「借金の返済が苦しくて自己破産を考えている。でも、そもそも破産するお金がない」
「弁護士費用が高そうで、相談に行くことすらためらってしまう」
こうした不安を抱えている人は多いはずだ。
しかし、手元にまとまった現金がなくても、自己破産の手続きを進める方法は確立されている。
結論からいえば、個人の自己破産費用の総額目安は 約30万〜80万円 だ。
幅が広いのは、財産の有無によって手続きの種類が変わるからである。
また、多くの法律事務所が 分割払い に対応している。
国が設立した 法テラス(日本司法支援センター) を使えば、費用の立替えも可能だ。
ここでは、自己破産にかかる費用の内訳や相場、支払いが難しい場合の具体的な対処法を見ていく。
最後まで読めば、今の経済状況でどのように手続きを進めればよいか、具体的な道筋が見えるはずだ。
- 自己破産にかかる費用の総額と内訳がわかる
- 自分のケースが「同時廃止」か「管財事件」か予想できる
- 手元にお金がない場合の「費用の作り方」がわかる
- 法テラスの利用条件や立替金額の目安がわかる
- 安易な節約や間違った資金調達のリスクを回避できる
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自己破産の費用はいくらかかるのか総額の目安
自己破産にかかる費用は、大きく2つに分けられる。
「裁判所に払うお金」と「弁護士(または司法書士)に払うお金」だ。
自分の置かれた状況によって総額は大きく変動するため、まずは全体像を把握しよう。
個人の自己破産費用の一般的なレンジ
日本国内で個人の自己破産を弁護士に依頼した場合、総額の目安は以下の通りだ。
あくまで2025年時点での一般的な相場であり、地域や事務所によって異なる点は留意してほしい。
| 手続きの種類 | 想定される総額(実費込) | 特徴 |
|---|---|---|
| 同時廃止事件 | 約30万〜60万円 | 財産がほぼない・シンプルなケース |
| 少額管財事件 | 約50万〜80万円 | 一定の財産がある・免責不許可事由がある |
| 通常管財事件 | 約80万円〜 | 財産規模が大きい・事案が複雑 |
多くの人が気にするのは「自分はどれに当てはまるか」だろう。
借金理由が浪費ではなく、めぼしい財産もなければ「同時廃止」となり、費用は安く済む傾向にある。
逆に、資産を持っていたり、ギャンブルなどが原因だったりすると「管財事件」となり、費用は高くなる。
同時廃止・少額管財・通常管財で変わる費用の幅
費用の差を生む最大の要因は、裁判所に納める 「予納金(管財人費用)」 の有無だ。
予納金とは、破産管財人(財産を調査する人)への報酬や活動費のことである。
- 同時廃止
-
財産がなく、問題点も少ないため、管財人が選ばれない。
そのため、予納金は不要だ。
- 少額管財(簡易管財)
-
管財人はつくが、弁護士が代理人となって事前に調査を行うことで、予納金を 20万円程度 に抑える運用だ。
東京地裁など都市部を中心に採用されている。
- 通常管財
-
本来の原則的な手続きである。予納金は最低でも 50万円以上 かかることが多い。
財産調査や処分に手間がかかる場合、さらに高額になる。
つまり、費用は以下の順で高くなる。
同時廃止 < 少額管財 < 通常管財
法人破産の費用水準と個人との違い
会社(法人)の破産は、個人とは費用構造が全く異なる。
法人の場合、資産や負債が複雑なため「同時廃止」は基本的にない。
ほぼ確実に管財事件となる。
例えば、東京地裁の運用基準(2023年4月時点)では、負債総額に応じた予納金が必要だ。
- 負債5,000万円未満
-
70万円
- 負債5,000万〜1億未満
-
100万円
これに弁護士費用を加えると、最低でも 150万〜200万円以上 の資金が必要になるケースが多い。
代表者個人の破産も同時に行う場合、さらに費用がかさむため、早めの決断が不可欠だ。
自己破産費用の相場が記事ごとに違う理由
ネット検索をすると「20万円〜」という記事もあれば「50万円〜」という記事もあり、混乱することがある。
数字がバラバラな理由は主に以下の3つだ。
- 1.「何が含まれているか」が違う
-
「弁護士費用のみ」を書いているのか、「裁判所費用+実費」まで含んだ総額なのかで表記が変わる。
- 2.手続きの前提が違う
-
最も安い「同時廃止」だけを強調している広告もあれば、リスクを見越して「管財事件」の相場を書いている記事もある。
- 3.地域差・事務所の方針
-
裁判所によって予納金の運用が異なるほか、弁護士報酬は自由化されており、事務所ごとに価格設定が自由だ。
ここで示す相場は、基本的に 「裁判所費用+弁護士費用+その他実費」の総額 を指している。
他サイトと比較する際は、内訳をよく確認する必要がある。
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自己破産費用の内訳とそれぞれの役割
「何にいくら払うのか」を知れば、見積書の妥当性を判断しやすくなる。
大きく分けて「裁判所へ払う費用」と「弁護士へ払う費用」の2つを見ていこう。
裁判所費用の内訳と支払先
これらは国(裁判所)に納める必須の費用だ。
どの弁護士に頼んでも、あるいは自分でやっても節約できない。
申立手数料や収入印紙代の目安
手続きをするための手数料として、収入印紙を貼って納める。
個人の自己破産(破産申立+免責申立)の場合、1,500円 が標準的だ。
大きな負担ではないが、必ず現金で用意する必要がある。
予納郵券や郵便切手代の目安
裁判所が債権者へ書類を送るための郵便代だ。
債権者の数によって変わるが、数千円〜1万円程度 が一般的である。
多くの裁判所では「110円切手を◯枚、10円切手を◯枚」といった細かい指定がある。
余った切手は、手続き終了後に返還されることが多い。
官報公告費とその役割
国が発行する機関紙「官報」に、破産の情報を載せるための掲載料だ。
個人の場合、1万円〜2万円程度 かかる。
これは、債権者や利害関係人に「この人が破産手続きを始めました」と公平に知らせるために不可欠なコストである。
引継予納金と破産管財人報酬の位置づけ
これが最も高額になりうる項目だ。
管財事件になった場合、選任された破産管財人の報酬や調査費用として、まとまったお金を裁判所に預ける(予納する)。
- 同時廃止
-
0円
- 少額管財
-
約20万〜30万円
- 通常管財
-
約50万円〜
このお金が用意できないと、管財事件の手続きは開始されない。
弁護士費用の内訳と料金体系
弁護士費用は事務所によって異なるが、一般的に以下の4要素で構成される。
最近はこれらをまとめた「パック料金」を採用する事務所も多い。
相談料の有無と一般的な金額帯
本来は「30分5,000円」程度が相場だが、債務整理に関しては 「初回相談無料」 とする事務所が多い。
契約前の相談でお金を取られることは少なくなっている。
まずは無料相談を使い、見積もりを取ることがスタートラインだ。
着手金の相場と分割の可否
依頼した時点で発生する費用だ。結果に関わらず支払う必要がある。
相場は 20万〜40万円程度 である。
一括払いが難しい人のために、多くの事務所が 分割払い に対応している。
「毎月いくら積み立てればよいか」は、家計の状況に合わせて調整可能だ。
成功報酬金や後払い部分の考え方
無事に免責(借金の帳消し)が認められたときに支払う費用だ。
相場は 0円〜20万円程度 である。
「着手金に含む」として成功報酬を取らない事務所もあれば、「免責決定後に後払い」とする事務所もある。
見積書に「報酬金」の記載があるか、必ず確認しよう。
司法書士費用の内訳と弁護士との違い
司法書士に依頼する場合、費用は 20万〜30万円程度 と、弁護士よりやや安い傾向がある。
ただし、司法書士は「書類作成代行」が主な業務であり、裁判所の審尋(面接)に代理人として同席することはできない。
また、後述するように、司法書士依頼だと「少額管財」が利用できず、予納金が高くなるケースもある。
単純な金額差だけでなく、トータルコストと手間を考える必要がある。
その他の実費(交通費・住民票などの取得費用)
見落としがちだが、以下の実費も必要だ。
- 事務所や裁判所への交通費
- 住民票、戸籍謄本、課税証明書などの取得費(数千円)
- 銀行の取引履歴発行手数料
これらは原則として自己負担であり、弁護士費用には含まれないことが多い。
手元に 1万〜2万円程度の現金 は残しておくべきだろう。
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手続きタイプ別に見る自己破産費用の相場
ここでは、3つの手続きタイプごとに具体的な費用のイメージを整理する。
同時廃止事件の費用相場と条件
最も費用が安く、期間も短い手続きだ。
裁判所費用の目安
- 印紙・郵便料・官報費等
-
約1万5,000円〜3万円
- 予納金
-
不要
裁判所費用は申立先の裁判所ごとに異なる。
例えば、東京地裁では2万円弱(約1万8,000円程度)で済むケースもあるが、事案によって変わるため確認が必要だ。
弁護士費用の目安
- 30万〜50万円程度
条件は「めぼしい財産がないこと」と「免責不許可事由(浪費やギャンブル等)がないこと」だ。
最もスタンダードな形だが、決定するのはあくまで裁判所である。
少額管財事件の費用相場と条件
管財事件だが、費用と期間を圧縮した手続きだ。
引継予納金の金額帯
- 予納金
-
約20万円〜(東京地裁の例)
通常管財の半額以下に抑えられる。
弁護士が付いていることなどの要件
少額管財は、法律で決まった制度ではなく、裁判所の運用ルールだ。
そのため、「弁護士が代理人についていること」 が利用条件となることが多い。
本人が自分で申し立てる場合や、代理権のない司法書士に依頼した場合は、利用できないケースがある。
通常管財事件の費用相場と負担の大きさ
財産が多い場合や、法人破産の場合に適用される。
負債総額ごとの予納金基準のイメージ
予納金は負債額に応じて階段状に上がる。
- 負債5,000万円未満
-
50万円〜
- 負債1億円未満
-
80万円〜
個人の場合でも、高額な不動産を持っていたり、借金総額が大きかったりすると、この区分になることがある。
手続き期間が長くなることによる費用増加
財産の売却や配当を行うため、手続きは半年〜1年以上かかることもある。
管財人の業務が増えれば、追加の予納金を求められる可能性もある。
「80万円で済むと思ったが、結局100万円かかった」という事態もあり得るため、資金計画には余裕が必要だ。
どの手続きになるかを左右する主なポイント
どのコースになるかは、以下の要素で決まる。
- 財産の有無(20万円以上の価値がある財産があるか)
- 免責不許可事由(ギャンブル、投資、浪費など)
- 個人事業主か(取引関係の清算が必要か)
「お金がないから同時廃止にしてほしい」という希望は通らない。
事実に基づいて裁判所が判断する。
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自己破産費用をいつ・どのタイミングで支払うか
「一度に数十万円も払えない」と焦る必要はない。
支払いのタイミングは分散されているからだ。
相談時に必要になる費用と無料相談の活用
最初のステップである「相談」は、今や 無料 が主流だ。
法テラスや自治体の相談窓口はもちろん、民間の法律事務所も初回無料のところが多い。
この段階でお金がかかることはほぼない。
受任契約締結時に必要な着手金の扱い
弁護士に依頼(受任契約)すると、着手金の支払いが必要になる。
しかし、ここで一括払いを求められることは少ない。
多くの事務所で 分割払い が可能だ。
「毎月3万円ずつ積み立てて、ある程度貯まったら申し立て」というスケジュールを組むのが一般的である。
申立て前に準備しておくべき裁判所費用
弁護士への積立とは別に、裁判所に払う実費(印紙・切手・官報費で約2〜3万円)は、申立ての直前までに用意する必要がある。
積立金の中にこれを含めてくれる事務所もあるので、確認が必要だ。
管財人選任後に追加で支払う可能性のある費用
管財事件になった場合、申立てから開始決定までの間に 予納金(20万円〜) を一括で納める必要がある。
このタイミングが最大のハードルといえる。
弁護士と相談し、申立て時期を調整して現金を貯める期間を作ることになる。
手続き終了後に発生しうる精算や残額支払い
同時廃止なら手続き終了ですべて完了だが、以下の場合は支払いが続く。
- 弁護士費用の分割払い
-
契約によっては、免責後も残金の支払いが続く。
- 法テラスの立替金返済
-
手続き終了後から、月々5,000円〜1万円ずつの返済が始まる。
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自己破産費用が払えないときに起こること
費用が払えないからといって放置すると、事態は悪化する。
裁判所への予納金を用意できない場合の影響
予納金が納付されないと、裁判所は破産手続きを開始しない(却下される)。
借金は残ったままになり、債権者からの請求が再開してしまう。
特に管財事件の場合、予納金の準備は必須条件だ。
弁護士費用が支払えない場合の手続きへの影響
弁護士への積立が滞ると、弁護士は辞任(契約解除)する可能性がある。
辞任されると「受任通知」の効果がなくなり、再び債権者からの取立てが始まる。
支払いが厳しい月があるなら、無視せず必ず事前に連絡して相談すべきだ。
費用不足で申立てや手続きが進まないリスク
「費用が貯まるまで何年も待つ」のは危険だ。
その間に債権者がしびれを切らし、給与差押え や 訴訟 を起こすリスクがある。
放置すればするほど、解決は難しくなる。
途中で支払えなくなった場合に取り得る選択肢
もし途中で払えなくなったら、以下の方法を検討する。
- 1.法テラスへの切り替え
-
条件を満たせば、途中からでも立替制度を利用できる場合がある。
- 2.分割計画の見直し
-
月々の支払額を下げられないか弁護士に交渉する。
- 3.自己破産以外の選択肢
-
状況によっては、費用が安い任意整理に切り替える(ただし借金は減るだけでゼロにはならない)。
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自己破産費用を準備するための基本的な考え方
「借金返済で手一杯なのに、どうやって費用を作るのか」
ここには、債務整理ならではの仕組みがある。
受任通知後に返済を止めて費用に回す仕組み
弁護士が受任し債権者へ通知すると、債権者(特に貸金業者など)は連絡窓口を弁護士側に切り替える運用が一般的だ(貸金業法等の規制による)。
これにより、実務上は返済を一時的にストップし、その分を費用積立に回すことができる。
今まで毎月借金返済に回していたお金(例えば月5万円)を、そのまま弁護士費用の積立に回すのだ。
ただし、債務そのものが消えたわけではない。
勝手な判断で放置せず、支払いの扱いやタイミングについては必ず弁護士の指示に従ってほしい。
毎月の積立額と申立てまでの期間の目安
例えば、総費用が40万円で、月4万円積み立てられるなら、約10ヶ月で準備が整う。
一般的な申立て準備期間は 3ヶ月〜半年程度 だが、費用積立のために1年近くかけるケースもある。
焦らず、生活を立て直しながら貯めていけばよい。
家計の見直しや固定費削減で作る余裕資金
返済を止めるだけでなく、家計の無駄も削る必要がある。
スマホを格安SIMにする、不要なサブスクを解約するなど、月数千円でも捻出すれば、積立完了が早まる。
家計簿をつけ、収支の黒字化を目指すことは、裁判所へのアピール(再建意欲の証明)にもなる。
家族や親族から援助を受けるときの注意点
親や兄弟に費用を出してもらう場合、注意が必要だ。
返済不要の援助として扱う必要性
援助は「借金」ではなく、必ず 「贈与(もらうお金)」 にしてもらうこと。
「後で返す」と約束すると、それは新たな借金となり、破産手続き上の問題になる。
援助を借入にしないための確認ポイント
「あくまで生活再建のための支援であり、返済は求めない」という意思確認をお互いにしておく。
また、特定の親族だけに返済することは「偏頗弁済(へんぱべんさい)」となり、免責不許可事由になり得るので絶対に避ける。
保険や資産を換金して費用に充てる場合の注意
解約返戻金のある保険などを解約して費用に充てることも考えられるが、自己判断は危険だ。
解約返戻金や貯蓄型保険の扱い
解約返戻金は「資産」とみなされる。
勝手に解約して弁護士費用に充てると、「資産を勝手に処分した」と疑われる可能性がある。
価値の高い財産がある場合の管財事件への影響
財産を処分して現金化すると、その行為自体が管財人の調査対象になる。
必ず弁護士に「これを解約して費用に充てても問題ないか」を確認してから実行しよう。
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自己破産費用が払えないときの具体的な対処法
どうしても費用が捻出できない場合でも、諦めるのは早い。
弁護士費用を分割払いにしてもらう方法
分割回数や毎月の目安額の考え方
多くの事務所が分割払いに応じている。
月々の支払額は、家計収支の余力から逆算して決める。
無理をして途中で払えなくなるより、月2万円でも確実に払える額で設定するほうが、弁護士との信頼関係も維持できる。
途中で支払いが苦しくなった場合の相談の仕方
失業や病気で支払いが難しくなったら、支払期日が来る前に 連絡を入れること。
「今月は厳しいので待ってほしい」「来月から額を減らしたい」と相談すれば、柔軟に対応してくれる事務所は多い。
弁護士費用の後払いに対応してもらえるケース
一部の事務所では、「着手金ゼロ、免責後に全額支払い」という後払いプランを用意している。
ただし、これは定職があり収入が安定している場合などに限られることが多い。
初期費用がゼロだからといって飛びつかず、総額が高くなっていないか確認が必要だ。
司法書士に依頼して費用を抑えるメリットと限界
費用を抑えるために司法書士を選ぶのも一つの手だ。
ただし、前述の通り「管財事件」になった場合の対応に限界がある。
自分のケースが明らかに「同時廃止(財産なし・免責不許可事由なし)」見込みなら、有力な選択肢になる。
自分で申立てを行う場合の費用とリスク
自分ひとりで手続きすれば、かかるのは裁判所費用(約3万円〜)だけだ。
しかし、書類作成の難易度は極めて高く、失敗して管財事件になれば、かえって高額な予納金が必要になる。
また、手続き中も債権者対応を自分でする必要があるため、精神的負担は計り知れない。
費用対効果を考えると、専門家依頼が安全だろう。
返済停止期間を最大限活用するためのスケジュール感
受任通知から申立てまでの期間(半年〜1年弱)は、いわば「ボーナスタイム」だ。
借金返済がなくなり、生活を立て直す最大のチャンスである。
この期間にしっかりと積立を行い、費用を完済してから申し立てるのが王道のスケジュールといえる。
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法テラスを利用した自己破産費用の立替と返済
お金がない人のための公的セーフティネットが「法テラス(民事法律扶助業務)」だ。
法テラスによる自己破産費用の立替内容
法テラスを利用すれば、弁護士費用と実費を立て替えてくれる。
依頼者は、一時的な負担ゼロで手続きを始められる。
弁護士費用の標準額のイメージ
法テラスの基準は、一般的な相場よりかなり低く設定されている。
例えば、債権者が10社までの同時廃止事件の場合、以下のようになる。
- 立替総額
-
約15万〜17万円程度(実費含む)
これは一般的な弁護士費用の半額近い水準だ。
実費や裁判所費用の取り扱い
印紙代や官報費などの実費も立替の対象に含まれる。
ただし、管財事件の 「予納金(20万円〜)」は立替対象外 である点に注意が必要だ(生活保護受給者を除く)。
法テラス利用の主な条件
誰でも使えるわけではなく、収入と資産の基準がある。
収入要件と世帯人数ごとの基準
手取り月収が以下の基準以下である必要がある(家賃などを考慮して加算される場合あり)。
- 単身者
-
18万2,000円以下(大都市は20万200円)
- 2人世帯
-
25万1,000円以下(大都市は27万6,100円)
- 3人世帯
-
27万2,000円以下
- 4人世帯
-
29万9,000円以下
資産要件と貯蓄・不動産の扱い
保有する現金・預貯金などが以下の基準以下であること。
- 単身者
-
180万円
- 2人世帯
-
250万円
立替金の返済方法と毎月の返済額の目安
立て替えてもらったお金は、事件終了後から分割で返済する。
利息はつかない。
返済額は 月額5,000円 または 10,000円 が一般的だ。
無理のない範囲で少しずつ返せばよい。
生活保護受給者など返済が免除される可能性
生活保護を受給している場合、法テラスへの 返済が免除(ゼロ円) される制度がある。
また、予納金についても最大20万円まで立て替えてもらえる制度(予納金立替制度)がある。
生活保護受給者は、迷わず法テラスを利用すべきだ。
法テラスを利用するときの注意点とデメリット
- 審査に時間がかかる
-
利用決定まで2週間〜1ヶ月程度かかることがある。
- 弁護士を選べない場合がある
-
法テラスに直接申し込むと、担当弁護士は指名できない。
(ただし、法テラス契約のある弁護士を自分で探して、「持ち込み」で利用することは可能)
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費用を抑えたい人が検討すべき他の債務整理
自己破産以外の手続きなら費用はどうなるのか、比較してみよう。
任意整理の費用相場と向いているケース
裁判所を通さず、弁護士が債権者と交渉して利息をカットする方法だ。
任意整理の弁護士・司法書士費用の目安
- 1社あたり約2万〜5万円
自己破産と比較したメリット・デメリット
債権者が1〜2社など少なければ、自己破産より安く済む。
しかし、借金総額そのものは減らないため、支払い能力が必要だ。
5社以上あるなら、自己破産の方が総額は安くなるケースが多い。
個人再生の費用相場と特徴
借金を大幅に減額(最大1/5〜1/10)し、残りを3年で払う手続き。住宅を残せるのが特徴だ。
裁判所費用と弁護士費用のイメージ
- 総額
-
約50万〜80万円
手続きが複雑なため、費用は自己破産(同時廃止)よりも高くなる傾向がある。
また、再生委員(監督役)が選任されると、その報酬(15万〜25万円)が別途必要になる。
住宅を守りたい場合の検討ポイント
「費用が高いか安いか」よりも、「家を守りたいかどうか」で選ぶべき手続きだ。
安定した収入があり、住宅ローンを払いながら債務を返済できるなら、費用をかけてでも個人再生を選ぶ価値はある。
自己破産ではなく他の手続きが向く典型パターン
- 任意整理
-
借金が少なく(200万円以下など)、安定収入がある。家族に内緒にしたい。
- 個人再生
-
借金は多いが、持ち家を手放したくない。資格制限のある職業(警備員など)に就いている。
- 自己破産
-
失業中や低所得で、返済の目処が全く立たない。財産はない。
費用だけでなく生活への影響も含めた選び方
目先の費用(弁護士代)だけで選ぶと失敗する。
「これからの生活で返済を続けられるか」が最大の基準だ。
無理して任意整理を選び、結局払えなくなって破産すれば、二重に費用がかかってしまう。
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自己破産費用に関してやってはいけないこと
「費用がない」と焦るあまり、以下のような行動をとると、取り返しがつかないことになる。
費用を捻出するための新たな借入のリスク
詐欺的な借入と評価される可能性
「自己破産するつもりなのに、新たに借金をする」ことは、返す意思がないのに借りる 詐欺行為 とみなされる恐れがある。
さらに、自己破産においては 免責不許可事由(借金が帳消しにならない理由)の典型例となる。
費用を作るためであっても、新たな借入は絶対にしてはいけない。
免責不許可事由に該当するケース
- クレジットカードのショッピング枠を現金化する
- 破産直前にヤミ金から借りる
これらは借金が消えないリスクを高めるだけでなく、状況によっては刑事責任を問われる可能性もある。
疑いがある行為は、必ず事前に弁護士へ共有してほしい。
特定の債権者だけへの偏った返済
「お世話になった親戚にだけは返してから破産しよう」
これは 偏頗弁済(へんぱべんさい) と呼ばれ、禁止されている。
これをやると、管財事件になり費用が跳ね上がったり、免責が下りなかったりする。
すべての債権者を平等に扱わなければならない。
費用のために安易に財産を処分してしまうこと
「車を安く売ってお金を作ろう」
これも財産隠しと疑われる危険な行為だ。
適正価格より不当に安く売却すると、破産管財人によって取り消されることもある。
資産の処分は必ず弁護士の指示に従って行うこと。
闇金や違法業者からの借入に頼ること
「破産費用貸します」という怪しい業者には絶対に関わってはいけない。
弱みにつけ込まれ、さらに深い泥沼に引きずり込まれるだけだ。
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弁護士・司法書士に依頼する場合の費用とメリット
費用はかかるが、専門家に依頼するメリットは金額以上にある。
弁護士に依頼した場合の費用感と役割
- 費用
-
約30万〜80万円
- メリット
-
すべての手続きを代理できる。管財事件になってもスムーズに進む。
- 精神的効果
-
依頼した日から、債権者からの連絡が一切来なくなる。
司法書士に依頼した場合の費用感と役割
- 費用
-
約20万〜30万円
- メリット
-
費用が安い。
- デメリット
-
地裁での審尋に同席できない。管財事件になると予納金が高くなる可能性がある。
少額管財事件を利用できるかどうかの違い
ここが重要だ。
多くの裁判所では、「弁護士が代理人であること」を少額管財(予納金20万円)の条件 としている。
司法書士依頼だと通常管財(予納金50万円〜)になり、結果的に総額が高くなるケースがある。
「管財事件になりそうなら弁護士」が無難な選択だ。
取立て停止や交渉を任せることによる心理的メリット
毎日のように鳴る電話、届く督促状。これらがピタリと止まる安心感はお金に変えられない。
精神的な平穏を取り戻して初めて、生活再建に向けた準備ができる。
自己破産以外の選択肢を一緒に検討してもらえる利点
専門家は、あなたの状況を見て「破産じゃなくて任意整理でいけるかも」と提案してくれる。
ネットの情報だけで自己判断せず、プロの診断を受けることが解決への近道だ。
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自己破産費用の目安を個別に見積もるときのチェックポイント
実際に法律事務所へ行く際、何を確認すればよいかまとめた。
借金総額と債権者数から見た事件類型の見込み
「借金がいくらで、何社から借りているか」を正確に伝える。
これによって、同時廃止か管財事件か、ある程度予測がつく。
財産状況と将来の収入見込みの整理
- 20万円以上の価値がありそうな財産(車、保険、退職金など)はあるか?
- 今後、定職に就く予定はあるか?
これらを整理しておくと、話が早い。
家族構成や収入条件から見た法テラス利用可否
前述の法テラス基準(手取り月収・資産)をチェックし、自分が対象になりそうか確認しておく。
対象なら「法テラスを使いたい」と最初に伝えよう。
弁護士費用の見積書で確認すべき項目
見積もりをもらったら、以下をチェックする。
- 総額はいくらか(税込みか)
- 実費は含まれているか(印紙代などは別か)
- 管財事件になった場合の追加費用はあるか
- 分割払いの回数と月額
- 免責不許可になった場合の報酬はどうなるか
複数事務所から見積もりを取るときの比較軸
1社だけで決めず、2〜3社比較するとよい。
金額だけでなく、「説明が分かりやすいか」「リスク(管財になる可能性など)を正直に話してくれるか」 を重視しよう。
「絶対大丈夫」と安易に言う事務所より、慎重な事務所のほうが信頼できる。
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自己破産費用に関するよくある質問(FAQ)
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まとめ:費用がないからといって諦める必要はない
自己破産の費用について、重要なポイントを振り返る。
- 個人の自己破産費用の目安は 30万〜80万円 だが、財産がなければ安く済む。
- 費用の支払いは 分割払い や 法テラスの立替 が一般的だ。
- 弁護士に依頼すれば 借金返済がストップ するため、その分を費用積立に回せる。
- 費用を作るために新たな借金をしたり、ヤミ金に手を出したりするのは絶対禁止。
「お金がないから破産できない」というのは誤解だ。
お金がない人のためにこそ、自己破産制度や法テラスは存在する。
まずは、無料相談を行っている弁護士事務所や法テラスに問い合わせてみてほしい。
「月々いくらなら払えるか」を相談するだけで、解決への糸口は必ず見つかるはずだ。

