中小企業からニッポンを元気にプロジェクト

シニア採用が事業成長の鍵。インフラ業界で挑戦し続けるリーダーの想いと組織戦略とは。

2024.06.03

廃棄物処理や廃棄物コンサルで成長し続けているマツダ株式会社。
産業廃棄物業という成熟した市場の中で挑戦を続ける代表の松田氏へ社長就任のきっかけや苦い経験、現在の事業への軌跡や想いについて取材しました。

 

 

マツダ株式会社 代表取締役

松田 禎一 氏
大学卒業後23歳で、マツダ株式会社に入社。
古紙問屋から廃棄物総合リサイクル企業へと事業を拡大。
循環型社会を作るためにこれからも日本社会に貢献していきたいと考えています。

 

−−現場仕事が経営の原点

 

弊社は祖父と父が二人で創業した会社で「捨てるをなくす」という理念のもと産業廃棄物・リサイクルの文脈で事業を展開し、50年以上この業界に従事してきました。私は大学卒業後に家業を継ぐ道を歩むことが自然だと考えていましたが、父の勧めで、まずは同業の大手企業での勤務を経験しました。ただ入社半年後に、人手不足の状況を受け、父からの要請で実家の会社に戻り、そこからマツダでのキャリアをスタートさせました。私のキャリアは廃棄物回収のドライバーとしての現場仕事から始まりました。入社20年目で代表取締役に就任するまでの間は、人手不足の影響もあり、常に現場メンバーと一緒に営業活動からクレーム処理まで全て自分が出向いて対応をしていました。今思い返すと、この現場で培った知識と経験は、経営者としての私の基盤となっているなと感じています。
 
そこから会社が大きな転機を迎えたのは、阪神・淡路大震災が発生した時です。当時の弊社は、新聞紙や雑誌などの古紙の処理やリサイクルを主軸とし、古紙回収業については他業者に依頼する分業型で運営していました。回収業者との連携がうまくいかず業績が伸び悩んでいました。また追い討ちをかけるように震災によって仕事が激減し、それが会社にとっては大きな打撃でした。しかしこのピンチをきっかけに、自社で古紙回収事業も始め、関西圏内へとエリアを拡大して行きました。そのおかげで少しずつ業績を伸ばすことができ、17年〜18年前ごろから事業基盤が安定していきました。そこから私は現場から一歩退き、現在では経営に専念することができています。

 

−−事業成長の要因は『ヒト』にある

 

弊社が事業成長に繋がった大きな要因は主に2点あります。1点目が「ヒト」です。その中でも特にシニア人材の採用がうまくいった要因だと考えています。今でこそシニア人材の採用は当たり前になりつつありますが、約17〜18年前はまだシニア雇用が一般的ではなかった時代で、弊社では挑戦的に採用活動を行いました。定年で仕事を辞めるというのが一般的な中で、私たちにとって他業界でキャリアを積み、経験や知識が豊富なシニア人材を自社に迎え入れることは、会社の成長や新たな風をもたらしてくれる可能性があると考え、舵を取りました。結果、それが功を奏しましたね。
 
今までのキャリアや経験を通じて、社員にスキル面だけでなく人間性の教育まで多くの学びを与えてくれました。また社内に私よりも年上の方がいるということが、私自身も精神的に大きな支えになりましたし、会社組織の一本化にも大きく貢献してくれたので、本当に感謝しかないですね。

 

−−「逆風は上昇気流」挑戦し続ける組織

 

私は「逆風は上昇気流」という言葉をモットーに、どんな状況でも挑戦し続けることを社風として事業経営してきました。弊社の事業はインフラ業界で、社会的に必要な業務だと思っています。ある程度の事業基盤を構築できれば、安定した事業となり、業界全体で新たなことに挑戦していこうという風潮は弱いです。ただ私は常に面白いことに挑戦したいですし、働いているメンバーの人生を考えた時に面白いことに挑戦した方が豊かになると思ってます。だからこそ常に挑戦しやすい環境づくりを意識しています。例えばボトムアップで社員から意見が出やすいように、私は現在も基本的には現場に出向いて雑談を交えてコミニュケーションを取っています。またその中で生まれた新しい意見やアイデアは否定せず、可能な限り実行することを意識しています。
 
また私は成長できる会社組織は「中学校の部活」のような組織だと思ってます。具体的には、社員全員が共通の目標を持ち、情熱を持って仕事に取り組む。時には意見の食い違いでぶつかったり喧嘩をするけれども、次の日になれば協力して同じ目標に向かって切磋琢磨する。このような組織のカタチが仕事においても一番理想ですし、私は仕事を通じて、ビジネス的な成長と人間的な成長の二軸を担えるような会社作りを意識してきました。その結果、事業の成長と人の成長と労働条件の向上、この3つの事象が相関関係を持ち、ポジティブなサイクルを回すことが出来ていますし、売上が安定しているからこそ、新たな事業や組織やヒトに対して積極的に投資をすることができていると感じますね。

 

−−苦い経験から生まれたプライドを持って働ける職場環境

 

私は何よりも従業員がプライドを持って働ける職場環境を作りたいと常に思っています。その想いは過去の2つの苦い経験からきてるのですが、産業廃棄物業界はいわゆる現場仕事が多いブルーカラー職なので、世間的に下に見られることが多かったんです。それこそ数十年前に私がトラックに乗って古雑誌を集めている時に、自治会の人がたまたま出てきて「お兄ちゃん若いのにこんな仕事をして」と悪気なく気の毒な感じで言われたことがあり、それがすごいショックで、経営者の私がこのように見られていたら、社員はもっと可哀想な思いをさせてしまうと思いましたね。
 
また28年前に21歳の現場社員を採用して、一人暮らしで家を借りようとして、保証人に私がなったんですけど、会社の信頼がなくて審査に落ちてしまったんですよ。この2つの経験がめっちゃ悔しくて、これ以降同じような経験をさせないためにも、社員全員がプライドを持って働ける環境を絶対に作りたいと思いました。10年前までは給与も多くは与えることができず、お休みも週に1回程度で厳しい労働環境でしたが、みんなの頑張りもあり、昨年実績としては従業員の年収は業界平均の約1.2倍の給与水準まで引き上げることができ、週休2日で労働時間も短縮することが実現できています。
 
また営業部に関しては、対応部門を責任範疇を明確にし、部門ごとに、頑張りが形として現れる職場環境を作ることができています。その結果、帰属意識の高いメンバーが増え、組織力向上の更なる相乗効果に繋げることができました。そのおかげで2023年に中小企業庁主催の「はばたく中小企業・小規模事業者300社」を受賞することができました。これまでの取り組みが報われた気がして大変嬉しかったです。

 

−−「捨てるをなくす」を軸に見据える事業展開

 
私たちは”「捨てる」をなくす”を経営理念に掲げ、廃棄物に関わる課題の解決に奔走してきました。これからも経営理念を軸に新たな事業展開を行っていきます。その一つとして注力しているのが「プラスチックリサイクル事業」です。プラスチックリサイクル事業とは、製品の製造・加工、流通過程から出るスクラップや包装資材など、主に工場や店舗などの事業所から出るプラスチックごみを回収しリサイクルする事業です。弊社ではストレッチフィルムなどの廃プラスチック材を再生資源化目的で回収し、プラスチックの再生原料やビニール袋としてもう一度形を変えて、排出業者様にご利用いただけるようなリサイクルループを生み出しています。
 

 
実はこの業界には日本企業の競争相手がほぼおらず、同業では中国資本の会社が運営していることがほとんどです。その中で数年前からいくつかプラスチックゴミが山や海などに不法投棄されるニュースが報道されるなど問題視されていました。だからこそ私たちが日本企業で排出業者様が安心してお任せできる会社として、弊社の回収による機動力とプラスチック処理からリサイクルまで一気通貫で行える強みを活かして事業の拡大、その先の循環型社会を作るためにこれからも日本社会に貢献していきたいと考えています。

 

インタビュー協力企業

会社名 :マツダ株式会社

代表者 :松田禎一

事業内容:廃棄物マネジメント事業
     廃棄物総合管理システム wingの運営
     再生可能エネルギー事業
     古紙回収及び加工処理卸売り
     産業廃棄物中間処理業務
     産業廃棄物収集運搬業務
     機密書類処理業務
     食品リサイクル
     廃プラスチック・金属買取
     プラスチックペレタイズ事業
     リサイクル品及び資材販売事業

会社HP  :https://matsudasan.com/