よく見る「芸能人が愛用」というのは実際どうなのか?使用する際の注意点も解説!
はじめに
テレビのCMやホームページ上のバナー広告など、日常生活では多くの広告を目にすることとなります。
そのなかで「芸能人の〇〇が愛用」と銘打って体験談や、一緒に写った写真が掲載されている手法を見かけることも多いかもしれません。
このように芸能人の名前が使われるのは、それが商業的に大きな効果があるからです。
今回は「芸能人愛用」をアピールする広告ついて、3つのメリットと2つの注意点を紹介します。
広告を出す方法や費用に関しても触れているので、芸能人の名前を使った広告に興味がある方はぜひ参考にしてください。
芸能人愛用って実際どうなの?
そもそも「芸能人愛用」の広告は実際に効果があるのか、疑問に思う方もいるかもしれません。
しかし広告業界は明確な数字を要求されるシビアな世界であり、成果のあがらない手法は切り捨てられていきます。
消費者目線では今ひとつ実感しにくいかもしれませんが「芸能人愛用」の広告は大きな成果をあげているのです。
もっとも有名人を使うから売り上げがあがるというわけではなく、その背景には消費者心理に訴えかけるさまざまな理由が存在しています。
ここからは「芸能人愛用」を用いる3つのメリットについて確認していきましょう。
ほかの企業との差別化ができる
1つ目のメリットは競合他社との差別化が可能になる点です。
昨今は化粧品や美容グッズなど1つのジャンルに多くの商品があふれかえっています。
消費者にとっては選択の幅が広がる一方、企業側はほかとは異なる独自の魅力をアピールしなくてはいけません。
しかし、単に性能の良さや効果の高さをアピールするだけでは顧客の確保が難しく、規制強化により強い言葉を使った広告も出しづらくなっています。
そこで使われ始めたのが「芸能人愛用」の手法です。
それぞれの芸能人は唯一無二の存在なので、その人物が愛用しているという情報を付け加えることで、他社の商品との差別化が可能になります。
また、その芸能人のイメージを商品のイメージに加えることで、独自性の高いブランディングが可能になるのです。
潜在顧客へのアプローチができる
2つ目のメリットは潜在顧客にもアプローチが可能になる点です。
潜在顧客とはその商品をまだ知らない、あるいは必要と感じていないものの、わずかなきっかけで顧客となる可能性がある人々を指します。
きっかけとなる一押しにはさまざまなものがありますが、その1つとして使われるのが芸能人です。
現在はSNSなどで情報を得る機会も増えており、芸能人個人の発言や宣伝がインフルエンサーとして、情報の伝播に大きな影響力をもつようになっています。
フォロワー数の多い芸能人の拡散力を利用することで、より多くの潜在顧客へのアプローチが可能です。
また、芸能人の名前や写真を用いることで視覚的な印象が強まり、普段なら見過ごされるような小さな広告にも目を留めてもらいやすくなるでしょう。
購買促進につながる
3つ目のメリットは芸能人の起用が購買促進につながる点です。
潜在顧客にアプローチする方法は芸能人の起用だけではありませんが、たとえ存在を認識してもらっても、そこから購入につながるとは限りません。
しかし芸能人を起用することは、商品の購買欲そのものにもポジティブな影響を与えます。
まず、その芸能人のファンであれば「同じものを使ってみたい」と興味をもつでしょう。
化粧品などであれば「その芸能人に近づけるかも」という期待にもつながるかもしれません。
また、消費者の購買意欲に重要な信頼性を高める意味でも、芸能人の起用は有効です。
もしその芸能人に思い入れがなかった場合でも、芸能人にコンタクトを取り協力してもらっていることがしっかりした企業という印象を与え、販売元と商品の信頼度向上につながります。
芸能人愛用を使用する際の注意点
次は広告で「芸能人愛用」をアピールする際に気をつけるべきポイントについて見ていきましょう。
芸能人を起用した広告はさまざまなメリットもありますが、一方で通常の広告とはルールやセオリーが異なる部分も存在します。
広告の方法を間違えると売り上げを増やすどころか、逆に商品の信頼を損なってしまう事態も起こりうるでしょう。
場合によっては芸能人のイメージに傷が付き、大きなトラブルに発展する可能性もあります。
「芸能人愛用」として広告する場合は以下の点に注意が必要です。
ステマに注意する
ステマとはステルスマーケティングの略であり、消費者に気づかれないよう商品やサービスのPRを行う宣伝手法のことです。
企業が広告であることを明らかにし、そのなかで芸能人が愛用していることを伝える場合はステマにはなりません。
一方、芸能人が企業とはつながりがないことを装いながら、実際には契約のうえで商品の宣伝をした場合は、ステマと判断されることが多いでしょう。
ステマ自体は法に触れる行為ではありませんが、一見すると中立な立場を装いながら商品を売り込む姿勢は、モラル的に問題視され、炎上につながるケースも少なくありません。
一度ステマで炎上してしまうと、その商品、芸能人共に悪いイメージを抱かれてしまうでしょう。
芸能人を起用したステマの注意点についてくわしく知りたい方はこちらのリンク先もご覧ください。
%%related_306077%%
ほかの企業で起用されている芸能人は避ける
ステマは広告手法に関する問題でしたが、芸能人を選ぶ段階でも注意点が存在します。
具体的には競合他社で起用されている芸能人を用いることは、できるだけ避けるべきです。
ほかの企業ですでに起用されている芸能人は、そちらのイメージが根付いており、広告に起用しても十分な効果を得られない可能性があります。
同時期に他社の広告に出ていた芸能人は、競合に関する契約により、起用自体が不可能なケースも存在するでしょう。
また芸能人そのもののイメージも考慮しなくてはいけません。
たとえ有名で拡散力の高い芸能人を起用しても、そのイメージが商品のイメージとかけ離れている場合は、不自然な印象を与えてしまいます。
また、芸能人のファン層と製品のターゲット層が異なる場合は、対象にうまく情報が届かないでしょう。
芸能人愛用を使用する方法
ここまでは「芸能人愛用」を使う際のメリットと注意点について解説してきました。
次は実際に広告を出す方法や、必要な準備について解説します。
「芸能人愛用」をアピールする広告では、通常の広告とは違った調査や手続きが必要になってきます。
芸能人や事務所とのやり取りも必要になるため、求められてくるスキルも通常の広告とは変わってくるでしょう。
後述するような金銭面だけでなく、人員面でのコスト管理も重要になってきます。
事前にどんな準備が必要なのかをしっかり把握し、手続きを進めることが大切です。
芸能人が実際に使用していることが大前提
「芸能人愛用」を広告に利用する場合、大前提となるのは芸能人が実際に商品を使っているという事実です。
そのためまずはSNSなどを通して調査を行い、自社製品を芸能人が利用していることを確認しなければいけません。
商品のイメージに合う芸能人と、利用者が必ずしも一致するとは限らない点も注意が必要です。
イメージが合致しており、実際に利用している芸能人を探すためには広くアンテナを張り、念入りに調査する必要があるでしょう。
さらに愛用者として起用する場合は、広告を出す前だけでなく、広告を出している間もその商品を使ってもらわなくてはいけません。
契約段階でなんらかの取り決めを結ぶことも可能ですが、その取り決めがしっかり守られているかを確認するためには、その芸能人の動向を継続的にチェックすることが必要になるでしょう。
事務所に依頼し契約を実施
広告に適した愛用者の芸能人が見つかった場合は、契約手続きに進みます。
本人や事務所と連絡を取り、広告に起用するための契約を結びましょう。
契約の際には広告の内容や期間、報酬といった具体的な取り決めを行います。
また競合に関する契約や、契約違反時の対応なども決めなくてはいけません。
契約を打診する際は、声をかけた芸能人がすでにほかの契約下にあるケース、契約内容が合意に至らないケースなども考慮し、候補を複数リストアップしたうえで、早い段階から取り掛かることが重要です。
新しい写真や映像が必要な場合は、それらを撮影する段取りも決める必要があるでしょう。
候補のリストアップや交渉に不安がある場合は、それらを専門とするPR会社やキャスティング会社を利用することも大切です。
金額はどのくらい?
最後は「芸能人愛用」として広告を出すための費用について確認していきましょう。
もし芸能人の起用によって売り上げがあがったとしても、それ以上にコストがかかってしまっては本末転倒です。
そのため、調査や手続きを進める前に、まずおおまかな費用をあらかじめ把握することが重要になってきます。
そののち、広告の効果を予測し、収支予測を立てたうえで予算を組んでいくことになるでしょう。
実際の金額は起用する芸能人やタイミングによっても異なりますが、今回は起用のタイプを2種類に分け、それぞれの費用について解説します。
スポットキャラクター
スポットキャラクターとは、テレビやラジオのCM枠として芸能人を起用する方法です。
また近年では、芸能人がSNSにアップした画像をスポット広告として活用する契約も存在します。
スポットキャラクターは月単位など、比較的短い期間でも契約が可能です。
そのため実際にどの程度効果が出るのか確認したい場合、初期投資を抑えたい場合などに有効な方法です。
またなんらかの理由により広告の効果が下がった場合にも、臨機応変に対応しやすくなります。
なお、スポットキャラクターとして起用する場合、使用できるのは短い映像や画像だけです。
後述するイメージキャラクターに比べ、愛用感が伝わりにくい点はデメリットとなるでしょう。
費用はキャスティングする芸能人によっても異なりますが、1ヶ月100万円程度が相場となっています。
イメージキャラクター
イメージキャラクターは1年間など、スポットキャラクターよりも長い期間で芸能人と契約を結ぶ方法です。
長期的なイメージキャラクターとして起用することにより、実際にその商品を使っているというイメージが作りやすくなります。
SNSの画像を使用したスポットキャラクターでは、無断使用のフェイク広告に使用されるリスクがありました。
しかしイメージキャラクターの場合は、スタジオなどを使った、本格的な宣材作りをするため、その心配がありません。
そのため、スポットキャラクターに比べ、契約を結びやすくなるケースもあるでしょう。
一方、長期間の契約が必要なため、柔軟な対応は難しい点がデメリットです。
また期間が長いため費用は高額になりやすく、1年間で500万円から1,500万円が相場となっています。
まとめ
「芸能人愛用」をアピールする広告は他社製品との差別化をはかり、購買層を広げるために有効な手段です。
しかし一方でステルスマーケティングに関する炎上や、キャスティングの失敗によるイメージの悪化といったリスクも抱えることになります。
また、予算に関しても通常の広告とは異なる部分が出てくるでしょう。
広告に関するトラブルは入念な事前準備と契約時の取り決めなど、ある程度回避できるので、メリットや注意点をしっかりと理解したうえで「芸能人愛用」の広告を出すべきかどうか検討してください。