な法的措置をとれば、これくらい減るかもしれない」という目安にすぎない。
特に個人再生などの手続きでは、法律で「最低でもこれだけは返さなければならない」という金額が決まっている。
診断結果を鵜呑みにせず、「専門家と詳しく話すための材料」として捉えるのが正解だ。

借金減額診断シミュレーターの仕組み
借金減額診断で聞かれる主な項目と意味
多くの診断ツールで聞かれる項目は共通している。
それぞれの質問には、減額の可能性を探るための意図がある。
| 質問項目 | 判断に使われる要素 |
|---|---|
| 借入金の総額 | どの手続き(任意整理・個人再生・破産)が必要かの目安。 |
| 借入件数 | 多重債務の深刻度。件数が多いほど管理が難しくなる。 |
| 借入期間 | 長期間(特に2010年以前から)の場合、過払い金の可能性がある。 |
| 毎月の返済額 | 現在の負担率。収入に対して高すぎる場合、支払不能とみなされる。 |
| 滞納の有無 | 裁判や差押えのリスクが迫っているかどうかの緊急度。 |
これらの情報は、弁護士などが「この人にはどの方法が提案できそうか」をざっくり判断するために使われる。
診断結果として表示されやすい減額パターン
診断結果にはいくつかの「型」がある。
あくまでパターン分類だが、自分に当てはまるものを知っておくと理解が早い。」
- 1.「月々の返済額が下がります」
-
- 任意整理の可能性が高いパターン。
- 将来の利息をカットし、返済期間を延ばすことで毎月の負担を減らす提案だ。
- 2.「借金が大幅に圧縮される可能性があります」
-
- 個人再生の可能性を示唆している。
- 借金総額が大きく、任意整理では返しきれない場合に表示されやすい。
- 3.「借金がゼロになる可能性があります」
-
- 自己破産や、多額の過払い金があるケース。
- 支払い能力がないと判断されたり、長年の取引で過払い金が借金を上回っている場合だ。
診断結果が示す「可能性」と確定額の違い
繰り返しになるが、診断結果は「一次スクリーニング」だ。
たとえば、診断で「過払い金があるかも」と出ても、実際にはすでに時効で請求できないケースもある。
逆に、自分では無理だと思っていても、家計を精査すれば任意整理で解決できるケースもある。
本当の金額が出るのは、弁護士や司法書士に依頼してからだ。
業者から「取引履歴」を取り寄せて計算した後に判明する。
診断ツールは、あくまで自分自身の状況を客観的に見るための「鏡」のようなものだと思っておこう。
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借金減額診断のメリットと限界
手軽に減額の可能性を把握できるメリット
借金問題は、誰にも相談できずに一人で抱え込みがちだ。
その点、スマホで匿名(またはニックネーム)で診断できるツールは、心理的なハードルを下げてくれる。
「自分の借金状況は、法的に見てどうなのか」
「解決策がある問題なのか」
これらを数分で確認できるのは大きなメリットだ。
「自分だけが苦しいわけではない」「解決の道筋がある」と知るだけで、心の重荷が少し軽くなることもあるだろう。
具体的な返済シミュレーションにつながる場面
診断結果をもとに専門家と話をすると、より具体的な未来が見えてくる。
- 現状
-
月々8万円返済(うち利息が3万円)→ いつまで経っても元本が減らない。
- シミュレーション後
-
月々5万円返済(利息ゼロ)→ 5年で確実に完済できる。
このように、数字で比較することで「これなら生活していける」という見通しが立つ。
自己破産の場合でも、「借金がなくなれば、手取り20万円の中でこれだけ貯金ができる」というイメージを持てるだろう。
生活再建への具体的な希望が見えるはずだ。
診断だけでは分からない点と専門家相談の必要性
診断ツールには限界がある。
入力フォームでは伝えきれない「個別の事情」までは考慮されないからだ。
- 借金の原因(ギャンブルや浪費だと自己破産が難しくなる場合がある)
- 守りたい資産(持ち家や車をどうするか)
- 家族の協力(内緒にしたいか、協力してもらえるか)
これらは、人間である専門家が直接話を聞かなければ判断できない。
診断結果だけで自己判断せず、必ず専門家の目を通してもらう必要がある理由はここにある。
借金減額診断ツールのリスク・デメリット
個人情報入力が必要な診断ツールの注意点
「詳しい結果を知りたい方は電話番号を入力してください」
診断を進めていくと、最後に連絡先を求められることが多い。
ここで入力した情報は、診断を運営している法律事務所や紹介会社に送信される。
注意すべきは、情報の取り扱いだ。
個人情報の取り扱いが不透明なサービスもあり得る。
利用前に運営者情報(事務所名・所在地・代表者等)と、プライバシーポリシー(第三者提供の有無、利用目的)を確認したい。
第三者提供の可能性が記載されている場合は、連絡が増えるリスクも想定して判断すべきだ。
診断後の電話やメールによる営業が発生する可能性
連絡先を入力すれば、当然ながら折り返しの連絡が来る。
これを「親切な案内」と捉えるか、「しつこい営業」と捉えるかは人それぞれだ。
もし「今はまだ話したくない」「他の事務所にも聞きたい」と思ったら、はっきりと断って構わない。
「検討します」「もう連絡しないでください」と伝えれば、まともな法律事務所ならそれ以上しつこく電話してこないはずだ。
主導権はあくまで自分にあることを忘れないでほしい。
診断結果が正確とは限らない理由と過度な期待の危険
診断結果で「借金がゼロになる」と出たからといって、ぬか喜びは禁物だ。
入力した数字が概算だったり、記憶違いだったりすれば、結果もズレる。
また、債権者(貸金業者)の方針が変わっていて、以前なら応じてくれた和解条件が通らないこともある。
「診断=絶対」ではない。
過度な期待を持って事務所に行き、「実際にはそこまで減りません」と言われてショックを受けないようにしたい。
あくまで目安として捉えておくのが賢明だ。
悪質な業者による診断サービスを見分けるポイント
残念ながら、借金に悩む人の弱みにつけ込む業者も存在する。
以下のような特徴があるサイトは避けるべきだ。
- 「審査なしで借金帳消し」「誰でも100%減額」 など、甘すぎる言葉を並べている。
- 運営元が不明(事務所名や住所、代表者名が書かれていない)。
- 手数料の前払いをしつこく要求してくる。
特に「誰でも必ず」という表現は、法律業務においては不適切な場合が多い。
公的な雰囲気を出していても、中身を確認する慎重さが求められる。
信頼できる借金減額診断ツールの選び方
運営元が弁護士・司法書士事務所か確認する
一番確実なのは、弁護士法人や司法書士法人が直接運営しているサイトを使うことだ。
資格者が運営していれば、法律上の守秘義務があり、診断後の相談もスムーズに進む。
サイトのフッター(最下部)や会社概要を見て、「〇〇法律事務所」「司法書士法人〇〇」といった記載があるか確認しよう。
所属する弁護士会や登録番号まで書いてあれば、より信頼性は高い。
個人情報の取り扱い方針とセキュリティの確認事項
個人情報を入力する画面のURLが「https://」で始まっているか(鍵マークがついているか)も基本的なチェックポイントだ。
これは通信が暗号化されていることを意味する。
また、プライバシーポリシーに「個人情報は相談対応のためにのみ使用します」と明記されているかも見ておきたい。
「提携企業に提供することがある」といった記述がある場合は、予期せぬところから連絡が来るリスクがある。
無料診断と有料サービスの境界線を理解する
基本的に、ネット上の「診断」自体は無料がほとんどだ。
その後の「初回相談」も無料としている事務所が多い。
お金がかかるのは、実際に「債務整理の手続きを依頼(契約)」してからだ。
どの段階から費用が発生するのか、契約前に見積もりは出るのか。
これらが不透明なまま話を進めようとする先は避けたほうがいい。
「必ず減額」など誇大な表現を見抜くチェック項目
信頼できるサイトほど、メリットだけでなくデメリットも正直に書いている。
「ブラックリストに載ります」「数年間はローンが組めなくなります」といったマイナス情報だ。
これらを隠さずに説明しているかどうかが、良心的な事務所を見分ける基準になる。
うまい話ばかりではない、と肝に銘じておこう。
法律で認められた借金減額方法の種類
債務整理で借金を減額する基本的な仕組み
ここからは、実際に借金を減らすための法的な手段(債務整理)について解説する。
大きく分けて以下の3つ、プラス過払い金請求がある。
- 1.任意整理
-
裁判所を通さず、話し合いで利息をカットする。
- 2.個人再生
-
裁判所を通じて借金を大幅に(例:1/5に)減らす。
- 3.自己破産
-
裁判所を通じて借金をゼロにする。
それぞれ「どれくらい減るか」「どんなデメリットがあるか」が異なる。
自分の状況に合わせて選ぶ必要がある。
過払い金請求で払い過ぎた利息を取り戻す仕組み
一時期テレビCMなどで頻繁に流れていた「過払い金」。
これは、かつて多くの貸金業者が法律の上限を超えて取っていた利息のことだ。
「払いすぎていた分を返してください」と請求することで、現在の借金残高を減らせる。
場合によっては、現金として取り戻すことも可能だ。
ただし、これは「2010年(平成22年)6月以前」から取引がある人が主な対象だ。
それ以降に借り始めた人は、適正な金利であることが多く、過払い金は発生していないケースがほとんどである。
また、完済から10年経つと時効で請求できなくなる点にも注意が必要だ。
おまとめローン・借り換えで返済負担を軽くする方法
債務整理ではないが、「おまとめローン」も選択肢の一つだ。
複数の借金を1つの銀行ローンなどにまとめ、金利を下げることで返済額を減らす方法だ。
これはあくまで「借り換え」であり、借金の元本自体が減るわけではない。
また、審査に通らなければ利用できず、返済期間が延びることで逆に総支払額が増えてしまうリスクもある。
「法的整理まではしたくないが、金利を下げて自力で返したい」という人向けの手段といえる。
任意整理で借金を減額できるケース
任意整理の手続きの流れと関係者
任意整理は、最も利用者が多い手続きだ。
裁判所を使わず、弁護士などが代理人となってカード会社や消費者金融と直接交渉する。
- 弁護士に依頼(受任通知送付で取り立てストップ)。
- 取引履歴を取り寄せ、正確な借金額を計算。
- 「将来の利息をカットし、3〜5年で分割払いする」という条件で交渉。
- 合意(和解)できたら、その計画通りに返済を開始。
利息カットと返済期間の延長による減額のイメージ
どれくらい楽になるのか、例を見てみよう。
- 現状
-
借金200万円(金利15%)。毎月6万円返済しても、そのうち2.5万円は利息で消える。
- 任意整理後
-
将来の利息がすべてカットされる(金利0%)。
- 返済
-
200万円を60回(5年)で割ると、月々約3.3万円。
毎月の支払いが半分近くになり、しかも払った分だけ確実に借金が減っていく。
「終わりの見える返済」に変えられるのが最大のメリットだ。
任意整理が向いている人の条件と目安
任意整理は「借金を減らして完済する」手続きだ。
そのため、以下の条件が必要になる。
- 安定した収入があること。
- 3〜5年で元本を返しきれる見込みがあること。
「家や車を手放したくない」「家族に内緒で進めたい」という人にも向いている。
特定の借金(例えば車のローン)だけを除外して整理することも可能だからだ。
任意整理の主なリスク・デメリットと注意点
裁判所を通さないとはいえ、デメリットはある。
信用情報機関(いわゆるブラックリスト)に事故情報が登録される。
手続き後5年程度は、新たなクレジットカード作成やローン借入が難しくなるだろう。
今持っているカードも、原則として強制解約になると思っておいたほうがいい。
また、最近は「和解に応じない」強硬な業者も一部に存在する。
すべての業者が必ず利息カットに応じてくれるわけではない。
この点は、専門家の腕の見せ所でもある。
個人再生で大幅減額を目指すケース
個人再生の基本的な仕組みと裁判所の役割
任意整理では返しきれないほど借金が膨らんでしまった場合、次に検討するのが「個人再生」だ。
これは裁判所に申し立てを行い、借金を強制的に減額してもらう強力な手続きだ。
認められれば、借金総額が「最低弁済額」まで圧縮される。
残った金額を原則3年(最長5年)で分割返済すれば、残りの借金は免除される。
借金総額と資産状況による減額割合の目安
個人再生(小規模個人再生等)では、法律上の「最低弁済額」の目安がある。
借金総額(住宅ローン等を除く)に応じて、以下のように区分される。
- 100万円未満
-
全額返済
- 100万〜500万円未満
-
100万円まで減額
- 500万〜1500万円未満
-
総額の5分の1まで減額
- 1500万〜3000万円以下
-
300万円まで減額
- 3000万超〜5000万円以下
-
総額の10分の1まで減額
ただし、「最低弁済額さえ払えばよい」とは限らない。
「清算価値保障」というルールがあり、処分可能な資産(清算価値)の額が最低弁済額より多い場合は、資産と同額まで返済額が上振れすることがある。
住宅ローン特則とマイホームを残せる条件
個人再生の最大の特徴は、「住宅ローン特則」だ。
これは、「住宅ローンだけは今まで通り払い続けるので、家は取り上げないでください」という制度だ。
自己破産だと家は処分されるが、個人再生ならマイホームを守れる。
家を守りながら、その他のカードローンなどを大幅に減らすことができるのだ。
持ち家がある人にとっては、非常に強力な選択肢となる。
個人再生のリスク・デメリットと生活への影響
効果が大きい分、手続きは複雑で負担も大きい。
裁判所に提出する書類は膨大で、家計簿も厳密につける必要がある。
また、任意整理と同様にブラックリストには載るし、国が発行する「官報」にも氏名や住所が掲載される。
保証人がいる借金がある場合、保証人に請求がいってしまう点も注意が必要だ。
自己破産で借金の支払い義務が免除されるケース
自己破産の手続きの流れと必要書類
「もうどうしても返せない」という時の最終手段が自己破産だ。
裁判所に「支払い不能」であることを認めてもらう手続きである。
認められれば、借金の支払い義務がすべて免除(免責)される。
申立てには、収入証明、通帳のコピー、家計簿などが必要だ。
資産や生活状況を示すあらゆる書類を提出し、裁判官との面接(審尋)が行われることもある。
免責許可が出るための条件と認められないケース
自己破産をすれば誰でも借金がゼロになるわけではない。
「免責不許可事由」といって、借金の原因が問題視されることがある。
- ギャンブルや過度な浪費
- 嘘をついて借金をした
- 財産を隠した
こうした事情があると、原則としては免責されない。
ただし、反省文を書くなどして裁判所の裁量で認められるケース(裁量免責)も多い。
最初から諦める必要はないが、正直に申告することが絶対条件だ。
差し押さえ・資格制限など自己破産特有のデメリット
自己破産には強力なデメリットがある。
- 財産の処分
-
マイホームや車、一定額以上の現金・預金などは処分され、債権者に配当される(生活に必要な最低限の家財や99万円以下の現金は残せる)。
- 資格制限
-
手続き中は、警備員、保険外交員、士業など、特定の職業に就けなくなる(免責が決まれば復権する)。
- 官報公告
-
氏名・住所が官報に載る。
自己破産後の生活再建と信用情報の回復時期
「自己破産=人生の終わり」ではない。
むしろ、返せない借金に追われ続ける生活をリセットし、再スタートを切るための制度だ。
借金がなくなれば、その分を生活費や貯金に回せる。
ブラックリスト期間(5〜10年程度)は不便だが、現金中心の堅実な生活習慣を身につける良い機会ともいえる。
過払い金請求で借金を減らす仕組み
利息制限法を超える金利で発生する過払い金の仕組み
かつて日本には「グレーゾーン金利」が存在した。
利息制限法の上限(15〜20%)と、出資法の上限(29.2%)の間だ。
多くの消費者金融がこのグレーゾーンで貸し付けていたが、最高裁の判決により「この超過分は無効」とされた。
これが過払い金だ。
過払い金が発生している可能性が高い人の特徴
- 2010年(平成22年)6月18日以前からキャッシング取引がある。
- 金利20%を超える利息を払っていた。
この条件に当てはまる人は、過払い金が発生している可能性が高い。
逆に、これ以降に初めて借りた人や、銀行カードローン、ショッピングのリボ払いなどは対象外だ。
過払い金請求の時効と急いだ方がよいケース
過払い金には「最後の取引(完済)から10年」という時効がある。
10年を過ぎると、いくら払いすぎていても1円も取り戻せなくなる。
古い記憶がある人は、一日も早く調査すべきだ。
過払い金請求のメリットとリスク・デメリット
最大のメリットは、お金が戻ってくる、あるいは借金が減ることだ。
完済している分の過払い金請求なら、ブラックリストにも載らない。
ただし、まだ借金が残っている状態で過払い金請求をする場合は注意が必要だ。
それでも借金がゼロにならなかった場合、「債務整理」として扱われ、信用情報に傷がつく可能性がある。
残高と過払い金のバランスを見極めることが重要だ。
おまとめローン・借り換えによる返済負担の軽減
おまとめローンで返済先を一本化する仕組み
おまとめローンは、法的手続きではない金融商品だ。
A社、B社、C社からの借金を、D銀行からの融資ですべて返し、あとはD銀行だけに返済していく形だ。
金利が低いローンに借り換えられれば、利息負担は減る。
金利差と返済期間から見るメリットの計算イメージ
年18%の借金200万円を、年12%のおまとめローンに借り換えたとする。
金利差の6%分、支払う利息は減る。
しかし、月々の返済額を楽にしようとして返済期間を長く設定しすぎると、利息を払う期間が伸びる。
結果として総支払額が増えてしまうこともあるのだ。
「月々の支払いが減った」=「得した」とは限らないので計算が必要だ。
審査に通らない場合や返済期間が延びるリスク
おまとめローンも新たな借金だ。当然、審査がある。
すでに何社も借りていたり、滞納があったりすると、審査に通るのは難しい。
また、一本化して枠が空いた元のカードを「また使える」と勘違いして使ってしまい、借金が倍増するケースが後を絶たない。
強い意志がなければ、状況を悪化させる諸刃の剣になりかねない。
おまとめローンと債務整理のどちらを選ぶかの考え方
- 返済能力がある・信用情報を守りたい → おまとめローン
- もう利息しか払えていない・元本が減らない → 債務整理
この分岐点は「今のペースで完済が見えるか」だ。
自転車操業になっているなら、おまとめローンで先延ばしにするより、債務整理で抜本的に解決したほうが傷は浅く済むことが多い。
借金減額が認められやすい条件と判断の目安
収入と生活費から見た返済可能額の考え方
どの手続きを選ぶべきかの基準は、「可処分所得」にある。
可処分所得とは、手取り収入から、家賃・光熱費・食費などの最低限の生活費を引いて残るお金のことだ。
その残ったお金で、3〜5年以内に借金元本を返せるなら「任意整理」が可能だ。
それが無理なら「個人再生」か「自己破産」を検討することになる。
借金総額と返済期間から見る任意整理の目安
一般的に、任意整理が選ばれるのは借金総額が年収の3分の1程度まで、あるいは数百万円以内のケースが多い。
あくまで「返済を続ける」手続きだからだ。
月々の返済可能額が3万円で、借金が300万円ある場合、利息をカットしても完済に8年以上かかる。
これだと任意整理の和解は難しく、個人再生などを勧められる可能性が高い。
個人再生が選択肢になる借金総額と家計の状態
借金が500万円、1000万円と膨らんでいても、一定の収入(公務員や正社員など)があれば個人再生が狙える。
特にマイホームを守りたい人は、破産を避けるために個人再生を選ぶケースが多い。
「借金は多いが、収入もそれなりにある」という層に向いている制度だ。
自己破産が検討される典型的なケース
- 失業して収入がない。
- 生活保護を受けている。
- 借金の額が年収を遥かに超えている。
これらは「支払い不能」とみなされやすく、自己破産が妥当な選択肢になる。
破産は恥ずかしいことではなく、どうしようもなくなった時のセーフティネットだ。
無理をして夜逃げや自殺を考えるくらいなら、堂々と破産をしてやり直すべきだ。
借金減額を選ぶ前に整理したい情報
借入先の一覧とそれぞれの残高・金利
相談に行く前に、現状をメモしておくと話が早い。
- どこから借りているか(会社名)
- いくら残っているか(残高)
- 金利は何%か
- 毎月の返済額
わからなければ、カードや明細書、督促状をすべて集めて持っていけばいい。
返済に遅れた時期と督促・裁判手続きの有無
「いつから滞納しているか」は非常に重要だ。
滞納が数ヶ月続くと、一括請求や裁判(支払督促)を起こされるリスクが高まる。
もし裁判所から通知が来ているなら、一刻を争う。
その旨を必ず伝えよう。
完済済みの借入と過払い金の可能性
「もう返し終わった借金」も思い出してほしい。
そこに過払い金が眠っていれば、今の借金の返済に充てられるかもしれない。
完済した業者の名前もリストアップしておこう。
家族構成・資産状況・職業など手続きに影響する項目
家計全体の収支を見るため、家族の収入や扶養状況も聞かれる。
また、自分名義の家、車、解約返戻金のある保険、退職金の見込み額なども整理しておこう。
手続き(特に個人再生・破産)の選択に大きく関わるからだ。
隠さずに正確に伝えることが、自分を守ることにつながる。
借金減額と信用情報・今後の生活への影響
債務整理をすると信用情報がどう変わるか
債務整理をすると、信用情報機関(CIC、JICCなど)に「異動」などの情報が登録される。
これがいわゆるブラックリスト入りだ。
銀行やカード会社は審査の際にこの情報を見る。
「約束通り返済されなかった人」と判断され、審査に落ちるようになる。
クレジットカードやローンが使えない期間の目安
この登録期間は、手続きの種類や信用情報機関によって異なるが、一般的には5年〜10年程度だ。
その間は、下記のような制限を受ける。
- クレジットカードが作れない(今のカードも止まる)
- 住宅ローンやカーローンが組めない
- スマホの機種代金分割ができない(一括なら可)
ただ、デビットカードやスマホ決済(チャージ式)などは使える。
日常生活が送れなくなるわけではない。
住宅ローンや自動車ローンへの将来的な影響
「一生ローンが組めない」わけではない。
喪明け(情報が消えること)した後、頭金を貯め、安定した仕事を続けていれば、住宅ローンを組める可能性はある。
過去の失敗を糧に、信用を積み上げ直す期間だと考えよう。
家族や勤務先に知られるリスクと対策
- 任意整理
-
基本的にバレにくい。
- 個人再生・自己破産
-
官報に載る、同居家族の収入証明が必要になるなどで、バレるリスクは高まる。
ただし、勤務先に通知が行くことは通常ない。
例外は、すでに給料の差押えを受けている場合や、会社から借金をしている場合だ。
「絶対に内緒にしたい」なら、早めに任意整理で対処するのが一番だ。
借金減額診断をきっかけに専門家へ相談するメリット
診断結果をもとに具体的な減額額を試算してもらえる
診断ツールは入り口にすぎないが、そこから専門家につながることで、はじめて「正確な地図」が手に入る。
「あなたの場合は、この方法なら月々〇万円で済みます」
このような具体的な提案をもらえることが最大のメリットだ。
各手続きのメリット・デメリットを中立的に比較できる
ネットの情報は偏っていることもある。
専門家なら、あなたの状況に合わせて、
「任意整理なら車は残せるが減額幅は小さい」
「個人再生なら車は引き揚げられるかもしれないが借金は激減する」
といった比較検討をしてくれる。
法律知識に基づいて冷静に行ってくれるはずだ。
取り立ての停止や債権者対応を任せられるメリット
依頼して「受任通知」が発送されると、業者からの電話や手紙が止まる(または減る)ことが多い。
これは法律上の効力だ。
毎日のように鳴る電話の恐怖から解放されるだけで、精神的にどれだけ楽になるか計り知れない。
これだけでも相談する価値はある。
弁護士と司法書士の違いと選び方のポイント
- 弁護士
-
制限なくすべての業務ができる。借金額が大きくても対応可能。
- 司法書士(認定司法書士)
-
1社あたり140万円以下の借金なら交渉・訴訟ができる。
借金が少額なら司法書士の方が費用が安いこともあるが、総額が大きい場合や複雑な案件は弁護士の方が安心かもしれない。
まずは無料相談で話してみるといい。
「話しやすいか」「説明がわかりやすいか」で選ぶのがおすすめだ。
借金減額にかかる費用と支払い方法
任意整理にかかる費用の内訳と相場のイメージ
費用は事務所によって異なるが、相場はある。
- 着手金
-
1社あたり2〜5万円程度
- 報酬金
-
1社あたり2万円程度+減額できた分の10%など
数社整理すると数十万円になるが、多くの事務所は「分割払い」に対応している。
「借金を返すための手続きでお金がかかる」のは矛盾しているように見えるかもしれない。
しかし、将来の利息カット分を考えれば、トータルでは安くなるケースが大半だ。
個人再生にかかる弁護士費用と裁判所費用の目安
手続きが複雑なため、費用も高くなる。
- 弁護士費用
-
30〜60万円程度
- 裁判所費用
-
約3万円〜(個人再生委員が選任されると+15〜25万円)
自己破産にかかる費用と管財事件になる場合の追加費用
- 弁護士費用
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30〜50万円程度
- 裁判所費用
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数万円〜(管財事件になると+20万円〜)
資産がほとんどない「同時廃止」なら安く済む。
一方で、調査が必要な「管財事件」になると費用がかさむことになる。
分割払い・後払い・法テラスなど費用負担を軽くする方法
「弁護士費用なんて払えない」と諦めるのは早い。
- 分割払い
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受任通知で返済が止まっている間に、浮いたお金を弁護士費用の積立に回すのが一般的だ。
- 法テラス(民事法律扶助)
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収入が一定以下の人は、法テラスが費用を立て替えてくれる。返済は月々5,000円〜10,000円程度で済む。
お金がない人こそ、こうした制度を利用すべきだ。
借金減額手続きの具体的な進め方
無料相談から契約までの流れ
ネット診断や電話で無料相談を予約。
借金の状況、家計、資産などを話す。解決策の提案を受ける。
費用や方針に納得したら委任契約を結ぶ。
督促が止まる。
受任通知送付後に変わる取り立てや返済の状況
受任通知が出ると、貸金業者等からの督促が止まる(または減る)ことが多い。
ただし支払義務が消えるわけではない。
口座引落の停止手続きが必要な場合もあり、利息・遅延損害金の発生や対象債務は個別事情で異なる。
依頼先の指示に従って整理しよう。
任意整理・個人再生・自己破産それぞれのスケジュール感
- 任意整理
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3〜6ヶ月で和解成立 → 返済開始。
- 個人再生
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申立て準備〜認可まで6ヶ月〜1年 → 返済開始。
- 自己破産
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申立て準備〜免責まで4ヶ月〜1年 → 終了(借金ゼロ)。
手続き中にやってはいけない行動と注意点
手続き中に絶対にやってはいけないことがある。
- 新たな借金をする(闇金含む)。
- 一部の債権者だけに返す(友人や親族など)。
- 財産を隠す、名義を変える。
- 嘘をつく。
これらをすると、手続きが失敗したり、詐欺罪に問われたりする可能性がある。
専門家の指示には正直に従おう。
借金減額の事例・シミュレーションでイメージする
任意整理で利息カットと分割返済により減額した事例
- Aさん(会社員)のケース
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- 借金:3社から計200万円(金利18%)
- 毎月の返済:7万円(苦しい)
- 任意整理後
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- 将来利息:全額カット
- 返済回数:60回(5年)払い
- 毎月の返済:約3.3万円
毎月の負担が半分になり、確実に借金が減っていくようになった。
個人再生で元本を大幅に減額した事例
- Bさん(自営業)のケース
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- 借金:800万円(住宅ローン除く)
- 資産:マイホーム(ローン返済中)
- 個人再生後
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- 借金:160万円に圧縮(5分の1)
- 返済:3年分割で月々約4.4万円
- 住宅ローン:そのまま支払い継続し、家を守った。
家を手放さずに、借金を劇的に減らすことに成功した。
自己破産で支払い義務が免除された事例
- Cさん(無職)のケース
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- 借金:500万円
- 状況:病気で働けず収入なし、資産なし。
- 自己破産後
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- 借金:0円(全額免除)
- 生活:生活保護を受給しながら療養に専念。借金の督促におびえる日々から解放された。
おまとめローンと債務整理を比較したシミュレーション例
| 項目 | おまとめローン | 任意整理 | 個人再生 |
|---|---|---|---|
| 元本 | 減らない | 減らない(利息カットのみ) | 大幅に減る(最大1/10) |
| 金利 | 下がる可能性あり | 原則0%になる | 0% |
| ブラックリスト | 載らない | 載る | 載る |
| 資産 | 影響なし | 影響なし | 影響なし(住宅ローン特則あり) |
| おすすめ | 返済余力がある人 | 安定収入がある人 | 借金が多額の人 |
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借金減額診断と手続きに関するFAQ
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まとめ
借金減額診断は、借金問題解決の「入り口」としては有用だ。
しかし、診断結果だけで借金が消えるわけではない。
大切なのは、診断をきっかけに「債務整理」という現実的な解決策を知ることだ。
専門家とともに自分に合った手続き(任意整理・個人再生・自己破産など)を選ぼう。
- 借金減額診断:あくまでシミュレーション。きっかけとして使う。
- 債務整理:国が認めた法的な解決手段。リスクはあるが効果は確実。
- 早めの行動:悩んでいる間にも利息は増える。相談は早いほど選択肢が多い。
借金問題には、法律に基づく解決手段が用意されている。
もっとも、利用できる手続きや結果は状況によって異なる。
要件やデメリットを確認したうえで、専門家に相談して判断する必要がある。

